人々の消費意欲を刺激するための情報が溢れ、そこに経済力も伴い始めた中国では、消費者自身が真の価値を見極めるのが難しいという状況が見られている。消費者が未成熟な状況を、いわば思春期にある若者が自身を模索しているような状態にあるとも表現できるだろう。中国メディアの今日頭条はこのほおど、「日本の匠の精神に対する中国人の反応は、自分の目から見ると中二病に見える」とする記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 人々の消費意欲を刺激するための情報が溢れ、そこに経済力も伴い始めた中国では、消費者自身が真の価値を見極めるのが難しいという状況が見られている。消費者が未成熟な状況を、いわば思春期にある若者が自身を模索しているような状態にあるとも表現できるだろう。中国メディアの今日頭条はこのほおど、「日本の匠の精神に対する中国人の反応は、自分の目から見ると中二病に見える」とする記事を掲載した。

 日本には「中二病」という言葉があるが、中国でも日本と同じ意味合いで「中二病」という言葉が用いられているようだが、そもそもこの言葉自体の捉え方もはっきりしたものではない。しかし、中国でしばしば日本の「匠の精神」について語られる際、記事は「中国人はこの言葉に過度に陶酔してはいないだろうか」と指摘している。

 中国メディアで一時話題となった、日本人の「米炊き仙人」はコメをおいしく炊くことを極めた職人で、水に対するこだわりから中国の有名なミネラルウォーターのCMにも起用された。確かに職人として1つの技術を向上させてゆく姿勢は素晴らしいが、それが「国民性を代表して真摯で真面目な気質を表すものと捉えるのは、匠の精神の乱用ではないか」と主張した。

 日本人は他にも「寿司の神」、「天ぷらの神」、「鰻の神」などと職人を特別に崇める傾向があると伝える一方、日本の文化に詳しくない海外の人が果たして本当にその技を舌で感じることができているのかと疑問を呈した。匠の精神を通じたPRや宣伝は非常に効果があり、実際に中流階級の中国人の心を捉えているが、これは戦略であり宣伝に踊らされて匠の精神を謳った商品を購入することに慎重になるべきだと主張した。

 また悠久の歴史を持つ中国にも匠の精神を持つ職人は存在すると紹介し、「他者の優れた点から学ぶ態度は国民の生活を豊かにするが、それは外国かぶれになって自尊心を失うことではない」と喚起を与えた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)