海底で作業を行う集鉱試験機。(画像:経済産業省発表資料より)

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 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と経済産業省は、沖縄近海1,600メートルの海底熱水鉱床において、掘削・集鉱を行い、水中ポンプで資源を洋上に引き上げる採鉱・揚鉱パイロット試験に、世界で初めて成功した。

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 海底熱水鉱床は未開の沃野である。日本は鉱物資源の多くを輸入に依存しているが、もしも日本領海にある海底鉱床の開発が可能となるならば、これが大きな供給源となることが期待される。日本の領海海底に眠る資源の量は、一説にはだが、オーストラリア大陸全体のそれにも匹敵する規模であるとも言われているのだ。

 海洋鉱物資源には、大きく分けて、海底熱水鉱床のほか、マンガン団塊、コバルトリッチクラスト、そしてレアアース泥がある。これらの資源の中には、レアメタルなどの金属元素も含まれている。言うまでもないことだが島国である日本は広大な排他的経済水域を持ち、金属鉱物資源の供給源として大きなポテンシャルを秘めている。

 現在、実際にどのような方法で採掘や運搬を行うかはまだ研究段階の状況にあるわけだが、採鉱を行う船、揚鉱を行う船、そして揚鉱された海水を移送する船を別々に用意する方式が今回の試験では採用されている。

 採鉱を行う船には、2012年に就航した新型の海洋資源調査船「白嶺」が投入された。白嶺は、黒潮の潮流のもとでも安全な掘削が行えるよう船体中央部に「ムーンプール」と呼ばれる開口部を持ち、ボーリングロッドの上げ下げや、大型調査機器の投入を行うことができ、また大型のクレーンなどを装備している。

 今回の試験採掘の成功は、海洋鉱物資源開発の技術確立のための大きな一歩となることは間違いない。今後、経産省では、資源量の評価、環境への影響の調査結果などを踏まえつつ、2018年度に、海底採掘の全体的な経済性の評価を行い、将来的な商業化に向けた取り組みを進めていく予定であるという。