また4強止まり、蘭監督は“珍プレー”悔やむ 「初回の走塁が差を生んだ」
プロファーの“ボーンヘッド”でバレの一発は2ランに、「負けたことは辛い」
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝が20日(日本時間21日)にドジャースタジアムで行われ、オランダはプエルトリコに延長11回4時間19分の大熱戦でタイブレークの末に3-4で敗れた。2大会連続で4強止まりとなった元ヤクルトのオランダ指揮官、ヘンスリー・ミューレンス監督は「初回の走塁が差を生んだ」と立ち上がりの“珍プレー”が大きく響いたと振り返った。
先攻のオランダは初回、先頭のシモンズが三塁内野安打で出塁。しかし、無死一、二塁となってからプロファーの打席で二塁走者のシモンズが飛び出した。メジャーNO1捕手のモリーナは見逃さず、二塁に矢のような送球。シモンズが刺され、ボガーツがその間に進塁したため1死二塁となった。
その後、プロファーは右前打。ボガーツは三塁で止まり、再びチャンスが広がったかに見えた。たが、強肩の右翼ロサリオから本塁へ返球されたボールをモリーナがつかむと、ゆっくりとした動作から突然、一塁へ送球。一塁を回ったところで喜びを全身で表現しながらベースに戻ろうとしていたプロファーを刺した。オランダベンチを煽り、ボールから目を切っていたプロファーは、満面の笑みから一転して“珍プレー”に呆然。モリーナの抜け目のなさも光ったプレーだったが、オランダは走者の“ボーンヘッド”で2アウトを献上した。
オランダは続くバレンティンが先制2ラン。嫌なムードを振り払う貴重な一発となったものの、シモンズとプロファーがアウトになっていなければ、満塁弾になっていたかもしれない。ミューレンス監督は試合後の会見で「初回の走塁が差を生んだ。負けたことは辛いが、準決勝で戦えたことは誇れる。また4年後に戻って、上を目指したい」と声を絞り出した。1点を争うゲームだっただけに、代償は大きかった。
プエルトリコは日本より上? 「今大会で対戦した中で最強だった」
メジャーのベテランと有望株を絶妙のバランスでミックスしたプエルトリコ、内野にスター選手を揃えたオランダ。ともに2大会連続の準決勝進出を果たした両国の対戦は、感情がぶつかりあう大熱戦となった。延長10回にはバレンティンが顔付近への投球に激昂し、両軍選手がベンチから飛び出して乱闘寸前になる場面も。ヤクルトの主砲はモリーナになだめられて何とか落ち着きを取り戻したが、ミューレンス監督は「選手は気持ちを入れ込んで戦っている。感情がほとばしるのは、私たちも望んでいること」と振り返った。
“死の組”となった米国の2次ラウンドでも強さを見せ、開幕から無傷の7連勝で2大会連続の決勝進出を決めたプエルトリコについて、指揮官は試合後に「無敗という記録の通り。我々が今大会で対戦した中で最強だった」と脱帽。オランダは2次ラウンド初戦で侍ジャパンに延長11回の熱戦の末に6-8で敗れていたが、日本ではなくプエルトリコを「最強」と表現した。そして、またしてもわずかな差で勝利を逃した。
侍ジャパンが21日(日本時間22日)の準決勝で米国を敗れば、プエルトリコと今大会7戦全勝同士の決勝が実現する。文字通り「世界最強」の名をかけた決勝の舞台に進むことが出来るか。まずは、母国・米国との大一番に注目が集まる。