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はじめに

SUV勢力の著しい成長はとどまるところを知らない。それは大ぶりな本格クロカン、たとえばわれわれがテストしたジープ・ラングラーやメルセデスGクラス、そして年内にも登場するはずのランドローバー・ディフェンダーといったものばかりではない。いまや、ファミリーカー市場でもSUVのシェアは増大している。

それらに加え、パフォーマンス重視のSUVもジャンルを確立しているが、その波はピックアップトラックにも及んでいる。今回はそんな、トラックをスポーツカーに変貌させた一台、フォードのレンジャー・ラプターを取り上げる。

ラプターとは猛禽類の意味。最近では、最新鋭戦闘機の愛称にも使われている。

アメリカ国内に限れば、フォードは以前より、F-150トラックにラプターのバッジをつけて販売していた。巨大で強力なエンジンを積むハイパフォーマンスモデルに与えられるその名が、フォード・パフォーマンスによって、RSやSTのような高性能ブランドとして展開されるようになり、アメリカンなピックアップとしては小型な部類に入るレンジャーにも初設定されることとなった。

ラプターのふたつ名を持つF-150とレンジャーには、共通するテーマが見受けられる。オーバーフェンダーやサイドウォールの膨らんだBFグッドリッチを装着し、シャシーを大幅に改修しているのだ。その詳細は後ほど。

ところが、エンジンはそうはいかなかった。アメリカ市場に向けたF-150ラプターが最高出力456ps/最大トルク70.5kg−mの3.5LエコブーストV6を積むのに対し、欧州や豪州での販売がメインで、本国では近日デビュー予定のレンジャーは新開発の2.0L直4ツインターボディーゼルだ。

エンジニアリング面に多少の差異はあるが、そのほかの要素はラプターの名にふさわしい。0−100km/hタイムは10秒を超えるが、まさしくフォード・パフォーマンスのクルマだ。

ピックアップといえば、その積載重量の大きさから商用車としても人気だが、ラプターのそれは減らされている。トラックとしてみれば奇妙な話だが、このクルマに関しては大きな問題ではない。われわれが知りたいのは、走らせてみてどうかという点に尽きるのだ。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

ラプターは、オフロードレース用トラックの遺伝子を受け継ぎながら、ナンバープレートを取得でき、3年保証も付いてくる。ラダーフレームシャシーはレンジャーの標準モデル用をベースに、低合金スティールを用いて、特にフロントのストラットタワー周辺の強度が高められ、オフロードでの高速走行で想定される衝撃への耐性を持たせている。

リアサスペンションは、コントロールを保ちつつ衝撃吸収性を改善するため、全面的に新設計された。スプリングはリーフからコイルへ変更され、アクスルの横方向の位置決めは、ワッツリンクの追加で正確さを増した。

前後ともコイルスプリングを採用。ダンパーは、オフロード四駆やMTB向けの高性能品を製造するフォックス製だ。

ダンパーはフォックス製で、トラベルは標準仕様よりフロントが32%、リアが18%伸ばされている。最低地上高は30mmプラスの283mmで、ジープ・ラングラーのオフロード性能がもっとも高い仕様であるルビコンより大きい。床下には、2・3mmの鉄板を用いたアンダーガードを設置する。

最大渡河深度は850mmで、レンジローバーには50mm及ばないものの、本格クロカンでさえほぼ太刀打ちできるもののない数字。タイヤは、オフロード向けのトレッドパターンと強化されたサイドウォールを持つ、285/70サイズのBFグッドリッチKO2だ。

ダブルキャブのボディは巨大だ。全長5363mmと全幅2180mmは、レンジャーのベーシックなXLTグレードよりわずかながら拡大され、トレッドはなんと150mmも拡幅。占有面積はメルセデスSクラスより大きい。

予想されるほぼあらゆる地形を走破するレンジャー・ラプターは、4気筒の2.0Lツインターボディーゼルを搭載。F-150ラプターのように、フォードGT由来の3.5L V8を積むことも検討されたようだが、欧州販売を考慮して断念。213psと50.7kg−mを発生し、後輪もしくは四輪を、10速ATとハイ/ロー切り替えの副変速機を介して駆動する。

2510kgの車重もあり、パフォーマンスは控えめで、0−100km/h加速の公称値は10秒をややオーバーする。しかしながら、最大限のトラクションを得られるよう、リアにはデフロックを備える。

