業界シェアNo.1企業は最先端テクノロジーをどう活用しようとしているのか
近年、さまざまなロケーションで見かけることがある料金の自動精算システム。このシステムは今やビジネスホテルや病院、ゴルフ場でも普及しつつある。
このシステムを提供しているのが、有線音楽最大手企業USENの完全子会社である株式会社アルメックスだ。
アルメックス社が目指しているのは「テクノホスピタリティ」。これは、テクノロジーとホスピタリティを組み合わせた造語だが、この言葉には中小企業が生き残っていくためのカギが隠されている。
今回は、アルメックス社が掲げる「テクノホスピタリティ」の起源と今後の戦略について『テクノホスピタリティを世界へ』(ダイヤモンド社刊)の著者で代表取締役社長の馬淵将平氏にお話を伺った。
(新刊JP編集部)
■アルメックス社を支える3つの柱
――アルメックス社の自動精算システムはレジャーホテルだけでなく、ビジネスホテル、病院、そしてゴルフ場でも普及しつつあり、圧倒的なシェアを誇っています。シェアNo.1を維持し続けられる要因はどこにあるのでしょうか。
馬淵:キーワードを言うと、「カスタマイゼーション」「アフターサービス」そして「EQ(Emotional Intelligence Quotient)」の3つです。
まず「カスタマイゼーション」ですが、例えばホテルであれば、それぞれに存在する製品に対してのリクエストやニーズに合わせて、1台1台カスタマイズを施していきます。
これは、小回りが利く組織規模と、常にお客様目線に立って、製品・サービスと向き合いニーズを的確に把握できるからこそ実現することができる特徴です。
――なるほど。では、二つ目の「アフターサービス」は?
馬淵:機器導入後も一貫した自社でのサポート対応をしています。
メーカーでありながらメンテナンスまでを請け負うことによってスピーディーでロスのない体制を構築できているため、24時間365日の対応が可能となり、数多くのお客様からの信頼を獲得しています。
そして最後の「EQ」は、言い換えるなら「人間力」ですね。当社には人間味溢れる「人財」が多数います。
彼らがお客様に寄り添い、リクエストやニーズを捉え、導入後もサポートを行なっていく。社員個々の「EQ」によってお客様から信頼される、その積み重ねが現在のアルメックスの姿を築いてきました。
――ここ近年は東南アジアへの進出、さらには国内においても既存マーケットを飛び越えた第四の宿泊市場に向けた取り組みも始められています。自動精算システムの今後の展開についてお聞かせ下さい。
馬淵:まず2014年に海外事業戦略の第一歩として、マレーシアに現地法人となる「ALMEX SYSTEM TECHNOLOGY ASIA(以下「ASTA」)」を設立しました。
初の海外拠点としてマレーシアを選んだ理由はいくつかありますが、一つには「2020年に先進国入りをめざす」という目標に向けて、国全体で動いていることがあげられます。
将来的には現在の中国や韓国、香港のように存在感を増してくることが予測され、とても注目されている市場です。
2016年1月にはマレーシア最大規模の病院グループであるパンタイ病院クアラルンプールへの自動再来受付機トライアル導入を決め、実際に7月から稼動させています。
■今後注目するのは「ソーシャルロボット」と「Fintech」
――では、国内市場はいかがでしょうか。
馬淵:国内市場については、増えているインバウンド観光客への対応が求められています。製品・サービスの多言語化を進めるなど、ホテルと観光客との接点をスムーズに繋いでいくことが私たちの使命のひとつでもあります。
また、大都市圏で顕著にあらわれ始めている宿泊施設不足を解決するための施策として、レジャーホテルの活用が挙げられます。
日本独自ともいえるレジャーホテルの文化を理解した上で積極的にご利用して頂くため、レジャーホテルの紹介に特化したポータルサイト「Loveinn Japan」をリリースし、今後は現在の英語表示に加え、多言語化への対応や宿泊予約システムを実装していく予定です。
また、他にも、新たな宿泊形態である「民泊」事業への参入として、当社省人化・省力化システムの民泊宿泊施設への提供に向けて着手をしています。
――本書では、医療機関に向けても事業を展開されていることが説明されていますね。
馬淵:医療機関向け事業においては、クリニックや調剤薬局など周辺施設向けの製品・サービス展開を強化していくなど、各事業において、これまでの事業展開を超えた取り組みを進めています。
――今後、テクノロジーの分野では人工知能(AI)やバーチャルリアリティ(VR)が主軸になっていくことが予想されますが、アルメックス社としてはこうした技術についてどのような活用を考えていますか?
