50歳で110キロから80キロへの減量に成功したタレントの松村邦洋さん。どのようなトレーニングを行っていたのだろうか(写真:ライザップ)

タレントの松村邦洋さんがライザップのトレーニングプログラムを受けることになったとニュースになったのは約1年前、2017年1月のことだ。

食いしん坊で多忙な超メタボの50歳。高校野球でキャッチャーをしていたという運動経験者だが、“痩せそうにない”キーワードだらけの松村さんが痩せるのか、本当にうまくいくのかと疑問視していた読者も多いのではないだろうか。

ライザップの減量トレーニングは1回50分、週2回で2カ月(16回)というプログラムが広く知られているため、4月も半ばを過ぎると“失敗したのではないか”“まだ太ったままの松村さんを見かけた”などといううわさがまことしやかにささやかれるようになった。

30キロの減量に成功、その後も体型を維持

しかし、9月13日に松村さんが110キロから80キロへ30キロの減量に成功した姿を見せ「こんなに幸せなことはない」と語り、その後も自主的なトレーニングを行いながら維持していることが知られると驚きの声が広がった。その姿は松村さんがデビューしてまだ間もない頃の、少しばかり太めの、しかし健康的な印象を与える体だった。


減量前・減量後のCMに度肝を抜かれた人も多かったのでは(写真:ライザップ)

実は松村さんは「発表のときのインパクトが強くなるように」という本人の配慮から、減量の経過が外見からわかりにくくなるよう、体の線が出にくいデザインの洋服をオーバーサイズで着ていたのだという。

また極端な肥満体からの減量では、外見の変化は徐々に加速するように変化する。つまり減量初期は、他人の目からは大きな変化が見えにくいという特徴がある。プロに徹して、減量が成功したのかどうか、なるべく情報が漏れないように行動したのだろう。

食いしん坊で多忙なメタボの50歳というステータス(ただし、松村さんはお酒は飲まない)にぴったり合うとは限らないにせよ、これだけの変身劇に勇気をもらった中年オヤジは少なくないのではないだろうか。

しかし、である。最終的に大きな減量に成功した松村さんだが、筆者はいくつかの疑問を持った。

実は筆者も食いしん坊なうえに多忙で、加えて、お酒が大好き。年齢も50歳と同じなだけでなく、ピーク時は身長179センチ、体重142キロ、体脂肪率42%という超メタボ状態だったからだ。現在は松村さんより数カ月早く始めた減量を1年ちょっと続けて90キロ、体脂肪率19%台まで落とした。よく似たステータスの変化であるため、長期にわたる減量になったことはよく理解できる。

しかし、一方で“うわさに聞く”ライザップのメソッドを8カ月も続けられるものなのかという疑問も感じた。

極端な低糖質の食事を長期間続けてよいものなのか? ライザップのプログラムでは耳にしない有酸素運動はしているのか? 有酸素と筋力トレーニングを組み合わせる場合、減量期と増量期を明確に分けたのか? 分けたのであれば8カ月はむしろ期間として短いのでは?

このように疑問を持っていたが、さらに松村さんがライザップでの減量を始める際、明確に“普通の体型”と目標を語っていたことにも興味を惹かれた。多くの人は、カッコいい体を手に入れるための“ボディメイク”がしたいわけではない。もちろん、減量に成功した後にボディメイクへと進む人もいるだろうが、メタボなオヤジの願いは年を重ねるごとにつらく、疲れやすくなる自分の体を“普通にする”ことで、より健康的・活動的な生活を手に入れることにある。

ではどのように松村さんは減量を行ったのか。ライザップ創業当時から参画してメソッドを開発、現在はメソッドの改良やトレーナー育成を手がけているスタジオ事業部教育ユニット長の幕田純氏、ライザップ創業初期から所属し松村さんの専属トレーナーとなったスーパーバイザーの松下裕樹氏に話を聞いた。

中年オヤジに希望の光を見せてくれるプログラム

取材から見えてきたのは、“2カ月で激ヤセ”というステレオタイプなライザップのイメージとは異なる、“健康的な体の獲得と長期的な体調の維持”を目的としたプログラムの組み方だった。そのプログラムは減量を希望する中年オヤジに希望の光を見せてくれるものだった。