当然ながら、この車の強大なポテンシャルを最大限引き出すため、電子制御の走行モード切り替え機能が備わる。テレインマネージメントシステムと銘打たれたそれは、6つのモードが設定され、草地やグラベル、雪上、岩場などに対応する。もっとも興味深いのはバハモードで、砂漠レースの舞台にもなる地名を戴くことからもわかるように、悪路での全開走行を考慮したものだ。

内装 ★★★★★★★☆☆☆

量販車ベースのパフォーマンスカーに乗り込むと、ピアノブラックやカーボン風のプラスティックパネル、アルカンターラのトリムやアルミのペダルなどでそれとわかるもの。赤いステッチがあちこちに入る、などというのもありがちだ。

このラプターでも、やり方は似たようなものだ。ただし、ステッチの色はフォードのバッジを思わせるブルーだ。

随所に施されたステッチは、フォードのバッジを思わせるブルーだ。

シートは、クッションをアルカンターラが覆い、ラプターのロゴが入る。一般的なピックアップのそれと比べればホールド性の高い形状となっているが、ありがたいことにフルバケットではない。円形のステアリングホイールは大きく、中立位置に赤いストライプが入っている。ロック・トゥ・ロック3.5回転で、大きく舵を切ることの多いクルマであることを考えると、センターをわかりやすくすることはホットハッチなど以上に意味をなすといえる。

シフトパドルはマグネシウム素材。ブルーのステッチはステアリングホイールのリムだけでなく、ダッシュボード上面を覆うレザーにも施され、安価なピックアップのインテリアを700万円オーバーのクルマらしく仕上げている。

そうした変更は、どれも功を奏している。リアシートは2人乗りと割り切ったほうがいいが、前後ともスペースは広い。タッチ式ディスプレイとメディアシステムも含めて、このラプターは商用車ではなく、まずまずきちんとした乗用車だという印象を受ける。ただし、硬く安っぽいプラスティックが使われている部分もあるのに目をつぶれるのであれば、だが。

キャビンの背後は通常のレンジャーと同じサイズの荷台で、それを覆うカバーの選択肢は多い。テールゲートは見た目より開けやすいが、地上高があるので、荷台にアクセスするには踏み台がいるだろう。

ラプターの運動性能を高めるシャシー改修は、積載性にも影響を与えている。牽引能力はベース車の3500kgから2500kgに、荷台の1t以上あった積載重量も758kgまで減少した。つまり、これはトラックではなくパフォーマンスカーとして付き合うのが正しいということになる。

走り ★★★★★★★☆☆☆

レンジャー・ラプターは正真正銘、フォード・パフォーマンスが手がけたモデルであるだけに、2.0L直4ディーゼルのおもしろみのなさをどうしても批判したくなる。もしも北米仕様にはF-150と同じくV6ガソリンユニットが搭載されるという噂が真実であれば、なぜ欧州仕様にも積まなかったのか疑問を呈せざるを得ない。

必然的に、論点は売れるかどうかという話になるだろう。しかし、シャシーに施された広範囲な変更を念入りに試したあとなら、カタログ上のパフォーマンス不足によってレンジャー・ラプターのエンジンを批判することは、的外れな指摘にさえ思えてくる。

シャシーの改修はみごとだが、エンジンはやや物足りない。

そうはいっても、パフォーマンスカーだと見るなら、このクルマはたしかに遅い。2.5tのピックアップトラックが、路面の湿ったテストコースで、10.5秒という0−97km/hタイムをマークすれば上々だし、0−100km/hが10.5秒というカタログデータも信用できるところだ。しかし、2012年にテストした5気筒・200psのレンジャー・ワイルドトラックより0.3秒速いに過ぎないのだ。

よりリアルな交通状況に近い48−113km/hでも、その差は同じようなもの。レンジャーの標準モデルが10.7秒なのに対し、ラプターは10.5秒に過ぎないのだ。それでも、昨年のテストで0−97km/hが11.2秒、48−113km/hが11.6秒だったメルセデスX250dは凌いでいる。

クルージングでは、このエンジンは控えめで、だいぶ洗練された印象だ。急加速をするとディーゼルらしい轟音がかなり耳につくが、実はスピーカーが発する合成音で、われわれが一番うんざりしたのはそこだ。どんなに想像力を働かせても、そのサウンドがスバルの古き佳きインプレッサWRX STIのそれに聞こえてくるわけもなく、ひたすら不自然なだけなのだから。

いっぽうの10速ATは、ときどき段数がちょっとばかり多くて扱いかねているように感じることもある。パートスロットルで加速すると、一旦シフトダウンしてから、エンジン回転数がちょうどいいダッシュをするには足りないと気づいて、再度ギアを下げるようなところが見られるのだ。それでも、ゼロ発進はスムースで、トリッキーなオフロードで運転するのに役立つ正確な操作にもつながる。

