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夫が痴漢で捕まりましたーー。怒りの女性が、弁護士ドットコムに質問を寄せました。夫は被害者に対して、複数回の痴漢行為を行い、事実も認めているそうです。

相談者は「被害にあった女性に対し、本当に申し訳ない気持ちです。うちにも娘がいて、被害者ご本人、親御さんの気持ちを考えると本当に許せません」と言います。

また、妻としても、女児の親としての立場からも「夫には裏切られたという思いが強い。もう顔も見たくありません」と考えています。仕事をしており、経済的な心配もありません。

そこで夫に対して、離婚と慰謝料請求をしたいと考えています。夫の逮捕を理由に慰謝料は認められるのでしょうか。慰謝料が認められる理由、金額はどのように決まるのでしょうか。木下貴子弁護士に聞きました。

●慰謝料請求は認められる

ーー夫への慰謝料請求は認められるのでしょうか

「夫が逮捕されたことを理由に離婚する場合、慰謝料が認められるでしょう。

慰謝料は夫が不法行為をしたために精神的な苦痛を負ったことを原因として発生します。本ケースの場合、夫は被害女性に対する性的犯罪行為をし、『夫婦生活の平穏』という法的な保護利益を害しますから、不法行為が成立するでしょう」

ーー金額はどうなりますか

「慰謝料の金額は、行為の悪質性や結果の重大性によって異なります。離婚に至ったかどうか、婚姻期間の長さなどによって異なります。

『婚姻』は、貞操義務を発生させ、性的充足感を配偶者のみから得ることを前提としています。これを裏切る性的犯罪を行うこと、しかも、複数回にわたり繰り返していることは、悪質性の高い行為と言えるでしょう」

ーー相談者の場合はどうでしょうか

「被害者女性と同じ女性としても、娘を持つ母としても、相談者は精神的に大きな苦痛を感じています。逮捕により、娘さんがいじめなどつらい思いをするようなことがあれば、さらに結果は重大です。

婚姻期間が長く、それまで仲の良い夫婦であれば、夫婦生活の平穏を害する度合いが高いので、慰謝料は増額方向となるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
木下 貴子(きのした・たかこ)弁護士
離婚・親権・養育費の分野で1000件以上の案件を扱う。「離婚後の親子関係の援助について」「養育費」をテーマに講演。離婚調停での「話し方」アドバイスブックはこれまでに1万人以上が利用している。著書「離婚調停は話し方で変わる」「離婚回避・夫婦関係修復につなげる話し方の技術」がAmazon法律部門他ランキング第1位獲得。
事務所名:多治見ききょう法律事務所
事務所URL:http://tajimi-law.com