水道水で失明リスクも! 「コンタクトレンズ」ユーザーが必ず知っておくべきこと
視力を矯正し、快適な視界を提供してくれる「コンタクトレンズ」。眼科医の検査や処方を受けたものを使用するのが基本ですが、それと並んで大切なのが正しいレンズケアです。レンズケアを怠ると、コンタクトレンズに汚れが蓄積し、眼障害の発症リスクが高まります。主なものは角膜上皮障害、アレルギー性結膜炎、感染性角膜潰瘍、角膜内皮障害などです。
コンタクトレンズの誤った取り扱いによるリスクや、正しいケア方法について、久喜かわしま眼科医師の川島素子さんに聞きました。
コンタクトレンズのNG行為
【交換時期を過ぎたレンズを使い続ける】
汚れがたまることにより、感染のリスクや眼球を傷つけるリスクが高まります。また、コンタクトレンズ障害を起こしやすくなります。
【装用したまま入浴・洗顔・水泳をする】
目に水が入り、コンタクトレンズを紛失してしまう恐れがある他、海水などの塩分やプールの消毒剤、洗顔時の洗顔フォームなどがコンタクトレンズに悪影響を与えて、眼障害を引き起こす可能性もあります。
水中に生息している「アカントアメーバ」による感染症は、治療が難しい目の病気の一つで、最悪の場合、失明することがあります。コンタクトレンズを装用して水泳や入浴したり、シャワーを浴びたりすると、コンタクトレンズと水が接触する機会が増え、アカントアメーバや他の微生物による感染症のリスクが高まります。
地域や水質など、環境によって感染リスクの程度は異なりますが、水泳や入浴、シャワーの際はコンタクトレンズを外す習慣をつけましょう。
【装用したまま寝る】
酸素不足に陥り、角膜内皮細胞障害を引き起こすリスクがあります。その他、充血や異物感、傷がつくなど、さまざまなコンタクトレンズ障害を起こします。
【連続して長時間装用する】
目の中の酸素が不足するため、長時間の装用はNGです。装用時間は1日10時間程度を目安としてください。
【長期間同じケースを使う】
レンズケース本体やキャップにも、汚れが蓄積し、細菌などの微生物が繁殖してしまいます。使うたびにすすぎ洗いをし、自然乾燥させましょう。また、3カ月に1回程度のペースで新品のレンズケースに交換してください。
【水道水を使う】
ソフトコンタクトレンズのケアには、水道水を使用してはいけません。水分を含んだ柔らかい素材でできているため、雑菌や細菌が付着しやすかったり、浸透圧の関係でレンズが変形したりする恐れがあります。ハードレンズの場合、すすぎ洗いに水道水を使用できますが浸け置きはNGです。アカントアメーバは水道水中でも生息しており、不適切なレンズケアにより、重篤なアカントアメーバ角膜感染症を引き起こすリスクがあります。
正しいレンズケア方法とは
1.コンタクトレンズに触る前に手を清潔にしておきます(爪を短く切っておく・石けんで手を洗い、繊維が付着しないペーパータオルなどで十分にふき取る・細菌を外から持ち込まない)。
2.洗浄消毒液を数滴レンズに垂らし、両面を優しくゆっくりと一定方向にこすり洗いします。30回程度+すすぎを行うことで、細菌数を1万分の1に減らすことができます。
3.洗浄消毒液は毎回交換してください。古い液は汚れによって消毒効果が低下するため、消毒液のつぎ足しは厳禁です。
4.レンズケースは毎回水道水で洗います。水分中にアカントアメーバが生き残るため、自然乾燥させます。
5.細菌の集まりであるバイオフィルムの増殖を防ぐため、レンズケースは3カ月ごとに交換してください。
上記が一般的なソフトコンタクトレンズのケア方法ですが、レンズによって適切なケア方法は異なります。眼科医の指導やレンズの説明書に従ってください。
ケースと専用液を持ち歩く
「目の定期検診は必ず受けましょう。その上で、正しいコンタクトレンズケアを行うことが大切です。レンズに傷や破損、変形がないか常に観察しましょう。外れやすいようであれば、目の病気(アレルギー性結膜炎、ドライアイなど)がないかや、コンタクトレンズのフィッティング、レンズが目の形に合っているかを診てもらうとよいでしょう。人工涙液点眼などを併用し、乾燥させないことも大切です。
充血や痛み、異物感など何らかの症状が出たら、すぐコンタクトレンズを外してください。不調が出たらすぐ外せるようにコンタクトレンズケースと専用液を持ち歩くとよいでしょう。少しでも不調、違和感があれば、すぐに眼科を受診してください」(川島さん)