ツインズで特別補佐を務めるトリイ・ハンター氏【写真:Getty Images】

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ツインズ、エンゼルスなどで活躍のトリイ・ハンター氏「可能性は無限だ」

 二刀流の活躍でメジャーを席巻しているエンゼルス大谷翔平選手。漫画の世界から飛び出したような暴れっぷりを楽しみにしているのは、今やファンにとどまらず。元メジャー選手や現役選手も興味津々といった様子だ。11日(日本時間12日)からエンゼルス本拠地で行われたツインズ3連戦で訪れた、353発&2452安打の名外野手も23歳二刀流の活躍を楽しみにする1人。その人物とは、現在ツインズで特別補佐を務めるトリイ・ハンター氏だ。

 ツインズ、エンゼルス、タイガースと渡り歩いた19年のメジャー生活では、攻守にわたる華麗なプレーで大人気を博した。通算打率.277、2452安打、353本塁打、1391打点、ゴールドグラブ賞9回、シルバースラッガー賞2回、オールスター選出5回という輝かしい功績を残したハンター氏は、メジャー屈指の人格者として知られる。エンゼルス時代の2011年には、同年にデビューしたマイク・トラウト外野手の指南役として、メジャーのイロハを教えた。現役引退後も変わらぬナイスガイなハンター氏に直撃インタビューをした。

--大谷のプレーを実際に見ての感想を教えて下さい。

「とても感心しているよ。今のところはメジャーで打てると証明しているが、これからどんどん攻略法を用意される。そこを乗り越えられるか、少し時間を与えなければ。安定した成績を残すには2、3年はかかるはずだ。

 僕は打者より投手としての活躍に感心している。99~100マイル(約159~161キロ)で投げるなんてスゴいこと。前評判通りの姿で、期待通りの活躍をしていると思う」

--二刀流の元祖、ベーブ・ルースと比較されることもある。

「それはそうだろう。ベーブ・ルースは防御率1点台(1916年が1.75)で、後に本塁打王にもなった。今は昔よりは試合数が多いので、エンゼルスは適度な休みを与えた方がいいと思うが、彼は長らく第一線で活躍できる素質がある。僕の心配は彼が燃え尽きてしまわないかだ。23歳でまだ若い。投打の両方で活躍するためにも、正しい食生活、トレーニング、マッサージなど、心と身体を整える手段が見つかるといいね」

--2011年にトラウトがデビューした時は、あなたが兄貴分として面倒を見ました。今はトラウトが大谷の面倒を見ています。

「僕はツインズで、カービー・パケットからいろいろ教わったんだ。そして、今度は教える立場になった僕が、学んできたことを伝えた選手の1人がトラウトだ。そして、トラウトが自分の経験も織り交ぜながら、大谷に伝えているのだろう。大谷もまた、それを次の世代に引き継ぐことになる。僕がトラウトに伝えた思いを、大谷も受け継いでくれることだろう。23歳の今、目の前に広がる可能性は無限だ。これを継続していけば成績はついてくるし、殿堂入りだって見えてくる」

--あなたやトラウトのような謙虚な姿勢は、大谷にも共通しているようだ。

「謙虚でひたむきであることが全て。自分が最高の人間だなんて思ってはいけないし、現状に満足してはいけない。物事には終わりがやってくる。だが、終わりを迎える前に、野球を楽しみ、プレーで周囲を幸せにしたり、リスペクトを示したり、子供たちに夢を与えたり。選手のあるべき姿というものがあると思うんだ。パケットも、私も、トラウトも、大谷も、その目指すべき像は一緒。それを分かる人と分からない人がいるが、トラウトも大谷も理解している。スーパースターというものは、野球の能力だけではなく、謙虚である資質も大事だと思うんだ」

 球界関係者が慕う実力者が認めるスーパースターの系譜。大谷はここから自分の色を混ぜ、どんなスター像を築き上げるのだろうか。(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)