“キツイ”“続けられない”と想像しがちなライザップのメソッドだが、その内容は自分でもできそうだと感じられるものだからだ。

週2回、50分の筋力トレーニングプログラムを2カ月続け、その間、極端な糖質ダイエットを行う。食事で減量を行いながら筋力トレーニングを併用することで、減量時にはどうしても落ちてしまう筋肉を可能なかぎり維持しながら同時に体重を減らす。筋肥大を極端に行わなくとも脂肪をそぎ落とせば体型は変化する。

メソッドの基本はそのとおりだが、必ずしも“それこそがライザップのメソッド”というわけではない。

「ライザップで行っているトレーニングは、必ずしも“特別”なものではありません。むしろオーソドックスなものです。食事も極端に糖質を絞り込むわけではありません。確かに食材選択で糖質を避けるよう指導しますが、調味料などに含まれる糖質まで制限するようなことはしません」(幕田氏)

加えてライザップには短時間に続けて運動ができない人のために、50分ではなく1回80分のコースも用意されているという。そのうえで期間に関しても、会員の現在の体データと目標に応じて2カ月を超えるプログラムを提示することもある。


「RIZAPナビゲーター」の使用イメージ(写真:ライザップ)

松村さんと似たステータスの50代男性が大幅減量に成功した例も数多くあり、どのぐらいの期間をかければ目標の30キロ減量を達成できるのか、独自に開発されたシステムでかなり高精度な予測値を出す「RIZAPナビゲーター」というツールもある。

このシステムでの予測値などを参考にしながら、目標を設定し、期間を含むトレーニングプログラム全体をオーダーメイドで設計する。2カ月という数字は、多くの人が姿かたちまで変わるほど体型を変化するために必要な典型的な数字ではあるが、顧客が希望する目標によって期間も変わってくる。

通常よりも緩やかなプログラムを実施

松村さんの場合、目標達成までの期間は(実施した)8カ月よりも短い予測値をRIZAPナビゲーターははじき出したそうだ。しかし、松村さんは2009年に東京マラソンに出場し、急性心筋梗塞で心肺停止状態に陥った既往歴がある(そのことも減量挑戦の理由だ)。幕田氏、松下氏、それにライザップ所属の管理栄養士、ライザップが医療提携している医師のチームで、通常よりも緩やかに体重を落とす8カ月64回のトレーニングプログラムにすることを決めた。

こうした長期間にわたるトレーニングの場合、いくつかのフェーズに分け、トレーニングの内容を変化させていく。

たとえば、有酸素運動のやり過ぎは筋肉量の減少をもたらすため、筋肉を増やす際には高タンパクの食事を多く摂ったうえで有酸素運動を控える。体重の減少は遅くなる(あるいは増える)が、筋肉量を十分に増やしたうえで一気に落としたほうが効果的に体づくりが行える。

逆に体を絞り込みたい場合は最大重量を抑えめにしつつ、ドロップセット(セット間の休憩を入れず、重量を少しずつ軽くしながら限界まで種目をこなす手法)でギリギリまで追い込むことで筋肉をシェイプしつつ、同時に急階段の往復や負荷強度を高めに設定したインドアバイクで有酸素運動と太ももの筋力強化を行う。

筆者もそのプロセスを交互に繰り返すことで減量したのだが、松村さんの場合は少し違ったようだ。

「最初の3カ月はトレーニングに体が慣れることを目指しました。松村さんは心肺機能がやや弱く息が上がるのが早かったことに加え既往歴もあったため、最初はギリギリまでは追い込まない重量も軽いプログラムに。慣れてきたところで、重さを増やすのではなく各セットの間を短くしていきました。そして最後のセットのみ限界に近いところまで運動を反復するようにしました」(松下氏)

たとえばベンチプレスの場合、ウエイトプレートを装着せずバーベルのバーだけでも10回上げるだけで呼吸が荒れていたという。松村さんの様子を見ながら、ベンチプレスは20〜30キログラムの間に設定し、セットの間隔も60秒あるいはそれ以上取りながら各種目を3セットずつ。ゆっくり、しかし正しいフォームで筋肉に効かせるよう慎重にトレーニングを行った。

