実は夏に売れています! 意外なモノとは?

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 夏に消費するものといえば冷やし中華、エアコン、暑さ対策グッズ……が思いつくけど、夏とは無縁では? と想像しにくい商品が意外にも売れているんです。その理由を直撃しました!

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ウール靴下

吸湿性・放湿性がムレやにおいを抑えてビジネスマンに人気

 ウール=羊毛といえば暖かさや冬の素材をイメージするが、実は吸湿性や放湿性に優れた天然繊維で、その特長を生かした靴下が足下のムレやにおいが気になる梅雨時から夏にかけて売れている。

 靴下メーカーの岡本は、男性用ビジネスソックスとして独自開発したウール糸を使った消臭靴下『SUPER SOX』を2004年に発売。

 公式販売サイトにおける昨年の販売数は、前年比116%。現在、累計販売1100万足を超えるロングセラー商品だ。

「購入傾向は気温が高くなる春ごろから増加し、汗ばむ夏が本格到来する前の購入が目立ちます。

 湿度が高くなる梅雨時期から汗をかきやすくなる夏にかけて、足下のムレ対策として『SUPER SOX』を着用されているお客様が多いのではないかと考えています」(岡本株式会社広報・大塚美和さん、以下同)

 同製品は、同社の実証実験では綿混ソックスよりも吸湿性、放湿性ともに高く、細菌の増殖が少ないことが確認されている。

「ビジネスシーンの服装など生活者のスタイルは変化してきています。例えば、男性の服のスタイルに合わせてはかれる靴下の長さが短くなってきている傾向があります。その状況下でも悩みとしては変わらず“におい”“ムレ”が上位にあり、生活者のニーズを正しく理解しながら商品の開発、改良を進めていく必要があると考えています」

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塩こんぶ

山梨県で大量購入&ミネラル補給に

 おにぎりの具やお弁当のおかずにも便利な“ごはんのおとも”塩こんぶが、夏場に需要が高くなる背景について、『ふじっ子』でおなじみのフジッコ株式会社の担当者はこう語る。

「ひとつは、野菜と塩こんぶで作る浅漬けの材料としての需要が高まること。特に、山梨県では“青梅の塩こんぶ漬け”が、その土地の食習慣としてあり、『ふじっ子塩こんぶ』が大量購入されています。もうひとつは、汗をかいたときのミネラル(塩分)補給として活用されています」

 同社によると、ここ7〜8年で塩こんぶの調味料用途として認知が高まっているが、古くから地域によっては夏に向けて浅漬け用に使われていて、ごはん需要としては夏の食欲減退期にお茶漬けのトッピングとして食べられていたという。

 また、塩こんぶの季節指数では6月〜8月は月平均の110%~116%(2017年1月〜12月)と高く、今年1月〜5月のフジッコ累計出荷実績の前年比は、数量で約103%、金額で約110%と伸長している。

 消費者からの「夏向けの塩こんぶメニューが知りたい」という要望を受け、6月上旬から7月末にかけて商品パッケージに“梅きゅうり和え”“塩こんぶ焼きそば”が掲載されている。

 同社では、汗をかいたときのミネラル補給としての価値を広めるためプロジェクトを立ち上げ、スポーツチームや中高生の部活動に『減塩ふじっ子塩こんぶ』を提供。さらに冬はぜんざいなどの箸休めとして添えられているが、夏は抹茶アイスや凍らせた果物と組み合わせるスタイルを提案し、需要をさらに高めていきたいという。

ランドセル

販売開始の早期化でピークが移行

 来春、入学する新1年生のランドセル商戦はすでに始まり、夏にピークを迎える。

 2001年から自主ブランド商品「24色ランドセル」を販売し、ロングセラーを誇るイオンでは近年、ランドセル購入の時期が早まっていて夏に売れている。年間の売り上げに占める割合では8月がもっとも高く’16年は21%、’17年は18%、今年は17%と計画している。

「売上個数は‘11年ごろは1月が最大のピークでした。しかし年々お客様の購入時期が早くなり‘16年から8月がピークになっています」(イオンリテール株式会社キッズ商品部子供グループランドセルマーチャンダイザーの綿引一浩さん、以下同)

 イオンでは“早い時期からじっくりと商品を選びたい”という消費者の要望に応えて、年明けだった販売開始時期を10月(’05年)、8月(’09年)、4月(’16年)と早めてきて、昨年からは店頭で通年販売し新商品モデルは3月から予約販売している。そうした状況で人気商品が品薄状態になることも。

「入学するお子様の数はわかっているので、作られるランドセルの数もある程度決まってきます。ご要望に応えるよう体制を整えていますが、一部商品に人気が集中した場合は品薄になることもあります。また、親子3世代で選ばれることが多く、夏休みやお盆にご家族がそろった機会に購入されているのも背景のひとつではないでしょうか」

 販売開始時期の早期化によって今後、需要ピークが変わる可能性もあるという。

「実は4月から7月にかけての売れ行きが好調になっています。いまは8月がピークですが、情報収集の早期化の傾向が進むことで購入時期もさらに早まるかもしれません」

正露丸

下痢の要因増加と旅行の携帯品で高需要

 “ラッパのマーク”でおなじみの胃腸薬『正露丸』。日露戦争開戦2年前、1902年の販売開始から1世紀以上、家庭用医薬品の定番だが、その売り上げは8月がいちばん高い。

「年間の月平均と比べて1.3倍くらいになります。直近10年のトレンドをみても8月がピークです。その次に7月、9月と続き、暑い時期に売れています」(大幸薬品株式会社医薬品マーケティング部マネージャー、岡本智充さん、以下同)

 その理由は夏ならではの要因で、冷たい飲食でお腹を下し、需要が伸びている。

「下痢の原因には食べすぎ飲みすぎ、冷え、ストレス、ウイルス・菌などがあります。そのなかで夏場は冷たいものを飲んだり食べたりすることが増えたり、冷房で身体が冷えるなどお腹を下す要因が多くあり、薬をお求めになられる方の需要が高くなる時期だと考えられます」

 また、夏休みの旅行シーズンには空港での売り上げが伸び、トリップアドバイザーによる“トラベラーズチョイス〜旅行者のお気に入り(2016年版)”では、内服薬部門で1位になった。

「海外の場合、衛生環境によってはお腹を下すことも考えられ、空港で購入されていく方が多くいるようです」

『正露丸』は黒い粒の丸剤、糖衣錠のロングセラー商品に昨年、液体カプセルが加わり3タイプが販売されている。

「即効性を求められるお客様の声も多く昨年は51年ぶりに新タイプを発売しました。『正露丸』は家庭の常備薬で通年商品ですが、需要のピークはこれからも変わらないのではないでしょうか」

夏のトレンドは“逆転消費”がキーワード

 インターネットショッピングを楽しめる楽天市場では「夏の消費トレンド2018」を発表。“逆転消費”をトレンドキーワードに選出し、特徴的な商品として「鍋」「おでん」、「腹巻き」「カーディガン」などのあったかグッズ、「毛糸」「編み物グッズ」があげられた。

「鍋」や「おでん」は夏の時短料理やスタミナフードとして、あったかグッズは冷房対策に、「編み物」はDIYブームが追い風となり、消費行動に結びついていると分析している。