桑江知子「『私のハートはストップモーション』は宝物」
「私、渡辺プロ(現・ワタナベエンターテインメント)が作ったレコード会社の第一号アーティストで、社運をかけた大型新人だったんです(笑)」
渡辺プロの音楽学院(九州校)に通っていた桑江さんは、系列校による全国選抜オーディションに「バラードを歌って」合格。1978年に上京した。
「ポーラ化粧品のキャンペーンソングに決まっていたので、『私のハートはストップモーション』というコピーから歌詞が作られ、その後、作曲家の都倉(俊一)先生に曲をお願いしました。でも、得意なバラードではなかったので、『コレじゃない!』ってプロデューサーに言って、怒られました」
事務所は、楽曲、衣装など、ヒット曲のパターンをマーケティングし、桑江さんをクールな女性として売り出した。
「素の私とは別人でした。髪型を極端にショートにして、テレビでもあまり笑わない、しゃべらないようにして。そのイメージに縛られている感覚がありました。転機は30代。ライブでこの曲を歌うとお客様が喜んでくれて、拍手も大きくなるんです。『私のハート〜』のおかげで今の私があると思います。
3年ほど前、都倉先生から『僕のなかでもとても大切な曲です。歌い続けてくれるから残っている』というメッセージをいただいて、すごく嬉しかった。私の大事な財産、宝物です」
<桑江知子『私のハートはストップモーション』>
1979年1月25日発売
作詞:竜真知子 作曲:都倉俊一
● スポットライト出演:1979年3月29日
●売上枚数:14.9万枚(1979年)
<カラオケ・ワンポイント・アドバイス!>
サビから始まる歌なので、明るく弾けた感じで歌い出しましょう。リズムに乗り遅れないように歯切れよく。サビ後のAメロは少し優しく。最後は「アー」で終わりますが、けっこう高い音なのでフラットしないように。
<桑江知子>
1960年沖縄県生まれ。57歳。1979年『私のハートはストップモーション』で、日本レコード大賞最優秀新人賞、日本歌謡大賞放送音楽新人賞などを受賞。ポップスからラテン、ジャズまで幅広く歌いこなし、近年では、生まれ故郷である沖縄の民謡に取り組み、「琉球民謡コンクール」では、新人賞、優秀賞も獲得。7月2日、桑江知子 with 笹子重治+琉球パラダイス「月詠み旅vol.69」が小岩 沖縄料理居酒や こだまにて開催