アパレル関連企業の倒産は昨年、4年ぶりに前年を上回った

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近年、ネット通販の伸長で注目が集まるアパレル企業で、2019年の倒産が4年ぶりに前年を上回ったことが、帝国データバンクの調べでわかった。「アパレル関連企業の倒産動向調査(2019年)」を2020年2月4日に発表した。

調査ではまた、倒産が大型化しつつある傾向が判明。今後、注意してみる必要があるという。

負債総額「50億円以上」の大型倒産が3件発生

2019年のアパレル業界は、ネット通販が台頭した影響で、百貨店向けブランドを多数展開する大手企業が国内外で大量閉店に踏み切ったことや、海外のファストファッションブランドチェーンが全面撤退したことが大きな話題になった。

調査によると、2019年のアパレル関連企業の倒産件数は、前年比2.4%増の252件。16年以降3年連続で前年を下回っていた動きが止まり、2015年以来4年ぶりに前年を上回った。

負債総額は前年比92.4%増の579億9100万円で、こちらは14年以来5年ぶりに増加した。

負債規模別にみると、最も多かったのは「1億円未満」の182件。ただ、前年の187件から5件減った。次いで、「1億円以上5億円未満」が51件で、前年の48件から3件増えた。「5億円以上10億円未満」は4件から7件と3件増、「10億円以上50億円未満」は7件から9件と2件増、「50億円以上」の負債企業は2018年はゼロだったが、19年には3件あった。

1億円以上のすべてのカテゴリーで前年を上回っており、倒産が大型化しつつある傾向がみられた。

2019年6月に特別清算開始命令を受けた「ラストステージ」(福島県喜多方市、負債約66億円)や同年5月に民事再生法の適用を申請した「リファクトリィ」(東京都中央区、負債約60億円)、同年7月に破産手続き開始決定を受けた「マザウェイズ・ジャパン」(大阪市中央区、負債約59億円)など、最近では17年に1件あった「50億円以上」の大型倒産が発生したことで負債総額を引き上げた。

卸売業や小売りの倒産増える

業態別では、「卸売業」の倒産件数が109件で前年比3.8%増。16年以来3年ぶりに増加した。負債総額も同43.7%増(256億7800万円)となった。

「小売業」の倒産件数は143件。こちらも前年より1.4%増え、17年以来2年ぶりに増加。負債総額は同163.2%増の323億1300万円で、2年連続で増加した。

帝国データバンクによると、今後、キャッシュレス還元などで緩和されていた消費増税の影響が出ることが予想され、また東京五輪・パラリンピック終了後の景気後退懸念もあり、消費者の購買意欲に影響を及ぼす可能性がある。

リーマン・ショック後の倒産ピークだった2009年の倒産件数は346件で、同社では、これに比べると2019年の252件は高い水準とは言えないものの、負債規模が大きい倒産が増えたことなどを背景に20年の倒産動向に着目する声は少なくないと指摘している。

なお調査は、負債額1000万円以上の法的整理が対象。カバンや靴、アクセサリーなどの服飾雑貨を扱う企業は含まれていない。