iPhoneにおける本当に4K動画は革命的か? 隠れた動画撮影における優位制と将来性を探る【Turning Point】
最近のスマートフォンで目立つのが「カメラ」の進化だ。
特に、静止画だけでなく、「動画」の撮影は、4Kクオリティに対応し、劇的に進歩している。
人気のiPhoneにおいても、2015年9月発売の「iPhone 6s」および「iPhone 6s Plus」から、先行するAndroidスマートフォンに追いつき居、4K動画の撮影が可能となっている。
今回は、スマートフォンの動画を大きく変える4K動画のメリットについて、iPhoneを例にして紹介していきたいと思う。
■4K動画の魅力とは、どこにあるのか
4Kと聞けば、「4Kテレビ」を思い浮かべる人が多い。
4Kテレビは、3840×2160ドットの高精細な映像の表示が可能だ。
しかし、現状は表示できるコンテンツが圧倒的に少ない。
4Kを楽しむためには有料放送や次世代Blu-rayプレイヤーの購入が必要となる。また、スマートフォンで4K動画を撮影しても、折角の高画質な4K動画を再生するための4Kテレビは普及していない。
さらにスマートフォンの小さな画面では、いくら4K動画が美しい、高精細だろ訴求しても、その良さは伝わりづらい。
このような状況では、4Kに対するネガティブな意見が出るのも当然だろう。
しかしながら、スマートフォンのカメラ機能の進化向上の誇示には、4K動画対応が大ききな役目を果たす。
これまでも、スマートフォンのカメラは、画素数やオートフォーカススピード、動画機能などのスペックの向上で、ユーザーの大きな評価、満足度を獲得してきたからだ。
現在は、通信料の節約やキャリアを選べる自由度があるSIMフリースマートフォンの登場で、消費者であるユーザーは価格やサイズなど様々なニーズに合わせたモデルを使うことができる。SIMフリースマートフォンの注目機能も、やはりカメラ機能の性能だ。
こうした市場とカメラ好きユーザーの思惑も相まってか、シンプルに”写っていれば良い”というようなユーザーニーズはないがしろにされ、スマートフォンのカメラ機能だけは進化し、性能での勝負が今も行われている感がある。
筆者は、趣味だけではなく仕事柄カメラに触れる機会が多いこともあり、写真はできるだけ高画質で記録したいという思いがある。
それは動画に関しても同様で、素材となるオリジナル動画は、できるだけ解像度が高い状態で記録したいと思っている。
こうした思いは、プロだけなく、アマチュアでも写真や動画好きなユーザーには共通して存在する意識でもある。
過去には「MiniDV」というビデオテープにデジタル記録できるビデオカメラがあった。このビデオカメラはデジタルカメラ同様に、記録したデジタル映像をそのままパソコンに取り込んで編集が可能だった。当初はDVDと同じSD(480i)画質だったが、のちにハイビジョン(1080i)記録も可能となった。
こうした経緯もあり、動画を撮影するユーザーにとっては、ハイビジョン画質を遙かに凌ぐ4K動画への期待度は、嫌が負うにも高かったといえる。
そして満を持して、高価な専用機材を購入せずとも手軽に4K動画が撮影可能となるAndroidスマートフォンが登場したというわけだ。
実際にスマートフォンで撮影した4K動画の画質は素晴らしいものだった。
しかし、4K動画のデータは巨大で、そのデータをスマートフォンに記録するためには、ファイルサイズに起因する撮影時間の制限や、熱による不安定な動作という課題があり、撮影や操作面では思いのほか使い辛かったのを覚えている。
■iPhone 7で本格的4K動画撮影が可能に
アップルのiPhoneシリーズで4K動画撮影が可能となったのはiPhone 6s、iPhone 6s Plusからだ。その映像は極端な誇張がない自然なもので、なおかつ長時間撮影することができた。
これは、それまでのスマートフォンでの4K動画撮影を考えれば、思いのほか完成度が高い機能だ。
例えば、ボイスレコーダー代わりに長時間のミーティングも、
iPhoneで動画を撮影しておけば音声だけではなく、プレゼンのスライドの細かい部分まで確認できるなど、かなり実用性が高く役立つ。
安定した動画撮影を可能とするDJI OSMO Mobile
スマートフォンでの動画撮影には、もう1つ課題があった。
iPhoneをはじめとするスマートフォンは、手持ち撮影に向いていないデザインだという点だ。
スマートフォンでの動画撮影でが、必ず、手ブレが問題となる。
そこでスタビライザーが登場し始める。
重りでバランスを取るタイプや、モーターでバランスを取る電動タイプなどが登場する。
2016年秋にはDJIの電動スタビライザー「OSMO Mobile」が発売となった。
