2020年卒の新卒採用が多い会社ランキング。1位は三菱電機となった。

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2018年の日本国際工作機械見本市には、新卒採用数トップの三菱電機も出展。同社の製品群は重電から家電までと幅広い (撮影:梅谷秀司)

厚生労働省と文部科学省が調査をしている大卒内定率は、2020年卒も高水準を維持している。10月1日の内定率は76.8%と、前年同期比で0.2ポイント低下しているが、ここ数年では高い水準になっている。就活を控える学生の間にも余裕があったのか、学内セミナーの参加も例年より少なかったとの声も大学職員から聞かれた。


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たしかに、リクルートワークス研究所が公表した最新の大卒求人倍率調査は1.83倍で相当な売り手市場と見てよい数値だ。だが、求人総数は7年ぶりの減少に転じ、従業員規模5000人以上の会社に絞れば0.42倍と狭き門のままだ。

売り手市場だが、水面下で異変も

職種別採用も総合職と一般職の採用が一般的であったものの、メガバンクが総合職と一般職を統合する方針を発表するなど、一般職の採用は減少傾向にある。中には、総合職とスペシャリスト(専門職)の職種別採用を導入する会社も出てきている。就活生は、こうした傾向や会社ごとの採用数を把握することが重要だ。

そこで小社が11月29日に刊行した、『就職四季報2021年版』(「総合版」を筆頭に「女子版」「優良中堅企業版」を同時刊行)から、新卒採用が多い会社を集計し、上位300社をランキングした。

対象は「総合版」掲載の1303社のうち、「修士・大卒採用数」(2020年4月入社予定)に有効回答があった1249社。なお、調査時点は原則2019年8月で、会社によってはその時点での内々定者数や、予定・計画数の場合もある。また、ランキングには前年調査結果〔「修士・大卒採用数」(2019年4月入社)〕も併記し、前年からの増減がわかるようにした。

トップは三菱電機(880人)。昨年比で約40人減らしたが、反対に順位を1つ上げることとなった。2位には大和ハウス工業(810人、75人減)が、3位には富士通(750人、昨年5位)がそれぞれランクインした。

3年前にはトップ3を独占した3メガバンクは採用数を絞りこみ、トップ10にランクインしたのは三井住友銀行(9位600人、昨年9位650人)のみとなった。昨年首位だった三菱UFJ銀行は(15位531人、昨年951人)、ほぼ半減した。みずほフィナンシャルグループ(14位550人、昨年6位700人)は2年前の4割程度となっている。

また、金融関係では、7位東京海上日動火災保険(639人)、12位りそなホールディングス(565人)、23位大和証券グループ(450人)なども採用数は多いが、全体的には絞り込んでいる。

ランキング入りした業種を見ると、いちばん多かったのが銀行業の28社(9位三井住友銀行、12位りそなホールディングス、14位みずほフィナンシャルグループ、15位三菱UFJ銀行、31位三井住友信託銀行417人など)。

続いて、システム・ソフト業26社(6位富士ソフト650人、21位NTTデータ483人、43位大塚商会350人、48位NECソリューションイノベータ349人、54位システナ331人など)、建設業24社(53位大成建設333人、60位清水建設320人、68位大林組286人、81位鹿島247人、84位竹中工務店237人)となっている。

大量採用のワケを読み取る

新卒採用が多い会社の特徴・要因を考えてみたい。まずは、会社の規模が大きく従業員が多いので、新卒採用も自ずと多くなるケース。これは、さきほどの金融やメーカーなどが該当する。続いて、会社の成長に伴って新卒を積極採用するケースだ。ITや小売(とりわけドラッグストアやニトリグループなどの製造小売)が当てはまるだろう。

反対に、会社や従業員の規模に比べて極端に新卒採用が少ない場合、業績不振や人員調整など何らかの要因が背景にあるはずだ。

最後に、早期の大量離職を見越した大量採用を行うケースには注意が必要だ。ほかとの明確な線引きや基準の違いはないが、業績(複数年分)、従業員数と新卒採用数の比率、平均勤続年数や平均勤続年齢、新卒3年後離職率などさまざまな項目をチェックしていくと、会社を取り巻く環境や従業員の置かれる状況が浮かび上がってくるはずだ。

ランキングを眺めて、知らない会社があったり、採用数の増減に疑問を抱いたりしたら、積極的に調べてみることだ。業界研究や企業研究のきっかけとしては十分だろう。

広報解禁まで残すところ3カ月。「まだ3カ月ある」のか、「もう3カ月しかない」のか。どう捉えて行動に移すのかでそろそろ明暗が分かれ出す時期であることに違いはないだろう。