馬淵:AIとIoT(Internet of Things)を組み合わせたソーシャルロボットと新しい決済手段となる可能性を秘めるFintechの技術分野に注力していきたいと考えています。
人間とのコミュニケーションを主眼に置いたソーシャルロボットは、高齢化が急激に進む日本において、今後幅広い活用を考えることができるはずです。また、ビットコインやネットバンキングの広がりなどめざましい変化を遂げているFintech分野も注目しています。
――アルメックス社はどのような企業風土をお持ちなのか、その特徴について教えてください。
馬淵:当社の企業風土は、「テクノホスピタリティの創造」という一語で表すことができます。テクノホスピタリティとは、TechnologyとHospitalityを掛け合わせた造語です。
最新のテクノロジーを駆使し、絶えず革新を繰り返していくトータルソリューション製品・サービスによって、日本はもとより世界中の利用者・エンドユーザーの方々に対してホスピタリティをご提供していく、そういった想いを込めています。
――最後に2006年にUSENのグループ企業となりましたが、現在はどのように連携をされているのか、今後どのような事業展開を進めていこうと考えているのかお聞かせ下さい。
馬淵:現在、当社はUSENグループの中核事業のひとつとなるまでに成長を遂げました。
今後はインバウンド戦略、アウトバウンド戦略、ソーシャルロボット戦略、Fintech技術戦略という4つの事業戦略のもと、社会に対して省人化・省力化・効率化のソリューションシステムを提供する断トツナンバーワン・プレーヤーを目指していきます。
(了)
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このシステムを提供しているのが、有線音楽最大手企業USENの完全子会社である株式会社アルメックスだ。
アルメックス社が目指しているのは「テクノホスピタリティ」。これは、テクノロジーとホスピタリティを組み合わせた造語だが、この言葉には中小企業が生き残っていくためのカギが隠されている。
(新刊JP編集部)
■アルメックス社を支える3つの柱
――アルメックス社の自動精算システムはレジャーホテルだけでなく、ビジネスホテル、病院、そしてゴルフ場でも普及しつつあり、圧倒的なシェアを誇っています。シェアNo.1を維持し続けられる要因はどこにあるのでしょうか。
馬淵:キーワードを言うと、「カスタマイゼーション」「アフターサービス」そして「EQ(Emotional Intelligence Quotient)」の3つです。
まず「カスタマイゼーション」ですが、例えばホテルであれば、それぞれに存在する製品に対してのリクエストやニーズに合わせて、1台1台カスタマイズを施していきます。
これは、小回りが利く組織規模と、常にお客様目線に立って、製品・サービスと向き合いニーズを的確に把握できるからこそ実現することができる特徴です。
――なるほど。では、二つ目の「アフターサービス」は?
