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渋滞が予想される時には、行けるところで必ずトイレをすませるのが習慣という人は多いだろう。とはいえ、子どもや突然の渋滞時には、計画通りにいかないこともある。

都内の主婦J子さんは先日、普段は渋滞とは無縁のところで、事故渋滞に巻き込まれたという。その時、こんな思いがけないシーンを目撃したそうだ。

「待てど暮らせど、ほとんど動きません。30分くらい経ったころでしょうか。前の車から9、10歳くらいの男の子が降りてきたんです。何をするのかな、と見ていたら、その子は立ちションを始めたんです。子どもだから仕方ないと思いましたが、ほんとは犯罪なのでしょうか」と、J子さんは語った。

子どもに限らず、大人だってどうしようもない緊急事態はあるだろう。突然の事故渋滞は生理現象をこえるはずだ。それでも、立ちションは法的な問題に発展するのか。小野智彦弁護士に聞いた。

●「1000円以上1万円未満の使用料を払う覚悟で」

ーー法律で「立ちション」はどのように定められていますか

軽犯罪法1条26号には、「街路または公園その他公衆の集合する場所で、(略)大小便をし、もしくはこれをさせた者」は、拘留または科料にすると規定されています。

ちなみに、拘留とは1日以上30日未満拘留、科料とは1000円以上1万円未満の支払いとなります。

ーーとはいえ、事故渋滞などやむを得ないシチュエーションもあるはずです

確かに、事故渋滞で尿意や便意をもよおすことはよくある話ですね。

あまりにも我慢しすぎると膀胱炎になりかねないですし、他人の車に乗っていたりしてそこで漏らしたりすると、大げさに言えば器物損壊にもなりかねません。

このように自己の身体、他人の財産を守るために、法律を犯すことを「緊急避難」と言いますが、もしこれが成立すれば、その行為の違法性がなくなり、無罪となります。

とはいえ、そのようなことはこちら側で証明しなければならないこともあり、その証明は難しいかと思います。

ーーでは、どうしたらいいのでしょうか

通常は警察官に見つかっても厳重注意くらいでしょう。しかし、法的には問題は問題です。やむを得ない事情があるにせよ、1000円以上1万円未満の「使用料」(科料)を払う覚悟で立ちションをするしかなかろうと思います。

車の中で漏らすわけにもいかないでしょうし、悩ましい問題です。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
小野 智彦(おの・ともひこ)弁護士
浜松市出身。1999年4月、弁護士登録。オフィスは銀座一丁目。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏が漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴した事件などの代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。
事務所名:銀座ウィザード法律事務所
事務所URL:https://ginzawizard-lawoffice.com/