負荷の程度で言うと“20回が限界の重さ(20RM)を、20回ではなく10〜15回上げる”くらいだったそうだ。もちろん、徐々に慣れてくることで重量は増やしたものの、筋肥大で効果的と言われる“10回上げるのが限界の重さ(10RM)”でトレーニングしたのは、64回のトレーニングのうち最後の10回のみだった。

言い換えれば、そのぐらいのウエイトトレーニングでも十分に減量効果を得られるということだろう。計画では減量期間の前半は毎月5キロペース、その後、4キロペースに落としながら、停滞期を挟んでゆっくり30キロに近づける予定だったが、松村さんの場合、最初の4カ月ぐらいは、ほぼ計画どおりに落ちていったという。

最初の「停滞期」は5カ月目だった

「最初の停滞期は5カ月目でした。ひと月に2回も停滞した時期があって、月間トータルで2キロぐらいしか落ちませんでした。しかしそうした時期があることは十分に説明して、やる気をなくさないようサポートしていましたので、残り1カ月の時点で体重は83キロぐらい。最後の1カ月でぴったり3キロ落ちてトータルマイナス30キロでした」(松下氏)


トレーニング内容は極端につらいものではなかったという(写真:ライザップ)

成果は着実に出ているが、幕田氏自身が言うように、そのトレーニング内容は極めてオーソドックスなうえ、トレーニングもつらさを感じさせないメニューである。

松村さん自身も「キツさを感じさせるような大変なものではありませんでした。90キロくらいから体重が落ちるスピードが遅くなり諦めかけましたが、何とかやり遂げました!」と話しており、トレーニングそのものは難なくこなせるメニューで進めていたようだ。

ウエイトトレーニングをしたことがある人ならば想像できると思うが、20RMの設定で10〜15回を3セットという数字は、運動に慣れていない、つらい筋トレは嫌だと思っている人でも比較的楽に動かせる設定だ。

松村さんの場合、2016年12月26日計測の体組成データを見ると110.6キロの体重で体脂肪率41%、基礎代謝が1895kcal、推定筋肉量61.9キロだった。1キロあたりの基礎代謝は17.1。筆者が減量を開始した頃、同タイプの機材で計測したことがあったが、体脂肪率はほぼ同じで体重は136キロ、基礎代謝は2500〜2600kcalで基礎代謝基準値は18.5ぐらいだった。同年齢男性の基礎代謝基準値はおおよそ22程度なので、体重に比しての基礎代謝はかなり低かったと言えるだろう。

普段の生活を活動的とすることを優先

こうした身体データを参考にしながら、松村さんが希望していた「普通の体型」を得て、健康的な生活スタイルを実現するため、まずは“動ける体”を少し長めの期間を使って作ることで、普段の生活を活動的とすることを優先。そのうえで、最後の仕上げとして5週間で筋肉量を増やしていくプランだったことがわかる。

鍛え上げた肉体を作り出すのではなく、50歳を過ぎても健康的で楽に暮らせるようにという目的に合致しており、ステレオタイプなライザップのイメージとはかなり違ったものだ。

実際、有酸素運動のイメージが少ないライザップのプログラムだが、初期段階からインドアバイク(バーンアッププログラム)を積極的に活用していたと松下氏は話す。

「上半身の種目はこなせていたのですが、下半身は特に膝の可動域が狭く、スクワットやランジといった動きを正しいフォームで行うのが難しい状況でした。そのため、有酸素運動で消費するとともに、体に負担をかけずに無理なく筋力もつけるためバーンアッププログラムは、かなりの割合で入れていました」(松下氏)

インドアバイクは軽い負荷で行うと主に有酸素運動となるが、負荷を上げていくと大腿四頭筋やハムストリングスの発達を促す。体重や体型に影響を受けにくいため、パーソナルにコーチングを受けながらこなすと、減量と下半身の筋力増を同時に進めることができる。

