『GOLDFINGER’99』に熱狂!世紀末に狂い咲いた郷ひろみ

写真拡大

60歳を過ぎた現在も、年齢を全く感じさせないパフォーマンスで、芸能界のトップに君臨する郷ひろみ。
今に続く、「若々しくてエネルギッシュ」な郷ひろみ像。このイメージを作り上げたのは、世紀末に生まれたあの曲が築き上げたイメージではないだろうか?

結婚後にアイドル脱却を図るも…郷ひろみの低迷期


郷ひろみは71年にデビュー。その後10年以上もの間、男性アイドルのトップを走り続けるも、80年代中期には二谷友里恵との交際・結婚を機にニューヨークに渡米。アイドル路線脱却の充電期間を過ごしている。

89年に帰国した際には、流れの早い芸能シーンからは取り残されてしまった感が否めなかった。実際、ドラマで主演を張るも視聴者からは支持をされていたとは言い難い状況であり(記事はこちら)、ヒット曲にも恵まれなかった。

郷ひろみ、離婚によりイメージ急降下!?


しかし、93年1月発売の『僕がどんなに君を好きか、君は知らない』のロングヒットを皮切りに、翌94年『言えないよ』、95年『逢いたくてしかたない』と、スマッシュヒットを連発。
このいわゆる「バラード3部作」で、“大人の郷ひろみ”のイメージが定着。本格派アーティストの道を進み始めることになる。

だが、好事魔多し。人気復活の中、持ち上がった離婚の原因が郷の奔放な女性関係にあるとされ、築き上げてきたイメージに傷が付いたのだ。離婚の真相を告白本で暴露する形で、ワイドショーの主役に踊り出るも、露出に反比例する形で、芸能界での格付けは大きく下がることに。

再び、芸能界でのポジションはリセットされたかに見えたのだが……。

大ヒット曲をカバーした『GOLDFINGER’99』


そこに起死回生となる大ヒットが生まれる。郷ひろみが持つ、本来の陽気なムードを全開にしたあの曲。そう、『GOLDFINGER’99』だ。

この曲は99年7月発売の通算76枚目のシングル。1999年4月にリッキー・マーティンが発表し、アメリカを始め世界各国で1位を獲得した大ヒット曲『リヴィン・ラ・ヴィダ・ロカ』のカバー曲に当たる。
もっとも、「キケンな彼女に惹き込まれる歌」だった原曲を「男女ともにノリノリな情熱的な夏の恋の歌」に仕立て上げた時点で、中身はまったくの別物。原曲の「ヴィダ・ローカ」が日本語詞では「だろうか」になっているんだから、もはや『空耳アワー』の世界である。

『GOLDFINGER’99』で郷ひろみ人気再び急上昇!


当初は、冷めた意見も多かったが、郷ひろみのキレのあるダンスと突き抜けたパフォーマンスがそれを圧倒。40万枚超えのセールスとなり、この年の日本レコード大賞「最優秀歌唱賞」、日本有線大賞「有線音楽優秀賞(ポップス)」も受賞。90年代以降の郷ひろみ最大のヒット曲となった。
サビの「アチチ・アチ」の振り付けやジャケット芸は、モーニング娘。の『LOVEマシーン』と並び、カラオケや宴会の席に欠かせない定番の余興に。

振り切れたキャラクターの親しみやすさも人気となり、CMにも多数出演。今まで郷ひろみを知らなかった若年層にまでファンは拡大し、三度目にして最大のブレイクを果たすのだから、やはりスーパースターは持っているものが違うようである。

マルチに活躍するミュージシャンで評論家の近田春夫はこの曲をこう評している。
「カヴァー曲であるとかないとか、極端にいえば楽曲のことなどどうでもいい。なにしろ、郷ひろみという“すごさ”が音楽をつき抜けて迫って来たのである」
激しく納得!
(バーグマン田形)

※イメージ画像はamazonより“郷ひろみ"という生き方~60歳のエンターテイナー~ [Blu-ray]