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海賊版サイトをブロッキングする措置は違法だとして、NTTコミュニケーションズとプロバイダ契約を結んでいる弁護士が、同社を相手取って、ブロッキングの差し止めを求めた訴訟で、東京地裁(鈴木謙也裁判長)は3月14日、「今後、被告がブロッキングをおこなう蓋然性が高いとはいえない」として、原告の請求を棄却した。

鈴木裁判長は、ブロッキング措置が予告されていた「漫画村」など3サイトが、現時点で閲覧できなかったり、アクセス数が激減している状態にあり、NTTコミュニケーションズ側が「ブロッキングをおこなう予定はない」と主張していることなどから、「ブロッキングの差し止めの必要性は認められない」と判断した。ブロッキングそのものについては踏み込まなかった。

原告の中澤佑一弁護士は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。中澤弁護士は「NTTコミュニケーションズ側が、裁判で、ブロッキングはやらないと言っていたので、請求が棄却されるのは当然だと思っていた」「裁判所に対する裏切りなので、予定変更はやりづらいだろう。提訴した意味はあったと思う」と述べた。訴訟がつづく間は、ブロッキングが実施されないとして、控訴する予定という。

この日の判決を受けて、NTTコミュニケーションズは、弁護士ドットコムニュースに対して「判決文の内容をよく精査したうえで、今後の対応について改めて検討する」とコメントした。現状、予告された3サイト以外の海賊版サイトについても「ブロッキングする予定はない」としている。

●NTTグループ3社は「ブロッキングを実施する」と発表していた

いわゆる海賊版サイトをめぐって、政府は2018年4月13日、「漫画村」など3サイトについて、プロバイダの自主的な取り組みとして、ブロッキング(アクセス遮断)することが適当とする緊急対策を決定。NTTコミュニケーションズを含むNTTグループ3社は4月23日、準備が整い次第、ブロッキングを実施すると発表した。

こうした状況を受けて、中澤弁護士は2018年4月26日、ブロッキングの根拠となる規定がNTTコミュニケーションズの約款に存在せず、電気通信事業法に違反しており、憲法の「通信の秘密」も侵害するとして、NTTコミュニケーションズを提訴。NTTコミュニケーションズ側は、訴えを退けるよう求めていた。

(弁護士ドットコムニュース)