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待機児童や保育事故、保育士の労働環境など保育をめぐる問題で提言を行う「保育を考える全国弁護士ネットワーク」が立ち上がり、東京都内で3月5日、保育政策に詳しいジャーナリストの小林美希さんを招いて会合を開いた。

ネットワークの発足は2019年1月。共同代表は、寺町東子弁護士、川口創弁護士、藤井豊弁護士、宮本亜紀弁護士の4氏が務める。川口弁護士は冒頭、「よりよい保育実現のために頑張っていきたい」と述べた。

●急な休みは1万円の「罰金」

小林さんは保育現場の取材を重ね、「ルポ 保育崩壊」(岩波新書)などの著書を出している。集まったメンバーを前に小林さんは、人手不足に伴い経験が足りない若手保育士が現場で過大な責任を担わされ、結果として子どもにきつくあたっていることがあると指摘。

自身が取材している目の前でも、副園長を経験したことがある20代の男性保育士が、「行儀が悪い」と1歳児を叩いたこともあったという。また、保育士に余裕がなく、迎えの際に保護者に「今日どうだったか」と子どもの様子を伝えない園もあったと振り返った。

さらに、ある社会福祉法人が手がける園では、保育士が急に休むと1日あたり1万円が「罰金」として、給与から天引きされたケースもあったという。

●保育士の待遇改善が進まず

年間約7800億円かけて、10月からは幼児教育・保育が無償化される見通しだ。対象の子どもをもつ世帯(3〜5歳児をもつ全世帯、0〜2歳児をもつ住民税非課税世帯)にとって恩恵は大きい。

一方、保育士の待遇改善が十分進んでいない点を、小林さんは強く問題視する。ある法人が営む保育園の例では、大卒の1年目保育士の年収が200万円台で、サービス残業も常態化。「若くても園長に抜擢する」と言いつつ、負担に見合った待遇が保証されていないという。

小林さんは「保育士が安心してキャリアを積んでいけるようにしないといけない。無償化の前にやることがある。保育士の待遇改善をしっかり進めるべきだ」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)