撮影:大森陸雄さん

「折り紙」を販売する自動販売機がツイッター上で話題となっている。

手裏剣やカエル、紙風船などが10〜50円で買える。この折り紙を2008年から1人で折り続けている女性に、話を聞いた。

レパートリーは数えきれないほど

愛媛県内子町の日用雑貨店「岡野商店」の店先に、「折り紙」の自動販売機はある。


撮影:大森陸雄さん

「紙ヒコーキ」「シュリケン」「ふうせんきんぎょ」「紙ふうせん」...。色とりどりの折り紙が、10、30、50円のいずれかで売られている。


ぼん(@bon_chic)さんのツイッターより

これらの折り紙はすべて岡野商店の店主・岡野千鶴さんが1人で作っている。

折り紙作りが特段、得意だったわけではない。江戸時代から手すき和紙の伝統産業で栄えてきた内子町では、和紙文化の魅力を伝えようと1年に1度、和紙作品の展覧会が開かれる。岡野さんも出し物を頼まれてから、折り紙を折って出展するようになったという。

自動販売機では元々、たばこを売っていた。だが2008年、taspo(タスポ)の導入が転機となった。近隣住民に勧められ、「もうけなしの遊び」で折り紙を陳列しようと思い立つ。

何かの偶然だろうか。岡野さんの名前は「千鶴」だ。Jタウンネット記者が「折り紙に縁があるのかもしれないですね」と言うと、岡野さんは

「よく言われます」

とにっこり。折り紙のレパートリーは、もはや「数えきれない」までに膨れ上がっているという。

「県外の人の方が多い」

小学校〜中学時代、誰しも折り紙で遊んだ経験はあるだろう。「やはり子どもに人気なのですか」。記者が岡野さんにそうたずねると、意外な答えが返ってきた。

「大人の方が多いです」

この自動販売機はテレビや新聞、インターネットなどのメディアで何度も取り上げられており、はるばる遠くから自販機を目当てに来る訪問者が後を絶たないそうだ。

「今は県外の人の方が多いですね」(岡野さん)

内子町在住のNPO法人「凧ネット」の副会長・大森陸雄さんも

「わざわざ姫路市や、遠くは新潟県から来てくれる方もいました」

と話す。今では「2、3日に1、2人」が訪れるのだという。

大森さんは記者の取材に応じた理由を、

「内子町は、和紙の町です。こうした文化があることが、少しでも皆さんに広がっていけば」

と明かした。

「世間では今、殺伐としたニュースばかり並んでいます。この自動販売機があることを知って少しでもほんわかとした気持ちになってくれれば」