使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆

インフォテインメント

レンジャー・ラプターには、フォードのインフォテインメントシステムであるSync3を装備。これには、ナビゲーションやデジタルラジオ、Bluetooth接続、Android AutoとApple CarPlayがセットとなる。

それらはすべて、中央に設置された8.0インチのタッチ式ディスプレイで操作する。そのグラフィックの洗練度は、世界トップレベルというわけではない。それでも、操作はおおむね直観的で簡単だ。

操作性は優秀だが、スマートフォンのミラーリングを用いるとその限りではない。

ディスプレイ下端に並ぶショートカットは、各メニューを素早く呼び出せるのだが、Android AutoとApple CarPlayを使う際には表示されない。ホームボタンも同様なので、メイン画面に戻るには複雑な手順を経なければならなくなる。

とはいえ、便利な機能も少なくない。たとえばWiFiホットスポットなどがその一例だ。また、『ヘンゼルとグレーテル』のパンくずのように、通ってきた道を記録してくれるので、道無き道へ分け入った際にも、元の場所へ容易に戻れる。

燈火類

バイキセノン自動ヘッドライトとフロントLEDフォグライトは標準装備。今回、それらを試す機会はなかった。

ステアリングとペダル

大ぶりなペダルは、ゆとりある間隔で配置され、快適に運転できる。対して、ステアリングコラムにテレスコピック調整がないのは残念だ。

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

ロック・トゥ・ロックが3.5回転もあるステアリングは、岩や石が転がる道を進む際にすばらしいアキュラシーを見せるが、オンロードではレスポンスが遅い。

このメカニズムでは、舵を切るのにちょっとばかり骨が折れ、その余分な労力が一般的なSUVではなく、リフトアップしたピックアップに乗っているという事実を思い出させる。

シャシーはオンロードでも苦もなく操れるが、オフロードタイヤの限界は低い。

とはいえ、このレンジャー・ラプターの鼻先の向きを変えるのは、ひどくつらい作業ではない。ステアリングはほどよい軽さで、レスポンスはリニアなので、コンフィデンスが萎えるようなこともない。

フィールもまずまずあり、ボディのロールは十分うまく抑えられている。元気よく走っても、ハンドリングは実に正確に感じられる。

それらもろもろが相まって、これほど大きなクルマでありながら、路上での位置決めはイージー。運転に物怖じするようなことはない。

だとしても、狭い道ではその巨大さを実感させられる。もっとも、たいていの縁石や植え込みは踏み越えられるとわかっていれば、安心して前へ進めるだろう。

ゴツいBFグッドリッチは、泥道や轍だらけの悪路でトラクションをフルに発揮するのに対し、オンロードでは制約がある。それがウェットコンディションでも、この事実は変わらない。コーナーの脱出で過剰にスロットルを開けると、後輪が実に激しく足取りを乱す。もっとも、その変化はプログレッシブで、抑えがきいており、型通りといったところだ。

それよりつまらないのは、アンダーステア傾向だ。2.5tの重量が生む勢いは、鋭い方向転換で容易に前輪の能力を圧倒し、湿った路面ではノーズが大きく流れる。電子制御のハンドリングエイドは、スイッチオンのままにしておくほうがいい。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

すばらしいオフロード性能を実現するために費やされたフォード・パフォーマンスの労力は、オンロードでもその恩恵を感じさせる。

たしかに、サスペンションの大掛かりな改修は、空荷のピックアップの欠点であるセカンダリーライドの忙しなさを消すために施されたわけではない。だが、このレンジャー・ラプターに関して言えば、それを比較的小さいものにしている。

極限の悪路走破性を求めたクルマとしては、予想外に快適な乗り心地を味わえる。

リアアクスルはとくに落ち着きが増しており、よほど舗装の状態が悪くなければ、ひどく揺すられる感じはしない。たとえそうしたコンディションであっても、レンジャー・ラプターを洗練性や快適性がひどく不足していると責めるのは言い過ぎだ。

このハードコアなフォードは、ボディの上下動をなだらかにコントロールしているので、速度域の高いA級道路や高速道路でも驚くほど快適。レンジャー・ラプターほど極限の状況下を走る能力を持ったクルマに関して、こんなことを書くのは不自然にさえ思えるが、このクルマでの長距離クルーズを思いとどまらせる理由はほとんどない。

