自民党企業統治委員会で、自民党議員に迎えられるライブドアの堀江社長(撮影:吉川忠行)

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敵対的企業買収の防衛策を検討する自民党企業統治委員会(甘利明委員長)は16日午前、ニッポン放送の経営権をめぐる争いを検証するため、ライブドア<4753>の堀江貴文社長とフジテレビジョン<4676>の日枝久会長を講師として招いた。企業買収への対抗策について、堀江社長は「株価を上げて、企業価値を上げていくことが唯一の手段」と、日枝会長は「日本の社会にふさわしいルールの整備が必要」とそれぞれの見解を示した。

 堀江氏は「日常茶飯事で割安な会社の値が割れているというのが現実。日本も大買収時代に入る、当然敵対的買収というのも起こってくる」と話し、経営者がとる対抗策の具体例として◆業績の向上◆配当金の増加◆自己株買い◆非上場化─などを挙げ、「市場に上場している限りは、いろんなオプションを考えて、常にピリピリしながら経営をしていかねばならない」と持論を語った。

 また、「時価総額はくせ者」としながら、「流動性が高い銘柄と低い銘柄が同じ価値で見られているのは問題で、明確な基準を作るべき」「新規上場するときはたくさんの株式を公募なりで出して、市場に流通させ、価格決定のプロセスを明解にしないと、市場の価格が歪められてしまう」と問題提起した。

 一方、日枝氏はM&Aについて「決して悪いとは限らない」としながら、攻防戦の経験から「株主が善、経営者が悪という風潮があると率直に思う」との見解を述べた。ライブドアによるニッポン放送株の時間外取引については「違法ではないが、脱法に近い『想定外』の事態だった」と苦言を呈し、◆時間外取引◆TOB(公開買い付け)のあり方◆大量保有報告書◆外資による放送業間接支配の規制─の4点についてのルール作りを促した。

 また、フジサンケイグループとして、M&Aに積極的な姿勢を示し、「短期的ではなく、将来の事業戦略を見据えた長期的視点を持ちながらやりたい」と述べた。

 同委員会では、「バトルの再開になるといけないし、お互いが言いたいことを言えるように」(甘利委員長)と配慮して、両氏が入れ替わる形で、M&A(企業の買収・合併)をめぐる法制度上の問題点や企業価値について、両氏からヒアリングを行った。

 閉会後、同委員会の甘利委員長は、記者団に対し「両社とも忌憚(きたん)なくものを言っていただいた。敵対的買収に対して、どういうルールづくりが必要か、かなり冷静に判断できた」と感想を述べ、「買収する際には企業価値を高めるプランを提示する責任がある。守る方も経営者側が何でもありではなく、株主総会で諮って了解してもらいたい」と語った。【了】

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