現地8月25日のアストロズ戦でバーランダーから本塁打を放ったエンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

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バーランダーに「チェンジアップが有効」と助言した投手コーチ、しかし…

 野球日本代表「侍ジャパン」と「2018日米野球」を戦ったMLBオールスターチーム。その投手コーチを務めたのが、2014年からアストロズ投手コーチを務めるブレント・ストラム氏だ。

 2017年にワールドシリーズ制覇を果たしたアストロズの投手陣と言えば、今季は同地区でプレーしたエンゼルス大谷翔平の前に幾度となく立ちはだかった。とりわけ、新人王、サイ・ヤング賞、MVPなどタイトルを総ナメにしているベテラン右腕ジャスティン・バーランダー投手との対決には大きな注目が集まったが、実はストロム投手コーチが“名勝負”の影でちょっとしたとばっちりを受けていたという。

 それは8月25日にアナハイムで行われたエンゼルス対アストロズの一戦だった。この日、4試合ぶりにDHとしてスタメン出場した大谷は、第2打席にバーランダーからバックスクリーンへ14号ソロを運んだ。この時に打ったのが、初球高めに抜けたチェンジアップ。アストロズ側のベンチから打球の行方を見届けたストラム投手コーチは、やられた、と思うしかなかった。

 この日まで大谷を7打数1安打と抑え込んでいたバーランダーだったが、まさかの被弾。この時の舞台裏をストラム投手コーチが明かす。

「それまでオオタニはチェンジアップにまったくタイミングが合っていなかったんだ。縦の変化についていけずに空振りばかり。だから、あの打席の前、バーランダーにはチェンジアップだ、とアドバイスを送っていたんだ」

被弾にバーランダーは激怒「アンタがそう言うから投げたのに」

 だが、結果はホームラン。アドバイスされるがままに、チェンジアップを投げて被弾したバーランダーは、ダグアウトに戻って来るなり、掴みかからんばかりの勢いで投手コーチを怒鳴りつけたという。

「チェンジアップだって言ったじゃないか! アンタがそう言うから投げたのに、このザマだ!」

 今年で70歳を迎えた名伯楽は、心の中では「チェンジアップとは言ったが、高めに投げろとは言ってないぞ。投げきれなかったのは君じゃないか」と思っていたが、反論しても火に油を注ぐだけ。怒鳴られるがままになっていたと笑って振り返る。

 その贖罪というわけではないが、日米野球では侍ジャパンの建山義紀投手コーチにスプリットとチェンジアップを上達させるコツを聞きにいった。日本で得た知識は、アストロズに戻った後でバーランダーをはじめ、投手陣に還元するつもりだ。

 あの日、日米を沸かせた大谷の一発は、思わぬ余波も生んでいた。(Full-Count編集部)