2019年の新入社員の働き方について「人並みで十分」が63.5%と過去最高となったことが、日本生産性本部が実施した「働くことの意識」調査で分かった。

 2019年の新入社員を対象に「どのポストまで昇進したいか」と聞くと、最も多かったのは「専門職<スペシャリスト>」(17.3%)、次いで「どうでもよい」(16.0%)だった。「社長」は12.6%となっており、10年前と比較すると2.6ポイント減少して過去最低水準となっている。

 男女別にみると、昇進志向は低下しているものの男性で最も多かったのは「重役」(19.4%)、次いで「部長」(18.6%)、「社長」(18.4%)だった。(女性ではそれぞれ9.6%、9.2%、4.1%)。

 一方、女性で多い回答は、「専門職<スペシャリスト>」22.7%、次いで「役職にはつきたくない」(14.0%)、「主任班長」(13.5%)だった。女性では、具体的に明示されない「役職にはつきたくない(14.0%)」+「どうでもよい(19.0%)」という回答が約3分の1の33.0%に達している。

【どのポストまで昇進したいか】
社長 12.6%(男性18.4%、女性4.1%)
重役 15.6%(男性19.4%、女性9.6%)
部長 14.7%(男性18.6%、女性9.2%)
課長 7.1%(男性8.1%、女性5.5%)
係長 2.0%(男性1.9%、女性2.2%)
主任班長 7.9%(男性4.1%、女性13.5%)
専門職<スペシャリスト> 17.3%(男性13.7%、女性22.7%)
役職にはつきたくない 6.9%(男性2.0%、女性14.0%)
どうでもよい 16.0%(男性13.9%、女性19.0%)

 「働く目的」で最も多い回答は、2000年度以降急増した「楽しい生活をしたい」で、39.6%となった。過去最高を更新した2017年度の42.6%から2年連続で減少した。次いで、近年上昇傾向のある「経済的に豊かになる」28.2%だった。

 一方、かつてはバブル期を除いてトップになることもあった「自分の能力をためす」は減り続け、前年度は過去最低の10.0%を更新していたが、今年度は10.5%と微増した。平成に入って増加していた「社会に役立つ」は近年減少し、9.3%と横ばい傾向にある。

 「人並み以上に働きたいか」と聞くと、近年増加傾向にある「人並みで十分」が過去最高を更新し63.5%となった。「人並み以上」は減少を続け29.0%と過去最低レベルに低下し、両者の差は調査開始以来最大の34.5ポイント(前年度30.3ポイント)に開いた。

 「仕事」中心か「(私)生活」中心か聞くと、常に「両立」という回答が多数を占めるが、今年度も77.0%と多数を占めた。

 残りの「仕事」中心と「(私)生活」中心、という回答に注目すると、「(私)生活」中心という回答が17.0となり、「仕事」中心(6.0%)を上回った。その差は11.0ポイント(前年度8.5ポイント)と前年度より広がっており、プライベート優先志向が強まっている。

 調査は、2019年3月11日〜4月26日、日本生産性本部が主催する新入社員研修に参加した企業の新入社員を対象に実施し、1792人の有効回答を得た。(男性1060人/女性726人/性別無回答6人)