OSMO Mobileは同社がドローンで培った技術を、電動スタビライザーのハードウェアとスマートフォン向けのソフトウェアで実現した魅力的な製品だ。
OSMO Mobileは、スマートフォンで歩きながら動画撮影をしても、安定した映像を記録することができる。。
そして問題として指摘した手持ち撮影に向かないスマートフォンでも、OSMO Mobileのハンドルを握るだけ済むという手軽さが大きなメリットである。腕を掲げるような無理な姿勢にならないため長時間の撮影も楽であり、さらに手ブレを打ち消してくれるのでビデオカメラで撮影するような安定感が得られる。
こうした電動スタビライザーは流石に仰々しいイメージだが、価格が安くなり普及するようになれば「セルフィー棒」のような存在になるではないかと思う。
■iPhoneだからできる次の動画撮影とは
4K動画撮影可能なAndroidスマートフォンは、前述したように撮影時間の制限や発熱問題などがあり、カタログで高スペックとして謳う割にはおまけ的な機能という印象を受ける。
また、Androidスマートフォンは、内部ストレージの容量やユーザーが拡張できるmicroSDカードの選択において、iPhoneより自由度がある点が大きなメリットだが、それらが性能面でのばらつきが発生する原因ともなっている。
特に4K動画のような大きなデータの書き込み、高速データの書き込みの環境を、必要なレベルで固定、統一できない点は、Androidスマートフォンのネックでもある。
iOS向けアプリ「Filmic Pro」最新版では露出確認のためのゼブラパターン表示やピント確認のためのピーキング表示にも対応する
一方、iPhoneは、「iPhone 7」および「iPhone 7 Plus」で128GB、256GBと言った大容量ストレージを搭載したモデルもあるため4K動画の撮影には適している。
さらにカメラアプリが豊富なiPhoneでは、動画に特化したアプリの完成度が高い。
なかにはデジタルカメラの4K動画撮影で使用される100Mbpsというビットレートで記録できるアプリもあり、標準カメラアプリよりも高画質で記録することまで可能だ。
これも、ハードウェアが統一されているiPhoneのメリットと言えるだろう。
新しい動きとして、デジタルシネマカメラで採用されている「Log」記録を可能とするアプリも登場している。
これはiPhoneのカメラ機能の向上というよりは、iPhone自体の性能向上も関わってくるもので、さらにiPhoneの性能が向上すればもっと優れた機能が追加されるのではないかと期待できる。
Filmic Pro最新版ではLog記録(有料)に対応する
さて、カメラの画質といえば通常の静止画・動画撮影ではメリハリを付けて映像の見栄えを良くする。
このさじ加減がカメラの実写映像の善し悪しともなり、個性にもつながっている。
Logはこうした味付けを排除し、できるだけ広いダイナミックレンジを取り込むことが目的のガンマカーブで、映像は明るい部分から位部分までまんべんなく記録する。そのためためプレーンなデータの画質は眠い絵となる。しかし、記録されている画像の中には、豊富なデータが詰まっており、クリエイターが理想とする味付けが可能となる。
これは、個性を表現するための映像撮影には欠かせないものだ。
こうしたメリットが多く感じられるLog記録だが、iPhoneのイメージセンサーの性能や記録するビットレートは限界があり、シネマカメラのような高度な編集には向いてはいない。
だが”いかにもスマートフォンで撮りました”という映像ではなく、自分らしい映像表現が可能となることは変わりなく、注目に値する機能でもある。
Androidスマートフォンは、多様なSIMフリースマートフォンの登場で賑わっているが、iPhoneのようなクリエイティブな利用には、少々分がわるい。
前述したストレージの問題だけではなく、OSのバージョン、カメラユニット、CPU性能などハードウェアのばらつきがネックとなり、なかなかクリエイティブ向けのアプリが思うように確立していないように思える。
Androidでこうした問題を解決するには、ビデオカメラのOSをAndroidにするといったよぅなハードウェア主体での製品開発する必要があるかもしれない。
実際、これまで、1インチイメージセンサーのデジタルカメラとスマートフォンの便利さを合わせたパナソニックの「DMC-CM10」や、別カテゴリーとなるがハイレゾオーディオプレイヤーとスマートフォンを融合させたオンキヨーの「GRANBEAT」などがある。
とはいえ、
多くのユーザーが、そこまで特化したスマートフォンを求めているのか?
メーカーが、そこまでのもの作る必要があるのか?
