菅田将暉、記念本の長すぎるタイトルに感じられた “そのにおい”
芸能人、という“くくり”について少し。
俳優は俳優、タレントはタレント、歌手は歌手、と、それぞれに好きなように肩書きを選べるのが芸能人。ところが最近の若手は、そういう“くくり”に入れられるのが、少しばかり嫌なようなのだ。
先日、俳優の菅田将暉(26)が俳優生活10周年記念のアニバーサリーブックの発売記念で、取材会を開催した。
クリエーターの世界で出会った
まず本のタイトルが長い。
『 誰かと作った何かをきっかけに創ったモノを 見ていた者が繕った何かは いつの日か愛するものが造った何かのようだった。 』(ワニブックス刊)。
ここにも、“そのにおい”が感じられる。それは、自らを「クリエーター、アーティスト」として認識するという立ち位置。芸能人としての表現ではなく、クリエーターやアーティストとして「モノづくり」をしている姿勢だ。
タイトルが長いのは、書店の注文泣かせ、売り上げランキングの表記泣かせになるが、クリエーターやアーティストはそんなのお構いなしだ。
同書の中には、かつて熱愛が報じられた女優の二階堂ふみ(24)も登場している。二階堂の存在について菅田は、
「(俳優の太賀と二階堂は)唯一モノづくりを共有できる人たち、他にそういう人たちっていないんですよ」と特別なつながりを強調した。
芸能活動で何かを作り上げること自体を俳優活動の一環ではなく、別枠の“モノづくり”ととらえている感性。これは、昔の俳優やタレントが持ち得なかった感覚だろう。
さらに「男女の友情は成立しない」ときっぱりと明言しつつ、二階堂との関係について「そこが難しいところ。友人なんですけど、友人ともまた違う距離感。家族というか仲間というか。クリエーターの世界で出会っているんで、友人とも違う」と解説した。
ここでも二階堂と自分について「クリエーターの世界で出会っている」と言い切っている。
同書には俳優の山田孝之(35)も登場しているが、その存在について、
「根底はアーティストなんだと思います。誰もやったことがないもの、パイオニアであろうとする姿が尊敬できるところですね」
と信頼を寄せる。
単に演じるのではなく、表現者が表現する結果としての演技であり、演技以外のモノづくり。そのような自負そこが、菅田将暉の菅田将暉らしさへのこだわりなのだ。
少々鼻にはつくところもあるが、そのまま前例のない真夜中を突っ走ることができれば悪くはない。
<取材・文/薮入うらら>