太陽系外惑星探査は新たなステップへ。宇宙望遠鏡「CHEOPS」打ち上げ成功

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離床したソユーズSTロケット(Credit: ESA)


2019年12月18日17時54分(日本時間)、アリアンスペースはフランス領ギアナのギアナ宇宙センターにおいて、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「CHEOPS(ケオプス)」をはじめ、地球観測衛星「COSMO-SkyMed Second Generation(CSG)」と3機の小型衛星(「OPS-SAT」「EyeSat」「ANGELS」、いずれもCubeSat規格)の合計5機を搭載した「ソユーズST」ロケットの打ち上げを実施し、これに成功しました。


■既知の系外惑星を詳細に観測することに特化したCHEOPS

観測を行うCHEOPSの想像図(Credit: ESA / ATG medialab)


過去に打ち上げられた宇宙望遠鏡「ケプラー」や系外惑星探査衛星「TESS」は、未知の系外惑星の発見を主な目的としていました。これに対しCHEOPSは、すでに知られている系外惑星が主星(恒星)の手前を横切るトランジット現象を改めて観測することで、系外惑星のサイズを精密に調べることを主な目的としています。観測対象によっては大気の様子を調べたり、衛星や輪を検出したりすることも可能とされています。


4000以上も見つかっている系外惑星のなかには、木星よりも大きなガス惑星と思われるものもあれば、地球と海王星の中間にあたるサイズの「スーパー・アース」や「ミニ・ネプチューン」に分類されるものもあります。こうした系外惑星の性質をより正確に知るためには、なるべく正確な直径と質量の値から密度を割り出すことが必要です。CHEOPSによってもたらされる精密な直径の観測データにより、特に海王星サイズ以下の小さな系外惑星の性質が明らかになることで、系外惑星探査が新たなステップに進むことが期待されています。


また、2021年に打ち上げが予定されている「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡や、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が建設を進めている「欧州超大型望遠鏡(E-ELT)」の観測候補を、CHEOPSの観測によって絞り込むことも予定されています。


■イタリアの地球観測衛星と3機の小型衛星も相乗り

地球観測衛星CSG 1のイメージ図(Credit: Arianespace)


今回打ち上げられたソユーズSTには、CHEOPSの他にも大小4基の衛星が搭載されていました。このうち「COSMO-SkyMed Second Generation(CSG)」は合成開口レーダー(SAR)を搭載したイタリアの地球観測衛星(軍民両用)で、2007年から2010年にかけて4機が打ち上げられた「COSMO-SkyMed」の次世代機にあたります。


今回打ち上げられた「CSG 1」に続き、1年後には現在開発中の「ヴェガC」ロケットによって「CSG 2」が打ち上げられる予定です。


 


関連:太陽系外惑星の観測に特化した宇宙望遠鏡「CHEOPS」打ち上げ準備進む


Image Credit: ESA
Source: ESA / Arianespace
文/松村武宏