と、考えれば、必ずしも、そうとは思えない。
であれば、現状では、iPhoneのアプリのバージョンアップやiPhone自体の性能アップに期待する方が、広い意味で動画撮影を楽しめそうに思えるのだ。
執筆 mi2_303
特に、静止画だけでなく、「動画」の撮影は、4Kクオリティに対応し、劇的に進歩している。
人気のiPhoneにおいても、2015年9月発売の「iPhone 6s」および「iPhone 6s Plus」から、先行するAndroidスマートフォンに追いつき居、4K動画の撮影が可能となっている。
今回は、スマートフォンの動画を大きく変える4K動画のメリットについて、iPhoneを例にして紹介していきたいと思う。
■4K動画の魅力とは、どこにあるのか
4Kと聞けば、「4Kテレビ」を思い浮かべる人が多い。
4Kテレビは、3840×2160ドットの高精細な映像の表示が可能だ。
しかし、現状は表示できるコンテンツが圧倒的に少ない。
4Kを楽しむためには有料放送や次世代Blu-rayプレイヤーの購入が必要となる。また、スマートフォンで4K動画を撮影しても、折角の高画質な4K動画を再生するための4Kテレビは普及していない。
さらにスマートフォンの小さな画面では、いくら4K動画が美しい、高精細だろ訴求しても、その良さは伝わりづらい。
このような状況では、4Kに対するネガティブな意見が出るのも当然だろう。
しかしながら、スマートフォンのカメラ機能の進化向上の誇示には、4K動画対応が大ききな役目を果たす。
これまでも、スマートフォンのカメラは、画素数やオートフォーカススピード、動画機能などのスペックの向上で、ユーザーの大きな評価、満足度を獲得してきたからだ。
現在は、通信料の節約やキャリアを選べる自由度があるSIMフリースマートフォンの登場で、消費者であるユーザーは価格やサイズなど様々なニーズに合わせたモデルを使うことができる。SIMフリースマートフォンの注目機能も、やはりカメラ機能の性能だ。
こうした市場とカメラ好きユーザーの思惑も相まってか、シンプルに”写っていれば良い”というようなユーザーニーズはないがしろにされ、スマートフォンのカメラ機能だけは進化し、性能での勝負が今も行われている感がある。
筆者は、趣味だけではなく仕事柄カメラに触れる機会が多いこともあり、写真はできるだけ高画質で記録したいという思いがある。
それは動画に関しても同様で、素材となるオリジナル動画は、できるだけ解像度が高い状態で記録したいと思っている。
こうした思いは、プロだけなく、アマチュアでも写真や動画好きなユーザーには共通して存在する意識でもある。
過去には「MiniDV」というビデオテープにデジタル記録できるビデオカメラがあった。このビデオカメラはデジタルカメラ同様に、記録したデジタル映像をそのままパソコンに取り込んで編集が可能だった。当初はDVDと同じSD(480i)画質だったが、のちにハイビジョン(1080i)記録も可能となった。
こうした経緯もあり、動画を撮影するユーザーにとっては、ハイビジョン画質を遙かに凌ぐ4K動画への期待度は、嫌が負うにも高かったといえる。
そして満を持して、高価な専用機材を購入せずとも手軽に4K動画が撮影可能となるAndroidスマートフォンが登場したというわけだ。
実際にスマートフォンで撮影した4K動画の画質は素晴らしいものだった。
しかし、4K動画のデータは巨大で、そのデータをスマートフォンに記録するためには、ファイルサイズに起因する撮影時間の制限や、熱による不安定な動作という課題があり、撮影や操作面では思いのほか使い辛かったのを覚えている。
■iPhone 7で本格的4K動画撮影が可能に
アップルのiPhoneシリーズで4K動画撮影が可能となったのはiPhone 6s、iPhone 6s Plusからだ。その映像は極端な誇張がない自然なもので、なおかつ長時間撮影することができた。
これは、それまでのスマートフォンでの4K動画撮影を考えれば、思いのほか完成度が高い機能だ。
例えば、ボイスレコーダー代わりに長時間のミーティングも、
iPhoneで動画を撮影しておけば音声だけではなく、プレゼンのスライドの細かい部分まで確認できるなど、かなり実用性が高く役立つ。
安定した動画撮影を可能とするDJI OSMO Mobile
スマートフォンでの動画撮影には、もう1つ課題があった。
iPhoneをはじめとするスマートフォンは、手持ち撮影に向いていないデザインだという点だ。
スマートフォンでの動画撮影でが、必ず、手ブレが問題となる。
そこでスタビライザーが登場し始める。
重りでバランスを取るタイプや、モーターでバランスを取る電動タイプなどが登場する。
2016年秋にはDJIの電動スタビライザー「OSMO Mobile」が発売となった。
