コンビニ業界の知られざる裏側を、内情に詳しいライターの日比谷新太さんがレポートする当シリーズ。前回までの「中国の最新無人コンビニレポート」に続いて、今回取り上げるのは「大雪時のコンビニの対応」について。先週、首都圏を襲った4年ぶりの大雪ですが、今週も積雪の恐れがあるとの予報も出ています。しかし、大雪だからといって24時間営業を止められないのがコンビニの大変なところ。日比谷さんは、大雪に見舞われて商品が品薄になりながらも営業を続けた、社会的な役割を担うコンビニが日頃から行なっている「もしものための対策」について解説しています。

大雪に対してコンビニはどう備える?

4年ぶりの大雪となった先週の東京。各所に積雪の影響が出ましたがコンビニも例外ではなく、配送の遅れから食料品を中心に欠品が相次ぐ店舗も続出しました。

日頃から雪深い北国の店舗ならともかく、ひとたび雪が積もれば交通機能が麻痺してしまう都市部のコンビニでは、たまに来るこのような大雪に対して、どう備えているのでしょうか。また、この数年に一度訪れるこのイベント(?)を収益アップにつなげるべく、どのような努力をしているのでしょうか?

店長を悩ませる大雪の日のシフト

大雪の予報を受けてコンビニの店長が真っ先に悩むのが、その日の従業員をどうするかという問題です。降雪による交通麻痺で、アルバイトが店に来れるかどうか、また逆にアルバイトが帰宅できなくなったらどうするかを、考えることになります。

特に高校生のアルバイトは心配ですので、そういう日はできるだけフリーターのアルバイトを中心としたシフトに変更します。例えば、夕方から入る予定だった高校生バイトを休ませて、深夜勤務のフリーターを夕方からシフトに入れるなどして、なんとかやり繰りをするのです。

予報が当たり積雪となった場合は、駐車場の雪かきも重要な業務となります。まずは店舗に面している道路から駐車場までの動線を確保。くわえて駐車場から店舗入り口までの雪かきも、客数アップには必要です。店舗によっては、アルバイトたちに雪かき手当を出すところもあるようです。

また降雪によって、配送トラックの遅延も発生します。配送の遅れは売上に影響が及ぶのはもちろんのこと、各店舗で働くアルバイトの作業ダイヤにも影響が出てきます。

そのため、通常時だと商品は納品後に一度バックヤードに入れておくのですが、こういう日に限っては、納品された商品をそのまま売場に置いて、検品作業も省略。お客さんにそのまま商品を手に取ってもらうこともあります。

大雪を利益に繋げるには?

コンビニにあるストアコンピューターには、ウェザーニュース社や気象庁が発表した天気予報情報が毎日配信されます。各店舗の担当者は、週間天気予報や納品前日の朝の天気をチェックし、その情報を商品発注に活用しています。

実際のところ、週間天気予報の段階で大雪の予報が出ていたとしても、あまり積極的に発注に活かすことはありません。ところが「3日後に大雪の予報」ともなると俄かに信憑性が高まり、発注対応が慌ただしくなります。

特に飲料・雑貨・菓子などの商品は、通常だと1週間に3回程度しか納品されませんが、大雪の情報を受けると、備蓄性が高く売上が伸びそうな商品の発注を増やし、在庫を確保しておきます。具体的には携帯用電池・乾電池・手袋・使い捨てカイロ・カップラーメン・大型ペットボトルのミネラルウォーターなどといった商品です。

また当然の事ですが、大雪になるとおにぎり・弁当・パンといった食品類の売り上げも伸びます。ただしこれら食料品類は、大雪の影響が出る時間帯によって、売り上げが大きく変わって来ます。

今回のように、お昼から夕方にかけて雪が降る場合は、コンビニにとって非常に良い影響が出ます。いつもならクルマでスーパーなどに行って買い物をする主婦客が、積雪のため運転を怖がり、近所のコンビニで夕食と翌日朝の食事を購入するという動きに繋がるからです。

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