最上もが「人を愛するのに性別は関係ない」、お茶の水女子大学でLGBTをテーマに課外セッション
映画『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』課外セッションが19日、都内・お茶の水女子大学にて行われ、タレントの最上もが、LGBTアクティビストの東小雪が登壇した。
本作は、初監督・初脚本となるデイモン・カーダシスが、ボランティアを務めていた教会での実体験と綿密なリサーチをもとに、LGBTの人々が直面する厳しい現実や社会問題に焦点をあてたもの。ニューヨークに暮らすLGBTの孤独な少年が、心安らぐ居場所や仲間と出会ったことで「本当の自分」を開放していく姿を、ソウルフルな歌とダンスにのせて描く。
ほぼ無名のスタッフ・キャストによる「マイノリティをテーマにした映画」であるにも関わらず、映画サイト「ロッテン・トマト」で驚異の93%フレッシュをたたき出し、本作海外の映画祭で数々の観客賞や優秀賞(映画祭で18の賞にノミネートされ14受賞)に輝いた注目作『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』。
「多様性を包摂する」として2020年度の学部・大学院の入学者から「トランスジェンダー」の学生を受け入れることを発表したお茶の水女子大学の学生が、映画に共感し学生主催でLGBTをテーマにしたディベート・イベントを実施した。ゲストに、学生と同世代で昨年TV番組でバイセクシャルを告白したタレント・最上もがを迎え、昨今話題となるセクシャルマイノリティへの偏見や認識不足などの問題点について、これからの未来に向けて希望することなどを中心に同世代同士で意見交換を行った。
本編を鑑賞したばかりの20名の学生の前に登壇した最上。映画を観て「希望のある映画だと思います。10代って一番セクシャリティのことがわからないと思っていて、その違いから孤立してしまうことが多いと思うんです。この映画は主人公のユリシーズが居場所を見つけていく、すごく前向きな物語になっています。ほっこりした気持ちになりました」と感想を明かす。
セクシャリティに悩み葛藤する主人公の姿がミュージカルタッチで描かれる本作だが、最上自身はバイセクシャルであることに「全然悩んでなかったです!」ときっぱり。「幼稚園の頃からモダンバレエを習っていたんですが、年上の先輩を『かっこいい!』『美しい!』と思っていた。綺麗なお姉さんっていいなと思っていたんですが、自分の中ではすごく自然な感情というか。人を愛するのに性別は関係ないと思う」とコメントした。
さらに、「クラスのすっごい可愛い子を待ち受けにしていたんです!高校2年生の時に女の子の友達から『レズなの!?』『だと思ってた!』って言われて(笑)高校生の頃は女子クラスで、普通に女の子同士のカップルもいたので、偏見もなく。あまり気にしたことがないんです」と、何の偏見もなく過ごしてきたことを明かした。
元タカラジェンヌで、現在はLGBT・女性の生き方・自殺対策などの講演や企業研修を実施しているLGBTアクティビストの東小雪。実在するLGBTの人々のための支援プログラム“サタデー・チャーチ(土曜の教会)”について、「LGBTの人たちは繋がりが作れなくて自殺率が高かったりイジメにあってしまい精神疾患にかかってしまうリスクがあるんです。“サタデー・チャーチ”は土曜日だけ教会を解放して、支援だけではなく、温かいご飯を一緒に食べたり、みんなでお化粧したり談笑したりと、居場所を提供することで社会福祉を行っています」と説明した。映画では、“サタデー・チャーチ”の在り方が細かく描かれている。
学生から「居場所があって良かったこと・助かったことはありますか?」と聞かれると、最上は「僕はネトゲーがあったから」とにっこり。東は「なかったですね〜。家庭環境が難しく、小学校も行っていなかった。自分が女の子を好きだということに気づいたのは高校2年生の頃。同性愛ということに『これは言ってはいけない』と反射的に思って、偏見があることを自分の中で内面化されていたので。悩む時期はありましたが、宝塚歌劇団を退団した後にレズビアンであることを少しずつカミングアウトしていくうちに自分らしくいられる居場所を作ることができた」と述懐した。
また、学生から「カミングアウトした方が“居場所”は見つかるものですか?」と質問があると、最上は「僕はカミングアウトしたつもりはなくて、勝手にマスコミに書かれたんです(笑)別に何も隠してはいなかった。でんぱ組.incとして活動していた時に、女の子のファンの子から『同性愛者なんです』『同性愛者に対してどう思いますか?』とお手紙をもらったことがありました。ブログで返信したりしていて、前から『僕は性別は気にしないですよ』って書いていたんです。たまたまTV側に上手いこと使われてしまって、マスコミが好き勝手書きまくって…もうマスコミウザいんです(笑)」と暴露した。
報道を機に、同性愛に悩むファンから一層手紙をもらうことが多くなったという最上は、「直接答える機会がなくて申し訳ないなと思っています。未だにちょいちょいきます。女の子から婚姻届とかきますよ!面白いなと思います(笑)」と笑顔を浮かべていた。
最上は「異性同士だって同性同士だって、汚い恋愛は汚いんです。異性同士であってもイジメはありますし、(同性愛が)別に特別なことではないと思います」とコメント。東は「人と向き合い関わっていくこと、迷いや葛藤を大切に過ごしてほしい。そのモヤモヤをわからないままにしていく力、そこに向き合い続けるエネルギーが教育なんじゃないかなと思います」とメッセージを贈った。
映画『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』は2月22日(金)より新宿ピカデリー他全国公開
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