IKKO 撮影/高梨俊浩

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「着物っていうのは1枚の布の中に、その人の人生観や、その人なりの景色が描かれています。人生が枝葉にたとえられることもあれば、鳥にたとえられることもある。着物の世界は奥が深くて、知れば知るほど魅せられていきますね」

【写真】−5キロに納得! 着物を着こなす美しい全身カット

50代の私を美しく見せてくれる着物

 着物をこよなく愛するIKKOさん(58)。今回、特別展『きもの KIMONO』の広報大使に就任! 着物を華麗に着こなし、多数のコレクションも。近年ではすっかり着物姿が定着した。

「年齢を重ねて50代になったときに、流行とかではなく、私を美しく見せてくれるものが着物なんじゃないかなって気づいたんです。毎日着たいけれど、ずっと続くと慣れっこになってよさが半減しちゃう。だから仕事が終わった瞬間にラフな格好に着替えるようにしていて。反面、プライベートはどうでもいい服ばかり(笑)」

 しかし、ここはさすが“美のカリスマ”。

「私は女優ではないから、バラエティーのときは見ている方に、ラクに、そして楽しく見てもらうことが私の使命。でもキレイにって言われたときには、キレイに見せることができる。それがすごく大事なんです」

 と言ってスッと首筋を伸ばす。その変化に驚いていると、

「同じ体形なのに、いかに身体を変えていけるか。5キロ体重が違うようにだって見せられる。日々の積み重ねが、“美しさ”をつくっていくと思うんです」

 そういう意識を高めてくれるのが着物。ぜひ多くの人に着てほしいと話す。

「帯を締めると、弱った心が凛として、背筋が伸びる。姿勢が変わると、見る“景色”も変わります。着物はきっかけがないと一生、着ない人もいるから。そんなのもったいない! ぜひ、この機会に着てほしいですね」

“ルンルンだった日”に立ち止まってみて

■美意識の保ち方

「“キレイになることばかり考える”ことが大事なのではなく、それぞれの人生観が磨かれていかないと、年を重ねたときに出てくるオーラみたいなものが薄っぺらくなっていくと思うんです。キレイを保つためには、キレイなものをいっぱい見ないと。例えばルンルンだった日があるとする。それはただルンルンだったのか、それともルンルンになるよう努めたのか。そういった意識も重要になってくると思います」

■着物のときのメイクテク

「首の色は、落ちにくい素材のファンデーションとかで、地の色よりも少し、ワントーンくらい明るく。顔のベースはその人の好みでいいと思うけど、Tゾーンは少し明るくしてあげて。フィニッシングパウダーにはラベンダーを。それだけで肌がすっごくキレイに見えるから。リップは着物の柄に赤が入っていれば赤、鮮やかなピンクならピンク系と、合わせてあげるといいと思う!」

■愛用のハンカチは

「本当は着物には薄手のハンカチのほうがいいんです。でも私は分厚いもの。滝のような汗が出ちゃうと困るから(笑)。実は以前、顔面まひになったことがあって。顔が歪んじゃったの。鼻から下が特に目立って、そこを隠すために使い始めたんです。しかもピンク。ピンクって人に明るさや元気も与えるし、口紅のかわりにもなる。それが続いて、今でも使い続けています」

■まずは家を大事に!

「外の世界って、自分の都合のいいようにまわっていないじゃない? そんな中で、唯一、自分中心でいられるのが家。家の中の“景色”って毎日見るものだから、そこに美学を全部集約するようにしています。気持ちのいいものにすることで、心も身体も変わると思う。まずは自分が見る“景色”を極めていくことが、キレイでいられる秘訣のような気がします」

特別展『きもの KIMONO』東京国立博物館
 秀吉や篤姫など、歴史上の人物が着用したものから、尾形光琳直筆の小袖まで、さらには着物が描かれた国宝の絵画作品、現代デザイナーによる着物など、約300件の作品を展示。IKKOさんも、「着物がわからない方でも大丈夫。まずは絵を見に行く感覚で来てください。鎌倉時代からの着物が並ぶその迫力を、ぜひ体感してほしいです」
※開幕日未定〜6月7日(日)。会期は展覧会公式サイト等でご確認ください。
https://kimonoten2020.exhibit.jp/