2019年3月期決算の上場企業1841社の平均年間給与は629万円となったことが、東京商工リサーチの調査で分かった。前年より7万2000円増(1.1%増)となり、2010年3月期以来、9年連続の増加となっている。

 平均年間給与1000万円以上は27社(構成比1.4%)で、前年同期より3社増加。社数では、600万円以上700万円未満が527社(同28.6%)、500万円以上600万円未満が523社(同28.4%)と拮抗した。500万円以上700万円未満が1050社(同57.0%)と、全体の5割以上を占めた。

 業種別では、「建設業」が749万3000円(前年同期741万7000円)で最も高かった。2017年3月期(729万8000円)から3年連続でトップを守り、2016年3月期以降、700万円台を維持している。東京商工リサーチでは「活発な建設投資による業績改善に加え、人材確保のための賃金アップもあるようだ」と分析している。

 一方、最低は「小売業」の486万7000円(同477万円)で、唯一、400万円台にとどまった。次いで、「サービス業」531万3000円(同527万9000円)、「運輸・情報通信業」626万7000円(同620万2000円)の順となった。

 トップの建設業と最低の小売業の差は262万6000円(同264万7000円)と1.5倍の格差がある。ただ、小売業は8年連続、サービス業も9年連続で、平均年間給与が前年同期を上回っている。

 前年同期と比べると、10業種のうち「水産・農林・鉱業」を除く9業種で増加した。伸び率の最高は「不動産業」で、前年同期比2.5%増だった。次いで、小売業の2.0%増となった。

 一方、前年同期を上回った9産業のうち、伸び率が最も低かったのは、「金融・保険業」で0.52%増。平均年間給与の最高はあおぞら銀行(803万7000円)の177位だった。

 個別企業の平均年間給与トップは、総合商社「三菱商事」の1607万7000円だった。前年同期(1540万9000円)より4.3%増加し、2年連続のトップだった。

 2位は「伊藤忠商事」1520万7000円(前年同期1460万9000円)、3位は「日本商業開発」1501万1000円(同1368万5000円)と続く。

 また、6位に「住友商事」(1389万5000円)、7位に「丸紅」(1389万3000円)、15位に「双日」(1139万円)、19位に「豊田通商」(1096万9000円)と、総合商社が1000万円以上に7社入った。そのほか、不動産やゼネコン、メーカーなど業界を代表する大手も上位に名を連ねた。

【企業別 平均年間給与 上位10社】
1位 三菱商事(東京・卸売業) 1607万7000円
2位 伊藤忠商事(東京・卸売業) 1520万7000円
3位 日本商業開発(大阪・不動産業) 1501万1000円
4位 三井物産(東京・卸売業) 1430万円
5位 日本M&Aセンター(東京・サービス業) 1413万7000円
6位 住友商事(東京・卸売業) 1389万5000円
7位 丸紅(東京・卸売業) 1389万3000円
8位 ファナック(山梨・電気機器) 1364万4000円
9位 東京エレクトロン(東京・電気機器) 1272万円
10位 三井不動産 1263万4000円

 調査は2019年3月期決算の全証券取引所の上場企業を対象に、有価証券報告書の平均年間給与を抽出、分析した。