馬淵:機器導入後も一貫した自社でのサポート対応をしています。
メーカーでありながらメンテナンスまでを請け負うことによってスピーディーでロスのない体制を構築できているため、24時間365日の対応が可能となり、数多くのお客様からの信頼を獲得しています。
そして最後の「EQ」は、言い換えるなら「人間力」ですね。当社には人間味溢れる「人財」が多数います。
彼らがお客様に寄り添い、リクエストやニーズを捉え、導入後もサポートを行なっていく。社員個々の「EQ」によってお客様から信頼される、その積み重ねが現在のアルメックスの姿を築いてきました。
――ここ近年は東南アジアへの進出、さらには国内においても既存マーケットを飛び越えた第四の宿泊市場に向けた取り組みも始められています。自動精算システムの今後の展開についてお聞かせ下さい。
馬淵:まず2014年に海外事業戦略の第一歩として、マレーシアに現地法人となる「ALMEX SYSTEM TECHNOLOGY ASIA(以下「ASTA」)」を設立しました。
初の海外拠点としてマレーシアを選んだ理由はいくつかありますが、一つには「2020年に先進国入りをめざす」という目標に向けて、国全体で動いていることがあげられます。
将来的には現在の中国や韓国、香港のように存在感を増してくることが予測され、とても注目されている市場です。
2016年1月にはマレーシア最大規模の病院グループであるパンタイ病院クアラルンプールへの自動再来受付機トライアル導入を決め、実際に7月から稼動させています。
■今後注目するのは「ソーシャルロボット」と「Fintech」
――では、国内市場はいかがでしょうか。
馬淵:国内市場については、増えているインバウンド観光客への対応が求められています。製品・サービスの多言語化を進めるなど、ホテルと観光客との接点をスムーズに繋いでいくことが私たちの使命のひとつでもあります。
また、大都市圏で顕著にあらわれ始めている宿泊施設不足を解決するための施策として、レジャーホテルの活用が挙げられます。
日本独自ともいえるレジャーホテルの文化を理解した上で積極的にご利用して頂くため、レジャーホテルの紹介に特化したポータルサイト「Loveinn Japan」をリリースし、今後は現在の英語表示に加え、多言語化への対応や宿泊予約システムを実装していく予定です。
また、他にも、新たな宿泊形態である「民泊」事業への参入として、当社省人化・省力化システムの民泊宿泊施設への提供に向けて着手をしています。
――本書では、医療機関に向けても事業を展開されていることが説明されていますね。
馬淵:医療機関向け事業においては、クリニックや調剤薬局など周辺施設向けの製品・サービス展開を強化していくなど、各事業において、これまでの事業展開を超えた取り組みを進めています。
――今後、テクノロジーの分野では人工知能(AI)やバーチャルリアリティ(VR)が主軸になっていくことが予想されますが、アルメックス社としてはこうした技術についてどのような活用を考えていますか?
馬淵:AIとIoT(Internet of Things)を組み合わせたソーシャルロボットと新しい決済手段となる可能性を秘めるFintechの技術分野に注力していきたいと考えています。
人間とのコミュニケーションを主眼に置いたソーシャルロボットは、高齢化が急激に進む日本において、今後幅広い活用を考えることができるはずです。また、ビットコインやネットバンキングの広がりなどめざましい変化を遂げているFintech分野も注目しています。
――アルメックス社はどのような企業風土をお持ちなのか、その特徴について教えてください。
馬淵:当社の企業風土は、「テクノホスピタリティの創造」という一語で表すことができます。テクノホスピタリティとは、TechnologyとHospitalityを掛け合わせた造語です。
最新のテクノロジーを駆使し、絶えず革新を繰り返していくトータルソリューション製品・サービスによって、日本はもとより世界中の利用者・エンドユーザーの方々に対してホスピタリティをご提供していく、そういった想いを込めています。
――最後に2006年にUSENのグループ企業となりましたが、現在はどのように連携をされているのか、今後どのような事業展開を進めていこうと考えているのかお聞かせ下さい。
馬淵:現在、当社はUSENグループの中核事業のひとつとなるまでに成長を遂げました。
今後はインバウンド戦略、アウトバウンド戦略、ソーシャルロボット戦略、Fintech技術戦略という4つの事業戦略のもと、社会に対して省人化・省力化・効率化のソリューションシステムを提供する断トツナンバーワン・プレーヤーを目指していきます。
(了)
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