キャリア20年越え── 神木隆之介の“変わらない謙虚さ”と今だから言える“運命の選択”
「周りはみんな“恋愛マスター”ばかりなのに、なんで僕には縁がないのだろうとずっと思っていました。前に、広瀬すずちゃんと現場で一緒になったとき、“私、片親とか親がいない役が多いんです”と言っていたのですが、そんなこと言ったら俺なんて童貞の役ばっかりだよ! と(笑)」
25歳にして、そのキャリア20年以上。実力派・神木隆之介が、意外にも初となる本格ラブストーリーに挑戦! 映画『フォルトゥナの瞳』ではヒロインを演じる有村架純と恋に落ちるが、
「役者としてすごく信頼していた方なので、相手が有村さんと聞いて、本当に助かったと思いました。『3月のライオン』で共演したとき、取材で有村さんが僕のラブストーリーを見てみたいと答えていました。“まさかその相手が私になるとは”と驚いていましたね(笑)」
初めてということもあり、ドキドキのシーンでまさかの苦戦も……?
「バックハグのシーンは大変でした。僕と有村さんは身長があまり変わらないので、背筋を伸ばして頑張りましたが、下手すると首を絞めているように見えてしまいそうで(笑)。同世代ですが、中身は彼女のほうが全然、大人。次第に姉と弟みたいになって、最終的に母と子みたいな。完全に子ども扱いされていました」
と無邪気に笑う。
理想のデートについて聞いてみると、
「夜景や星を見に行きたいです。ベタですが(笑)。でもベタって実はすごく難しいと思います。例えば夏祭りにデートしに行って、振り向いたら花火が上がる……とか、実際は花火がどの方向に上がるかもわからないので、ベタってある意味、奇跡! でも僕は、そんなロマンチックなデートに憧れます」
過去のことをあてにしすぎてはいけない
そんな彼が演じる主人公は、ラストに大きな“選択”をするが、神木がこの役者人生でしてきた記憶に残る選択とは――。
「実は、高校を卒業してすぐくらいに留学の話が出ました。“イギリスかアメリカがいいんじゃない”と事務所の方にもすすめていただいて。英語も話せるようになるなと、一瞬迷いましたが結局、日本に残る道を選びました。もしそこで行っていたら、ここ数年の作品は全部出てないことになる。僕にとって大切な作品ばかりだから、その選択をしてよかったなと」
その言葉どおり、『るろうに剣心』や声の出演をした『君の名は。』など、ヒット作に恵まれ、今や映像世界に欠かせない存在に。だが、これだけのキャリアと実力があってもなお、彼の謙虚な姿勢は変わらない。
「これまで先輩たちの芝居を目の前で見てきて、勉強させてもらった時間が長いことは、すごく誇りに思います。でも、だからといって自分の価値が上がるわけではない。例えば誰かが“この人、芝居うまいよね”と言ったとしても必ず逆に思う人もいる。人によって価値観が変わる世界なので、そう思うと過去のことをあてにしすぎてはいけないなと」
今は芝居の現場に身を置けていることが幸せだと語る。そんな彼に、映画の大きなテーマでもある“運命”について聞いてみた。
「運命って、だいたいは決まっていて、その主軸から大きくそれることはないのだと思います。僕もこの仕事を気づけば好きになっていたし、ある意味、これも運命だと思っています」
映画『フォルトゥナの瞳』
2月15日(金)全国公開
“死を目前にした人間が透けて見える”という不思議な能力を持つ青年・慎一郎(神木隆之介)。幼いころに家族を亡くし、孤独に生きてきた彼だったが、葵(有村架純)と運命的な出会いを果たし幸せな日々を過ごしていた。だが突然、葵の身体が透け始め――。