とはいえ、やはり“減量”の主役は食事にある。

体の仕組みは単純ではないため、必ずしもカロリー計算だけでは推し量れない面もあるが、一般に1グラムの脂肪を燃焼させるには7kcalを過剰消費する必要がある。松村さんの場合、純粋な脂肪の減少量が24.2キロ(残りは体重減少に伴う下半身の筋肉量と骨量の減少)あるため、16万9400kcal分の脂肪が燃やされた計算だ。

とてつもない数字に思えるかもしれないが、しかし正しい食事習慣さえ身につけていけば、決して無理な数字ではない。

1日1900kcalを目標値に設定

約17万kcalという数字だが、これを1日あたりに換算すると705kcalとなる。松村さんの基礎代謝は前述したように1900kcalを切る程度だったが、プログラム最終日の数字で1629kcal。1日の活動量を仮に1000kcalと仮定すると、1日の摂取カロリーを2000kcal程度まで抑えることができれば自然に減量できる。


炭水化物中心の食事を低糖質食に置き換えていった(写真:ライザップ)

実際、ライザップの担当管理栄養士が組んだ食事プログラムも、基礎代謝量とほぼ同等の1900kcalを目標値に据えていた。言い換えると“この程度は食べてもよい”ということだ。

減量開始前に松村さんが食べていた、炭水化物中心の3000kcal以上を低糖質食に置き換えていくのだが、むやみに炭水化物や糖類の摂取を抑えたわけではない。

松村さんの主治医と連携を取り、1日の糖質も約120グラム程度までは摂取。対するタンパク質は111〜166グラム程度を目安とした。

タンパク質は食事誘発性熱産生の比率が高い。これはその栄養素を消化吸収するために体が必要とするエネルギーのことで、炭水化物が6%程度であるのに対してタンパク質は30%。つまりタンパク質の割合を多くすることで、消化吸収時に体が使うエネルギー代謝が増える。ただし、高タンパク食材には脂質を多く含むものが多い。このため84〜119グラム以下に脂質を抑えるため、炭水化物もある程度は摂取するメニュー構成としたという。

また、あらかじめの健康診断で脂肪肝・脂質異常症・高尿酸血症があることがわかっていたため、不飽和脂肪酸の多い食品(青魚類)の摂取を心掛け、プリン体を多く含む食品の摂取を抑えるなどの食事指導も行った。

松村さんの体質もあったのだろう。肉から魚へと主なタンパク質食材を変えていき、特に夕食を魚へと変えていくと体重の減少も速まり、野菜の摂取量も自然に増加した。

「最近は“低糖質食を続けるのはあまりよくない”といった話も出始めています。しかし、低糖質食で問題の出るケースを見ると、かなり偏った食事をされていることが多いのです。たとえば炭水化物を抜くと余分な糖質の摂取量は控えられるのですが、必要な食物繊維と水分の摂取量も減ってしまいます。それは、ほかの食材やサプリメント・水分の摂取にて補わなければなりません。体の変化に合わせずに、やみくもに炭水化物だけを抜くと弊害も考えられます」(幕田氏)

低糖質による減量法に関しては、さまざまな研究が進められているが、ライザップでは東京大学や病院と共同研究プロジェクトを行い血液検査、各種バイタル値を数多く揃えていき、安全性を含めて糖質摂取量をどうコントロールするかを研究しているという。その成果は、さまざまな臨床データとともにまとめ、近日中に発表する予定とのことだ。

ライザップメソッドの神髄とは?

もっともライザップのメソッドを開発した1人である幕田氏に「ライザップメソッドの神髄とは何なのか?」を尋ねると、その答えはトレーニングでも食事でもなかった。ライザップの手法でもっとも大切なのは“やり抜かせること”。これは最近の英語やゴルフといったジャンルへの展開を見ても、彼らの事業の核となっているのは“やり抜かせる”という部分にほかならない。


スタジオ事業部教育ユニット長で統括トレーナーの幕田純氏(写真右)とスーパーバイザーの松下裕樹氏(筆者撮影)

