折りたたみスマホ3機種を直接比較、一番使いやすい製品はどれなのか
2019年に3社から相次いで登場した横開きスタイルの折りたたみスマートフォンは、価格が高価なことやディスプレイ強度の問題、そして使い道がまだはっきりしないということもありニッチなユーザー向け背製品に留まっています。2020年はモトローラやサムスンから今度は縦折りタイプの折りたたみスマートフォンが出てきますが、こちらは「開けば普通のスマホ」となることから、横開きタイプよりも受け入れられそうです。価格も横開きタイプの20万円超えに対し、縦開きタイプは10万円台に収まる予定です。
筆者はサムスンのGalaxy FoldとRoyoleのFlexPaiを入手して使っています。一方、ファーウェイのMate Xは11月に中国で発売になったもののなかなか実機に触ることはできず、1月にラスベガスで開催されたCES 2020のファーウェイブースでようやく製品版をじっくりと触ることができました。
それではこの3機種、実際にどれが使いやすいのでしょうか。最も気になるのはGalaxy FoldとMate Xの使い勝手の差と思われます。Galaxy Foldは内折りタイプ(谷折り式)、Mate Xは外折りタイプ(山折り式)と折りたたむ方向は全く逆。しかし開くと大型画面のタブレットスタイルになるのはどちらも同じです。
▲開いた状態。Mate X(左)、Galaxy Fold(右)
この両者、Mate Xは開いた画面にはカメラが無いため、そのままセルフィーやビデオ通話をするのには適していません。しかしカメラが無い分、ディスプレイの専有面積は大きくなっています。「閉じて小さいスマホ、開いて大画面タブレット」を求める人に適しています。
Galaxy FoldはMate Xよりもディスプレイサイズが小ぶりであり、また開いた状態でもフロントカメラがあるため画面の一部が欠き取られた形になっています。これはマイナスポイントでもありますが、フロントカメラを使う機能(特にビデオ通話)を普通のスマートフォンと同等に使うことができるメリットがあります。筆者は開いた状態でSNSのビデオ通話をよく使っています。
折りたたんだ状態を比べると、Galaxy Foldはサイズが細くディスプレイサイズも小さいために、この状態ではスマートフォンとして使うよりも、「小型スマホ」として使うような感覚になります。まるでRakutn Miniを使うような、そんな感覚かもしれませんね。しかしディスプレイサイズが小さいことから、片手でも楽に操作できる利点もあります。
▲閉じた状態。Galaxy Fold(右)、Mate X(左)
Mate Xは閉じても6.6インチと大きいディスプレイで使えるため、閉じたままでもフルに機能を活用できます。Galaxy FoldとMate Xを開いた時は、実はそれほどの差を感じません。しかし閉じたときの使い勝手は大きく異なります。閉じても開いてもハイスペックなスマートフォンを使いたいならMate Xのほうがよさそうです。
とはいえ折りたたんだ時にディスプレイが外側にむき出しになるため、持ち運びには注意が必要です。Mate Xには巻き取り式のカバーが付属するようですが、カバーを付けると「ポケットから出して、すぐに使う」ことができません。
さらにやや不満に感じるのが、閉じたときの反対側の6.38インチディスプレイ。画面横にカメラが3つに並ぶためやや中途半端なサイズ感となります。
閉じた状態で手で持ってみると、Galaxy Foldはスリムな形状のため片手の保持も楽です。Mate Xは厚みがある大画面スマートフォンという感じですね。重量はGalaxy Foldが263グラム、Mate Xが295グラム。どちも片手で持つとその重量をずしりと感じます。
▲Galaxy Fold(上)、Mate X(下)
この2者をくらべて「どちらがいい」とは一概に言いにくいのですが、総合的な製品の完成度としてはスマートフォン市場での歴史の長いサムスンにやや分があると感じられます。たしかに閉じたときのディスプレイサイズは小さいのですが、ケースの装着もできるのでディスプレイをしっかり保護できます。
Mate Xは閉じても開いてもGalaxy Foldよりディスプレイサイズが大きいというメリットがありますが、30万円を超える製品を恐る恐る使うのはちょっと気疲れしてしまうかもしれません。なおディスプレイ表面の硬さはMate X > Galaxy Foldで、さすがにMate Xは傷が付きにくいように仕上げられています。
さてこの2つのモデルより先に市場に出てきたのがフレキシブルディスプレイを手掛けるRoyoleのFlexPai。Mate Xと同じ山折り式のディスプレイを採用しますが、ヒンジ部分のカーブはゆるやかで完全には密着しません。そのためポケットにこのままは入れにくいところ。筆者は伸ばした状態でカバンに収納して持ち運ぶことが多いです。
とはいえこのヒンジのR部分にはよく使うアプリのショートカットを配置できるため、折り曲げた状態からワンタッチでアプリを呼び出すことも可能です。また曲がった部分を握って持ってみると意外と持ちやすく、この形状も悪くはないと感じます。
FlexPaiは開いた時に横長の画面になるためブラウザを使うときなども見やすく感じます。これで2画面分割がうまく使えれば2つのアプリの併用も楽なのですが、Googleサービスが乗っていないためアプリの追加に制限があり、広い画面を複数のアプリで活用できないのが残念なところ。
3社の折りたたみスマートフォンはまだそれぞれ「初号機」であるため、操作性や耐久性に難点も見られます。しかし5Gの時代が来れば大きい画面で高精細なストリーミング動画を見ることが当たり前になるはずですから、折りたたみスマートフォンは数年もすれば一般的な製品になると筆者は考えています。2020年はより多くのメーカーが折りたたみスマートフォン市場に参入して使い勝手や品質を向上させ、完成度を高めていく1年になるのではないでしょうか。