宮古島から東京に移送され、看護される骨折した保護犬

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 飼育放棄や迷子などの理由で、保健所や動物愛護センター、レスキュー団体などに一時的に保護されている「保護犬」。皇室の愛子内親王が保護犬を迎えているのは有名な話で、芸能界でも、滝川クリステルさんやローラさん、岩城滉一さん&結城アンナさん夫妻、安藤裕子さんら多くの方が保護犬を迎えています。

 今回は、保護犬を救う活動などを行い、10年間で約1000頭の譲渡につなげた一般社団法人「Loveセラピープロジェクト ひいらぎちーむ」代表、小野早希恵さんに話を聞きました。小野さんは「『殺処分0頭』が目標と思われがちですが、本来の目的は放棄される犬がいなくなること。つまり『収容0頭』になることです」と語ります。

命をケアする喜びがいじめ防止に

Q.どうして、保護犬を迎える家庭が増えているのでしょうか。

小野さん「例えば、小さい頃から命のケアをする喜びを持つと、いじめや虐待防止につながるという理由から『命の授業』を行う小学校が増えています。私の活動でも、保護犬の存在や命の大切さを伝えたり、動物の心音を体で感じてもらったりしています。

家に帰った小学生が『保護犬を迎えて元気になるようにお世話をしたい!』と伝えて里親希望を出し、けがや病気をした犬を家族で団結してお世話することに、高い価値があると考える方が増えていることも、保護犬を迎えるご家庭が増えている要因だと思います」

Q.保護犬は保健所でどのように過ごし、家庭に迎えられるのでしょうか。

小野さん「一定期間、保健所・動物愛護センターに収容され、譲渡適性テストをした後、譲渡講習会を受けた方に一般譲渡を行います。または、レスキュー団体が健康診断・避妊去勢などの医療を施し、団体からの譲渡を行います。

殺処分する基準は都道府県によって異なりますが、例えば東京都の場合、譲渡に向いていない問題行動(「かみつき」など)がある犬もトレーナーを付け、行動改善をして譲渡につなげる方針があるそうです」

Q.保護犬を迎えることには、どのようなメリットがありますか。

小野さん「保護犬はあらかじめ性格や行動パターンが分かるため、自分のライフスタイルに合った犬種や年齢の犬を迎えることができるのがメリットです。トライアルがあるため、先住犬との相性も確認できます」

Q.例えば、どのようなケースがあるのでしょうか。

小野さん「都会のマンションに暮らす会社勤めの方は、犬のお留守番の時間や『ほえ』が気になる方が多いと思います。そこで、昼間はあまり動かず、ほえにくく、怖がりな習性のある野犬が合っていることが多いです。『野犬を迎えて、心を開いてくれる過程に心の充実感を感じた』という意見も聞きます。

また、高齢者施設に譲渡したところ、気持ちが和らぎ、睡眠薬が要らなくなった高齢者もいました」

実際に保護犬を迎えたいと思ったら?

Q.保護犬を迎えたいと思った場合、どうしたらよいのでしょうか。

小野さん「保護犬を飼いたいと思った場合、動物愛護センターに行って『譲渡講習会』を受けると、一般譲渡に里親希望を出すことができます。また、多くの犬と一度に会えるというメリットから、レスキュー団体の『譲渡会』や、いろいろな条件やキーワードからネット検索できて便利な『里親情報サイト』などの選択肢も人気です。

例えば、里親情報サイト『ペットのおうち』は、ペットの性格や特徴、健康状態が分かりやすく、情報量も多いので、自分に合った保護犬を選びやすいと思います」

Q.希望の保護犬が見つかった後は、どのような流れになりますか。

小野さん「里親希望を出してヒアリングを受け、条件が合えば、お見合いやトライアルに進み、問題なければ譲渡契約書を交わして譲渡という流れです。譲渡費用は、医療費がかさむ病気の犬も平等に救えるという観点から一律料金にしている団体も多く、その場合は約3万〜5万円が目安のようです」