OSMO Mobileは同社がドローンで培った技術を、電動スタビライザーのハードウェアとスマートフォン向けのソフトウェアで実現した魅力的な製品だ。
OSMO Mobileは、スマートフォンで歩きながら動画撮影をしても、安定した映像を記録することができる。。
そして問題として指摘した手持ち撮影に向かないスマートフォンでも、OSMO Mobileのハンドルを握るだけ済むという手軽さが大きなメリットである。腕を掲げるような無理な姿勢にならないため長時間の撮影も楽であり、さらに手ブレを打ち消してくれるのでビデオカメラで撮影するような安定感が得られる。
こうした電動スタビライザーは流石に仰々しいイメージだが、価格が安くなり普及するようになれば「セルフィー棒」のような存在になるではないかと思う。
■iPhoneだからできる次の動画撮影とは
4K動画撮影可能なAndroidスマートフォンは、前述したように撮影時間の制限や発熱問題などがあり、カタログで高スペックとして謳う割にはおまけ的な機能という印象を受ける。
また、Androidスマートフォンは、内部ストレージの容量やユーザーが拡張できるmicroSDカードの選択において、iPhoneより自由度がある点が大きなメリットだが、それらが性能面でのばらつきが発生する原因ともなっている。
特に4K動画のような大きなデータの書き込み、高速データの書き込みの環境を、必要なレベルで固定、統一できない点は、Androidスマートフォンのネックでもある。
iOS向けアプリ「Filmic Pro」最新版では露出確認のためのゼブラパターン表示やピント確認のためのピーキング表示にも対応する
一方、iPhoneは、「iPhone 7」および「iPhone 7 Plus」で128GB、256GBと言った大容量ストレージを搭載したモデルもあるため4K動画の撮影には適している。
さらにカメラアプリが豊富なiPhoneでは、動画に特化したアプリの完成度が高い。
なかにはデジタルカメラの4K動画撮影で使用される100Mbpsというビットレートで記録できるアプリもあり、標準カメラアプリよりも高画質で記録することまで可能だ。
これも、ハードウェアが統一されているiPhoneのメリットと言えるだろう。
新しい動きとして、デジタルシネマカメラで採用されている「Log」記録を可能とするアプリも登場している。
これはiPhoneのカメラ機能の向上というよりは、iPhone自体の性能向上も関わってくるもので、さらにiPhoneの性能が向上すればもっと優れた機能が追加されるのではないかと期待できる。
Filmic Pro最新版ではLog記録(有料)に対応する
さて、カメラの画質といえば通常の静止画・動画撮影ではメリハリを付けて映像の見栄えを良くする。
このさじ加減がカメラの実写映像の善し悪しともなり、個性にもつながっている。
Logはこうした味付けを排除し、できるだけ広いダイナミックレンジを取り込むことが目的のガンマカーブで、映像は明るい部分から位部分までまんべんなく記録する。そのためためプレーンなデータの画質は眠い絵となる。しかし、記録されている画像の中には、豊富なデータが詰まっており、クリエイターが理想とする味付けが可能となる。
これは、個性を表現するための映像撮影には欠かせないものだ。
こうしたメリットが多く感じられるLog記録だが、iPhoneのイメージセンサーの性能や記録するビットレートは限界があり、シネマカメラのような高度な編集には向いてはいない。
だが”いかにもスマートフォンで撮りました”という映像ではなく、自分らしい映像表現が可能となることは変わりなく、注目に値する機能でもある。
Androidスマートフォンは、多様なSIMフリースマートフォンの登場で賑わっているが、iPhoneのようなクリエイティブな利用には、少々分がわるい。
前述したストレージの問題だけではなく、OSのバージョン、カメラユニット、CPU性能などハードウェアのばらつきがネックとなり、なかなかクリエイティブ向けのアプリが思うように確立していないように思える。
Androidでこうした問題を解決するには、ビデオカメラのOSをAndroidにするといったよぅなハードウェア主体での製品開発する必要があるかもしれない。
実際、これまで、1インチイメージセンサーのデジタルカメラとスマートフォンの便利さを合わせたパナソニックの「DMC-CM10」や、別カテゴリーとなるがハイレゾオーディオプレイヤーとスマートフォンを融合させたオンキヨーの「GRANBEAT」などがある。
とはいえ、
多くのユーザーが、そこまで特化したスマートフォンを求めているのか?
メーカーが、そこまでのもの作る必要があるのか?
と、考えれば、必ずしも、そうとは思えない。
であれば、現状では、iPhoneのアプリのバージョンアップやiPhone自体の性能アップに期待する方が、広い意味で動画撮影を楽しめそうに思えるのだ。
執筆 mi2_303