ライザップの場合、減量に挑戦する人とよく話し合い、数字としての目標以外の“目的”を見つけるそうだ。目的とは、減量に成功した後の姿なり、ライフスタイルなりといった具体的なビジョン。そうした将来像、イメージを顧客と専属トレーナーが共有することから始めるという。

松村さんの場合、それは“普通の体型”になり、健康な生活を送ることだった。

「90キロを割るくらいから体重が落ちるスピードが遅くなり諦めかけました」という松村さんだが、気持ちを支えたのは「やると言った以上は逃げるわけにはいかない」という気持ちと、健康な生活へのあこがれだったという。

そんなに痩せたらキャラが変わって仕事が減るのでは?と言われたこともあるという松村さんだが「仕事が成功する、失敗するという話の前に、まずは健康で生きていなければいけません。健康な生活ができなければ、成功どころか、失敗すらできません。今の僕は“健康”を人生最大のテーマとしています。頑張れば体重は減らせますが、年齢を減らすことはできない。だから、(減量に挑戦するか否かで迷っている人は)今の時間を大事にしてほしいです」という。

一方、幕田氏は「最終的に“目的を達成しよう”と心を1つにすること」が、ライザップの特徴だと話す。ライザップのCMコピーに“結果にコミットする”という言葉があるが、それは実績に基づいたデータを背景に、トレーナー個人が顧客と向き合って“個人的な約束を交わす”ことに、その神髄があるという。

「私達のジムは唯一、“いつまでに”という期限を設けて、“何キロまで”という目標をコミットするというシステムを採用しました。現在でこそ累計9万5000人の情報を基にしたRIZAPナビゲーターによる確度の高い予測というバックボーンがありますが、それがないときから同じ仕組みを取り入れていました。減量のモチベーションを保つために必要なのは予測システムではなく、専属トレーナーがお客様に対して自信を持って“1対1の約束”をすること。それが、ライザップの減量プログラムでいちばん大切な部分だと思います。個人として約束することでメニューに創意工夫を施し、お客様も“そこまで言うなら頑張ろう”とついてきてくれるのです」(幕田氏)

プログラム修了会員への新サービスを提供

ところで「ライザップで痩せても、すぐにリバウンドするのではないか?」と思っている読者は多いのではないだろうか。肥満は生活習慣がもたらすものだから、元通りの生活習慣に戻れば、長期的には元の体型に戻るのは当たり前のことだ。

しかし、ライザップはトレーニングプログラムを修了した会員に対して「ボディマネジメントプログラム」の提供を2017年7月に開始した。


ライザップの各店舗に設置されたトレーニングマシン(写真:ライザップ)

このプログラムは月額2万9800円(税別)で、ライザップの各店舗に設置しているトレーニングマシン(パーソナルトレーニングを行うパワーラックとは別の、1人でも安全に使える複合トレーニング機材)を自由に使えるほか、月2回50分ずつのプランニングセッション、専用アプリを通じた管理栄養士による食事指導や相談、リバウンド保険(プログラム開始時と修了時の体重・体脂肪をもとに計算した基準値までリバウンドしたときに、2カ月16回のプログラムが無料になる保険)などが含まれる。入会時にこのプログラムへの加入を希望する人は実に8割というから驚く。

しかし、そもそもボディマネジメントプログラムに移行する会員が少ないのだ。なぜなら、ライザップ会員のうち6割は、そのまま継続してトレーニングを続けるからだ。実はライザップのビジネスが好調な理由はここにある。

顧客とトレーナーの信頼関係を築き、ライザップに通うことで自分だけでは困難なモチベーションの維持ができると思うからである。

フィットネス業界はライザップが巻き起こしたパーソナルトレーニングブームから、徐々にグループトレーニングへと事業の中心は移り変わってきているが、ライザップは減量を達成した会員に対して、美しいボディを維持するためのファンクショナルトレーニング、あるいはヨガといったプログラムを提供する別ブランドのサービスを展開し始めた。

その減量による喜び、驚きを通じて信頼関係を築き、高い継続率で安定した経営を行う。とかく“劇的な変身”ばかりがフィーチャーされるライザップのフィットネス部門だが、実は顧客との関係構築、結びつきの強さこそが彼らの強みなのかもしれない。