医師の8割、医療物資は「現在も不足」と回答 「マスクを洗って使いまわしている」という声も
医師のともは5月11日、「新型コロナウイルスが医療現場に及ぼす影響」に関する調査結果を発表した。調査は5月上旬にアンケート形式で実施し、20〜80代の医師1346人から回答を得た。
新型コロナウイルスの感染拡大前と比較して、8割近くの医師が「患者数が減った」(77.2%)と回答した。国民の衛生意識が向上したことで、インフルエンザなどの別の感染症患者が減ったほか、薬の長期処方や電話診療の実施、不要不急の受診減少などが要因として考えられる。
最も患者が減ったのは「耳鼻咽喉科」 外出自粛で"花粉症"患者が減少
「患者数が減った」と答えた医師の診療科別にみると、最多は「耳鼻咽喉科」(97.8%)だった。例年は花粉症の患者で混み合う季節だが、ドラッグストアなどで一般医薬品が購入できることに加え、外出自粛や臨時休校、テレワークによって症状が出にくかったことが大きな要因になったようだ。
2位以降には「眼科」(93.6%)、「小児科」(90.8%)、「整形外科」(88.5%)、「放射線科」(84.4%)がランクイン。このほか、上位には「消化器内科」(84.1%)、「麻酔科」「総合診療科」「形成外科」(各83.3%)、「一般内科」(83.0%)などがみられた。具体的には、
「マスク使用、手洗い励行がいきわたり、感染症が減少している」(70代・一般内科・開業医)
「院内での感染を怖がっている患者が多く、来院を控えている」(40代・呼吸器内科・開業医)
「緊急事態宣言中は、健診や内視鏡等の業務を休止するように通達があったため」(健診、消化器内科の医師複数名)
といった声が寄せられた。
一方、「患者数が増えた」(11.5%)という医師も1割程度いる。「新型コロナウイルス感染症の対応を行っているため」(呼吸器内科、呼吸器外科の医師複数名)と最前線で新型コロナウイルスの治療にあたる診療科のほか、
「近隣の救命センターの救急受け入れが中止した分、当センターが受け入れているため」(50代・救急科・勤務医)
などと間接的に影響を受ける救急科の医師の声が目立った。
「防護具を自作している」という医師も
現在、医療物資が不足していると回答した医師は76.4%。不足している物資を聞いたところ、「マスク」(44.8%)が最多で、次いで「ガウン」(15.2%)、「消毒用アルコール」(14.5%)、「ゴーグル・フェイスシールド」(10.9%)、「手袋」(6.9%)と"PRE"と呼ばれる個人用防護具が多くを占めた。
こうした背景には、新型コロナウイルスによる急速な需要拡大や、輸入元の中国をはじめとする海外諸国の輸出制限があるという。回答した医師からは
「マスクを洗って、使いまわしている」
「PPEを自作している」
「患者数減少によって収入が少なくなったのに、PPE購入のための支出が増えている」
と物資不足に苦心する声が寄せられた。