アップルのプライバシー保護技術「Sign in with Apple」、特許侵害として提訴
今年のWWDC19で発表された、アップルの新たなプライバシー保護への取り組み「Sign in with Apple」。この新機軸が、アプリ開発企業により特許侵害として提訴されたことが報じられています。原告となったBlixは、電子メールアプリBlue Mailを開発した企業です。同社はアップルが「本来のメールアドレスを隠す機能」を盗用し、「Sign in with Apple」に組み込んだと主張しています。

「Sign in with Apple」とは、ウェブサービスに登録するメールアドレスが自動生成され、本来のメールアドレスをサービス側に渡さずに済むしくみです。その後、サービス側からの通信をユーザーは受け取りつつ、プライバシーと本来のメールアドレスも守られることになります。

Blue Mailの開発者によれば、Blixは2017年に「Share Email(電子メールの共有)」として本技術の特許を取得したとのこと。アップルはそれを侵害していると述べられています。

Blixとアップルの確執は今回が初めてではなく、The New York Timesがアップルが過去にApp Storeにて純正アプリを優遇していたと示唆していたさいに、Blue Mailも不当にランクを下げられたと主張。そしてアップルが検索アルゴリズムを調整した後に、実際に143位から13位に急浮上したとのことです。

また、Blue Mailアプリは「Sign in with Apple」が開始される数週間前に、「TypeApp」というアプリをコピーしたとしてMac App Storeから削除されています。これに対してBlixは、TypeAppはBlue Mail発売の数週間前にApp Storeから自発的に削除されており、アップル虚偽を述べていると反論している経緯もあります。

Blixは、アップルに「Sign in with Apple」の差し止めおよび損害賠償をアップルに対して請求しています。もしもBlixが勝訴した場合でも、この新機軸はアップルがプライバシー保護について競合他社と差別化する戦略的な意味合いが大きいため、差し止めを避けるための決着が図られるのかもしれません。