柴崎はコンディションが上向き、攻守に高い貢献を見せていただけに、もう少し長い時間見たかった。(C)Getty Images

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 現地時間1月28日に開催されたリーガ・エスパニョーラ21節、セビージャ対ヘタフェの一戦は、1-1のドローに終わった。

 前半のボールポゼッションはセビージャ62%、ヘタフェが38%。エベル・バネガ、パブロ・サラビア、フランコ・バスケス、ステベン・エヌゾンジらを中心にボールを回し、両サイドにヘスス・ナバス、セルヒオ・エスクデロという優秀なチャンスメーカーを置くホームチームが、終始ゲームを優位に進めた。

 アウェーのヘタフェが採用した戦術は、前節のアスレティック・ビルバオ戦同様、組織的な守備からのカウンター。速攻の起点となったのが、4-2-3-1システムのトップ下で起用された柴崎岳だった。

 柴崎は、効果的なパスでアンヘル・ロドリゲスやアマト・エヌディアイエを走らせ、ときには中央を推進力のあるドリブルで持ち上がって、決定機を演出。そのプレーのチョイスはつくづく絶妙で、決して多くはないチャンスを確実に活かそうという意図が見て取れた。

 だからこそ、だ。59分というあまりに早い時間帯に柴崎をベンチに下げたホセ・ボルダラス監督の采配は、理解に苦しむものがあったし、実際この選手交代は、攻めあぐねていたセビージャを助ける結果となった。

 柴崎という唯一の“ボールの収まりどころ”を失ったヘタフェは、最終ラインからのクリアボールをことごとく拾われ、セビージャの猛攻を受ける。そして、およそ10分に渡ってボディーブローのように細かいパンチを受け続けたヘタフェの堅守は72分、ついに決壊した。

 67分にバスケスとの交代でピッチに立ったノリートが右のサラビアにスルーパスを通し、そのサラビアの折り返しを、セビージャFWのルイス・ムリエルに決められたのだ。

 ロスタイムに、スタジアム全体が騒然となる疑惑の判定に助けられる形で(セビージャ側はGKチャージを主張)、アンヘルが同点弾を叩き込んだものの、柴粼としては強豪セビージャ相手にも司令塔として十分見せ場を作れていただけに、悔しさの残る一戦となった。