しかもキャビンは、不満のない程度に静かだ。113km/h巡航では、昨年テストしたメルセデスX250dを1dB上回る66dBを計測しているが、これはラプターが履くゴツゴツのBFグッドリッチ・オールテレインのせいだろう。同様のコンディションでテストしたラングラーは70dBだった。

購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆

5万ポンド近い4気筒ディーゼルというのは、このクルマのポテンシャルを悪路で引き出したいオフロード走行が趣味のドライバーより、これを自己主張の道具にしたいユーザーを引きつけそうだ。

あくまでも実用車や商用車がほしいなら、積載性が落ちて税制優遇も見込めないこのクルマを選ぶのは賢明ではない。荷台の許容重量も牽引重量も大幅に減っていることは先に述べた。トラックとしての実用性を求めるなら、通常のレンジャーを買った方がいい。

実用面で原点はあるが、その特殊性からリセールは高くなりそうだ。

しかし、もしほかのピックアップではなくラプターを指名買いするというなら、車両価格の高さを踏まえてもお得な買い物だといえる。予想される残価は、かつてないほど高くなりそうだからだ。3年・5.8万km後におおよそ半額程度になるとみられるラングラー・ルビコンなど、まったく歯が立たないだろう。

スペック

レイアウト

レンジャー・ラプターに搭載されるツインターボのディーゼルユニットはこれがデビューで、10速ATと組み合わされる。ラダーフレームとスティールボディの構成は通常のレンジャーと同じだが、フロントアクスルは補強され、リアアクスルはスプリングをリーフからコイルへ変更するなどの改修を受けた。実測車重はほぼカタログ値通りで、前後の配分は53:47。

エンジン

駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:直列4気筒1996ccツインターボ、ディーゼル
ブロック/ヘッド:鋳鉄/アルミニウム
ボア×ストローク:φ84.0×90.0mm
圧縮比:16.0:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:213ps/3750rpm
最大トルク:50.7kg−m/1750~2000rpm
許容回転数:4750rpm
馬力荷重比:85ps/t
トルク荷重比:20.2kg−m/t
エンジン比出力:106ps/L

ボディ/シャシー

全長:5363mm
ホイールベース:3220mm
オーバーハング(前):908mm
オーバーハング(後):1235mm

全幅(ミラー含む):2180mm
全幅(両ドア開き):3640mm

全高:1873mm
全高:(リアゲート開き):−

足元長さ(前):最大1050mm
足元長さ(後):最大700mm
座面〜天井(前):最大1000mm
座面〜天井(後):最大940mm

積載重量:758kg

構造:スティールボディ/ラダーフレーム
車両重量:2510kg(公称値)/2516kg(実測値)
抗力係数:−
ホイール前/後:8.5Jx17
タイヤ前/後:285/70R17
BFグッドリッチ・オールテレインT/A KO2
スペアタイヤ:フルサイズ

変速機

形式:10速トルコンAT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.00/8.4 
2速:2.99/14.0 
3速:2.14/19.6 
4速:1.77/23.7 
5速:1.52/27.7 
6速:1.16/35.4 
7速:1.00/42.0
8速:0.85/49.1
9速:0.69/61.0
10速:0.64/66.1
最終減速比:3.15:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:8.6km/L
ツーリング:11.5km/L
動力性能計測時:5.7km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):7.4km/L
中速(郊外):−km/L
高速(高速道路):10.8km/L
超高速:−km/L
混合:9.3km/L

燃料タンク容量:80L
現実的な航続距離:690km
CO2排出量:233g/km

サスペンション

前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:3.5回転
最小回転直径:12.9m

ブレーキ

前:332mm通気冷却式ディスク
後:332mm通気冷却式ディスク

静粛性

アイドリング:46dB
全開時:74dB(4速)
48km/h走行時:57dB
80km/h走行時:62dB
113km/h走行時:66dB

安全装備

ABS/EBD/ESC/EBA/HDC/HSA/LAC/PCA/ROM
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人−%/子供−%
歩行者保護性能:−%
安全補助装置性能:−%

発進加速

テスト条件:湿潤路面/気温24℃
0-30マイル/時(48km/h):3.6秒
0-40(64):5.4秒
0-50(80):7.6秒
0-60(97):10.5秒
0-70(113):14.1秒
0-80(129):19.1秒
0-90(145):25.9秒
0-100(161):37.7秒
0-110(177):−秒
0-120(193):−秒
0-130(209):−秒
0-140(225):−秒
0-150(241):−秒
0-160(257):−秒
0-402m発進加速:17.9秒(到達速度:125.2km/h)
0-1000m発進加速:32.9秒(到達速度:156.3km/h)

