日航機墜落事故の犠牲となった家族の名を手で確認する遺族(撮影:常井健一)

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航空史上最悪の犠牲者を出した日航ジャンボ機墜落事故から20年目を迎えた12日夜、墜落現場のふもとの群馬県上野村にある慰霊施設「慰霊の園」で、追悼式典がしめやかに執り行われた。犠牲者の遺族193人を含む259人が列席し、事故の起きた午後6時56分に黙とうを捧げ、犠牲者の冥福を祈った。

 同施設を運営する上野村の松元宇隆村長は「事故を風化させることなく、犠牲を無にさせないよう活動を続けることが村民の使命」と強調、「今回、御巣鷹の山頂でご遺族の方々から一言ひとことお話を聞き、勉強させてもらった。来年もこの地で皆さんと会いたい」と述べた。

 慰霊碑の裏側にある、犠牲者520人全員の名前が刻まれた卓状の石碑では、遺族によって周囲に520個のろうそくがともされた。式典後も多くの遺族が残り、亡くなった家族の名前の上に花束やし好品を供えるなど、それぞれ故人を偲んだ。

 日本航空の新町敏行社長ら役員も同式典に参加し、慰霊碑に献花。「2度とあのような事故が起きぬよう、強い決意のもと、改めて全社員で安全運航の堅持に全力を尽くす」と遺族の前で誓いを読み上げた。中座した新町社長は、記者団に対し、繰り返されるトラブルについて「国土交通省に4月に報告した改善措置を一つひとつ実行に移し、一便一便の実績を積み重ねているところ」と説明し、トラブル原因として◆安全意識の弱さ◆情報伝達の的確性の欠如◆経営と現場とのコミュニケーション不足─などを挙げ、再発防止を強調した。【了】