福岡の伝統工芸品「博多人形」をカプセルに入れてガチャガチャで楽しめる試みが人気を呼び、13分で売り切れたことが話題になっている。

高さは5センチほどだが、カラフルで表情豊かな博多人形が伝統の技を感じさせる。大黒天の姿を中心に弁財天と毘沙門天を左右に配置した作品や腰掛けて夕涼みする浴衣女性の人形などがあった。

金箔などを使った豪華な作りの人形が1万円


カプセル入り博多人形の作品(写真は、はかた伝統工芸館提供)

このカプセル入り博多人形は、博多人形商工業協同組合の青年部が企画した。福岡市内のはかた伝統工芸館で開いた作品展の会場で2018年1月25日、ガチャガチャの自販機を設置し、来場者に楽しんでもらった。

青年部に所属する若手作家6人が5つずつ作り、計30あるミニ博多人形をカプセルに入れて自販機で販売した。

実は、この試みは17年も行っており、このときは500円でガチャガチャができるようにした。今回は、金箔などを使った豪華な作りのプレミアム版にしたうえで、1万円で楽しんでもらうことにした。

前回から20倍もお金が必要になったが、当日は午前10時の開場前に50〜60人が列を作り、カプセル30個は約13分で完売してしまった。人形を手に取った人は、「すごくうれしい」「技術が凝縮した素晴らしいものだ」と口にし、中には感動して泣き出す人もいたという。

この試みを伝えるニュースのコメント欄などでは、1万円を出せば博多人形をもっと自由に選べるのではないかとの意見もあったが、「伝統工芸に光を当てるという意味では良いのでは」「今まで博多人形に縁がなかった人達には、きっかけにはなりそう」といった声が出ていた。

「何が出てくるか分からない面白さがある」

博多人形商工業協同組合青年部の西山陽一会長(38)は1月29日、ガチャガチャを採り入れた試みについて、Jタウンネットの取材にこう説明した。

「毎年開く展示会は、変化がないままではお客さまの入りも悪いと考えて、何か話題になるようなことをと考えました。カプセルなら確かに自由に人形を選べませんが、何が出てくるか分からない面白さがあると思います。500円玉を使う機械しか見つかりませんでしたので、まずそれでやってみようと始めました」

前回の展示会では、3000円相当の人形をカプセルに入れており、組合の総会で「技術の安売りではないか」との意見が出た。そこで、今回は、金額のきりがいい1万円のプレミアム版でやることにしたそうだ。1万円をコインに替えて、そのコインでガチャガチャができるようにして、機械も買い換えた。

ただ、若手作家らにとって負担になるため、ガチャガチャは今回を最後にして、次回は別の企画をしたいと話している。