画像は、『ゲームボーイパーフェクトカタログ』(ジーウォーク)の表紙

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 携帯ゲーム機の元祖、ゲームボーイ。若者たちは知らないかもしれないが、30代以上であれば懐かしく思うだろう。そんなゲームボーイを彷彿させる携帯ゲーム機が今、世界で続々と開発されようとしているらしい。いったい、なぜなのか?

◆ゲームボーイ世代が大人になり…

 30代の筆者は、まさにゲームボーイ世代の子である。あの四角く分厚い箱の中には、無限大の夢が詰まっていた。外にいながらゲームができる。これほど胸ときめく事象はない。もっとも、ゲームボーイ以前からゲームウォッチのような携帯ゲーム機は存在したが、これは予め本体ROMに内蔵された1本のゲームしかプレイできない。しかし、ゲームボーイは友達が持っているカセットを挿して遊ぶことができた。

 当時、周囲の大人たちは「最近の子供はメンコやベーゴマで遊ばなくなった」と嘆いていたが、そんなことはどうでもよかった。楽しかったのだから、それでいい――。

 1989年に発売されて以来、全世界で1億台以上も売り上げたゲームボーイ。

 世界中に輸出されていた製品だから、少年時代の筆者と同じ味わいを覚えていた者は各国に存在する。現在、その少年たちが30代になった。30代と言えば、想像力も行動力も絶頂の時である。かつて憧れていたゲームボーイをリメイクしよう、と試みるプロダクトデザイナーがここ最近目立つようになってきた。

 BehanceというSNSがある。これはクリエイターに特化したプラットフォームで、正直一般人にはあまり縁のないものではある。が、このBehanceにこんなプロダクトが登場した。ゲームボーイをベースにした携帯ゲーム機『Flex』だ。

 デザイナーのYJ Yoon氏は、子供の頃にクリスマスプレゼントでゲームボーイをもらったとのこと。それ以来のゲームボーイファンだが、同時にゲームボーイの要改良点も熟知しているそうだ。

 まず、Flexには本体からの突起部分がない。ボタンですら、本体に埋め込む形の設計だ。そしてゲームボーイはプレイヤーの右手にスピーカーが隠れてしまうという構造的欠点があったが、Flexではそれを本体上部に設けることで解決している。

 オリジナルのゲームボーイと比べると、かなりスリム化されたデザインであることがよく分かる。このFlexは現状販売されている製品というわけではなく、あくまでもBehanceで公開されている構想に過ぎない。だが世界中のユーザーから製品化を希望する声が相次いでいる。

◆ゲームボーイでスーファミのソフトをプレイ!?

 ゲームボーイの外見そのままに、中身を進化させていろいろなソフトをプレイしてしまおうという試みも存在する。最も有名なものは『ゲームボーイゼロ』である。これはゲームボーイ発のソフトはおろか、スーパーファミコンのソフトもプレイ可能という代物だ。

 ただしこのゲームボーイゼロ、端的に言えばマニア向けの製品である。部品や基盤等の組立キットを自分で工作しなければならない。これを家内制手工業でできる世帯は、そう多くはないだろう。

 ところが調べてみると、このゲームボーイゼロを完成品の状態で販売し、なおかつ日本への配送に対応している海外の業者があるという。それがショッピングサイトEtsyに製品を出展しているCastFXである。ボタン個数や本体カラー等のカスタマイズも請け負っていて、製品を購入したユーザーからの評価も高い。

◆最大5人でプレイ可能!

 これに負けじと、他の業者も「ゲームボーイ改」を市場投入している。クラウドファンディングKickstarterに『RetroStone』という製品が公開されたことがある。これもまた見慣れたデザインの携帯ゲーム機だが、何とUSB差込口が4つも搭載されている。これにコントローラーを接続し、最大5人でプレイができるという仕組みだ。

 今でこそ5人プレイの何がすごいんだと思われるかもしれないが、かつてのゲームボーイでは無理だったのだ。

 また、RetroStoneにはHDMI端子も内蔵されている。テレビと接続し、大画面でゲームを楽むことも可能。というより、多人数プレイではテレビが欠かせない。

 ここまで挙げた製品は、いずれも数年内に発表され、世界中で話題になったものである。気になるのはゲームボーイに関する任天堂のパテント(※特許)の問題だが、今のところは訴訟等は起こっていないようだ。もっとも、このあたりは今後も注視する必要がある。

 ゲームボーイと共に育った世代、具体的に言えば1990年代に小学生だった人々がモノづくりの世界に影響を及ぼし始めている。<文/澤田真一>

【澤田真一】
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』