バス内で見知らぬ乗客に罵られた女性(画像は『Mirror 2019年1月10日付「Blind woman told to ‘get her f*****g dog off bus’ by furious passenger」』のスクリーンショット)

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英国では、路線バスや電車など公共の交通機関で介助犬を伴うことが法的に認められている。しかし中には介助犬や盲導犬などの働きを理解できず、障害を抱える人を非難する言葉を浴びせたりする人もいるようだ。このほどマージーサイド州のある女性が、バス内で見知らぬ女性から驚くべき言葉を投げかけられた。『Liverpool Echo』『Mirror』などが伝えている。

マージーサイド州セント・へレンズに住むメーガン・テイラーさん(22歳)は1月7日、地元の路線バスに乗った時に女性客から思いもよらぬ言葉を投げかけられた。

15歳の時に事故が原因で大怪我をしたメーガンさんは、頭蓋骨に複数の骨折を負ったほか、事故後も聴覚障害やバランス障害、頻繁な失神発作、眩暈や一時的に目が見えなくなる視覚障害など様々な医学的問題を抱えるようになった。いつ何時でも予告なしに突然視覚が失われてしまうことは恐怖でしかなく、見えている時でも眩暈がすると物にぶつかったり躓いたりすることもよくあるという。そんな状態で日常を過ごさなければならないメーガンさんにとって、盲導犬や介助犬は必要不可欠な存在だ。

ところがバスの中で、その女性客はメーガンさんが連れた黒色のラブラドールの介助犬ローリー(2歳)を見て「なんで犬がバスに乗ってるのよ。降ろしなさいよ」と叫びだした。メーガンさんは、犬は介助犬であることを丁寧に説明しようとしたが、女性は「そんなはずないわ。盲導犬っていうのは普通ベージュのラブラドールじゃないの。これは黒でしょう。嘘つき!」と言い放ったのだ。

盲導犬や介助犬はどんな色でもあり得ること、ローリーはラブラドールだが必ずしもラブラドールというわけではないこともメーガンさんは説明しようとした。しかし女性は聞く耳持たずに「あんたが間違っている」と反論。この時点でメーガンさんは何を言っても無駄だと悟り、女性の理不尽な攻撃を無視することにしたという。女性はその後もメーガンさんを非難する言葉を浴びせていたようだが、ローリーのおかげでメーガンさんは気持ちを落ち着けることができたと話している。

「公共の場で、こういうことが起こったのはこれが初めてではありません。正直、交通機関を使うのが不安になることもあります。バランス感覚と予測できない失神発作から、バスや電車内で立ったままでは危険なので優先座席に座らせてほしいと頼んでも、私は障害者に見えず、拒否されたこともありした。医療警告カードを見せて介助犬を指さしても、笑われて否定されることだってあるし、唾を吐きかけられたり行く手を遮られて押されたこともありました。心疾患と神経障害のために意識を失いかけた時にも、酔っ払いの若者と非難されたこともあったぐらいです。」

メーガンさんにとってローリーは、2頭目の介助犬となる。1頭目のルビーは襲われてリタイアを余儀なくされたそうだ。ルビーに代わり、ローリーは着替えを手伝ってくれたり靴紐をほどいたりしてくれる以外にも、落とした物を拾ったり洗濯機の中から洗い物を取り出したりもしてくれるそうだ。また、メーガンさんが意識を失った時には、電話を操作して助けを求めることもできるという。障害を抱える人にとっては、こうした介助犬の日々のサポートは必要不可欠なものであり、メーガンさんは今一度、世間に介助犬への理解を呼びかけている。

「介助犬には様々な犬種がいて大きさも異なります。ですが全ての介助犬は、多岐にわたり障害を抱える人のサポートをするよう訓練されていて、障害者の自立を促してくれて自信を与えてくれる助けになる存在です。介助犬は、車椅子や杖、眼鏡などと同じように重要な補助器具の役割を果たしてくれる大切な存在で、公共の場では障害者との同行が法的に認められているのです。」