ライバルの発進加速

ジープ・ラングラー2.2マルチジェットIIオーバーランド
テスト条件:乾燥路面/気温9℃
0-30マイル/時(48km/h):2.9秒
0-40(64):4.5秒
0-50(80):6.5秒
0-60(97):9.0秒
0-70(113):12.0秒
0-80(129):16.0秒
0-90(145):20.9秒
0-100(161):29.9秒
0-110(177):−秒
0-120(193):−秒
0-130(209):−秒
0-140(225):−秒
0-150(241):−秒
0-160(257):−秒
0-402m発進加速:16.9秒(到達速度:132.0km/h)
0-1000m発進加速:31.2秒(到達速度:163.2km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):4.2秒(2速)/3.4秒(3速)/4.1秒(4速)

30-50(48-80):4.0秒(3速)/4.1秒(4速)/4.5秒(5速)/5.3秒(6速)

40-60(64-97):5.1秒(4速)/5.1秒(5速)/5.8秒(6速)/7.5秒(7速)/10.0秒(8速)

50-70(80-113):6.6秒(5速)/7.5秒(6速)/8.5秒(7速)/9.9秒(8速)

60-80(97-129):8.5秒(6速)/9.6秒(7速)/11.3秒(8速)

70-90(113-145):15.9秒(6速)/12.0秒(7速)/13.7秒(8速)

各ギアの最高速

1速:40km/h(4750rpm)
2速:68km/h(4750rpm)
3速:93km/h(4750rpm)
4速:113km/h(4750rpm)
5速:132km/h(4750rpm)
6速:156km/h(4750rpm)
7速:170km/h(4064rpm)
8速:170km/h(3471rpm)
9速:170km/h(2800rpm)
10速(公称値):170km/h(2585rpm)

7速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1707rpm/1951rpm

制動距離

テスト条件:湿潤路面/気温24℃
30-0マイル/時(48km/h):10.5m
50-0マイル/時(64km/h):29.6m
70-0マイル/時(80km/h):57.7m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.46秒

ライバルの制動距離

ジープ・ラングラー2.2マルチジェットIIオーバーランド
テスト条件:乾燥路面/気温9℃
30-0マイル/時(48km/h):9.6m
50-0マイル/時(64km/h):26.6m
70-0マイル/時(80km/h):53.1m

結論 ★★★★★★★★☆☆

フォード・レンジャー・ラプターは興味深いマシンであるが、客観的かつ冷静にいうならば、不備も目につくところがある。

パフォーマンスカーとしては、エンジンには輝きがなく、ピックアップとしては積載能力に不満がある。価格は高く、この金額で手に入るファミリーカーとしてはもっとも賢明な選択とはいえない。しかし、それらを抜きにすれば、なかなか嫌いになれないクルマだ。

オンロードでは迫力に欠けるが、オフロードではみごとなほどタフで強靭なクルマだ。

極めて過酷なオフロードで使うため、フォード・パフォーマンスがレンジャーのシャシーを改良した努力は、思ったとおりすばらしいものだ。そうした変更がもたらしたオフロード性能とタフさは、本当に信じがたいものがある。だが、オンロードでも快適に走れるという点も無視できない。

要は、このクルマをどう解釈するかは、捉え方次第ということだ。一般的なピックアップトラックと同じ価値観で見れば、十分に納得できる物件ではない。しかしそれも、あくまで趣味のクルマだと思えば、道なき道を走ることを楽しめさえすれば大したことではないのである。

担当テスターのアドバイス

サイモン・デイヴィス

かなりの高さから落ちたときの扱いの容易さは驚きだ。相当のスピードでジャンプして、これほどしっくりくるクルマはない。

マット・プライアー

オフロードでは、ホイールベースが長いので、ブレークオーバーアングルに注意が必要だ。ただし、サイドレールやアンダーガードにより、多少のバンプはものともしない。

オプション追加のアドバイス

標準装備が非常に充実していることを踏まえれば、選択肢はボディカラーくらいしかない。おすすめは720ポンド(約10.8万円)のフォード・パフォーマンス・ブルーか、150ポンド(約2.3万円)のコロラド・レッドだ。

改善してほしいポイント

・もっとパワフルでキャラの立ったエンジンを積んでもいいのではなかろうか。
・キャビンにもうちょっと、パフォーマンスカーを感じさせる装いを。
・トランスミッションは、オンロードでの作動をもう少しうまくやってほしい。