「べっぴんさん」150話。なぜ「たったひとつの光る星や」なのか

写真拡大 (全2枚)

連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第26週「エバーグリーン」第150回 3月31日(金)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:安達もじり


150話はこんな話


レリビィにて、栄輔(松下優也)が明美(谷村美月)に、みんなの前で公開プロポーズ!

青春やねえ


149話の、幸せは誰かと分かち合うもの というような台詞は、150話の明美と栄輔につながっていたようだ。
心配していた栄輔の病気は、良性ポリープで、それをきっかけにふたりは改めて関係を見つめ直す。
よかった、よかった。
藍(渡邉このみ)が明美と栄輔の撮影をする。
それからキアリス4の撮影。
4人の撮影でも指輪を見せている明美。よほど嬉しかったのだろう。子供のときからずっと望みを高くもたないようにしていたかと思うと、晩年幸せになれてほんとうによかった。

それに比べて、藍は、カメラ壊しても、また新しいものをもらえて、たいそう恵まれた生活を送っている。なんたってお嬢さんだもの。いやいや、なにごもと赦すことが大事という教訓であろう。

店内に映画「時をかける少女」(83年 大林宣彦監督、原田知世主演)の主題歌が流れる中、写真の焼きましを配るすみれ(芳根京子)。
4人で藍に写真ケースをつくることにして、カメラとクローバーを刺繍しようと決める。
「なんか 青春やねえ」ふふふ。

三鬼プロデューサーは大林宣彦作のファンだそうなので、この選曲は嬉しいことだろう。
大林作品好きで尾美としのりさんに告白したエピソードは
コチラ。


だんだんな、空が近こう感じるんや


すみれが時をかけて、過去登場してきた子供たちが路地裏を駆ける幻を観る。
神戸の街を見下ろすあの丘。紀夫がはじめてすみれを見初めた場所にやってくるふたり。

「少し前までは先しか見てへんかったけど近頃はこれまでのことをいろいろ思い出すのよ」というすみれに紀夫も「だんだんな 空が近う感じるんや」
 ふたりの人生が終わりに近づいているような台詞。しんみり。

すみれ「私にとって紀夫さんはたったひとつの光る星やわ」
紀夫「僕にとってもすみれはたったひとつの光る星や」

突如として詩的な台詞が出てきて、最終回に続く。

昼間なのに星の話を持ち出すのは、五十八とはなの言葉にも似た、大切な物は目に見えない(星の王子さま)的なことだろうか。
渡辺千穂のデビュー作は「天体観測」(2002年フジテレビ)で、1話の冒頭で登場人物たちが星に願いをかけていた。テレビドラマデータベースによると、渡辺は4、6、10、12話を担当し、それ以外は秦建日子の脚本協力となっている。
あ、そうか、オライオン(オリオン)が星つながりだ。47話で潔が「オリオン座はほかの星をみつける目印になる。オライオンの服を着ることで自分の居場所をみつけてくれたらええんやないかって」と言っていたからそういう意味かもしれない。ロマンチックですね。
すてきな最終回を祈る。
(木俣冬)