新創刊デジタルBL雑誌「ハニーミルク」編集部を直撃

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青少年保護育成条例など表現の規制が進む一方で、より過激な表現を求められていると言われるボーイズラブ(BL)やティーンズラブ(TL)。今月10日に講談社から刊行されたデジタルBL雑誌「ハニーミルク」の企画者で編集部スタッフのOさんに話を聞いた。


「今の流行りがエロってわかってます?」


――「ハニーミルク」のコンセプトが「癒ししかいらない!」になったのはどうしてですか。
ハニーミルク編集部(以下 HM編集部) 夜読んでハッピーな気持ちで安らかに眠りにつけるような甘さと癒しのあるBLを、私が読みたかったんです。関係性やドラマを描いた上でエロがあるような、ストーリーがしっかりした読み応えのあるお話をつくりたかった。でも、「往年の少女漫画みたいなキラキラ感!お互いが好きでいちゃいちゃしているようなハッピー感!一番重視したいのはそういうのです!!」とデザイナーさんに伝えたら「今の流行りがエロってわかってます?」と一刀両断されました(苦笑)。電子書籍はエロとの親和性が高いですし、実際エロいほど売れる傾向があります。鬼畜やクズなど過激でエロいものが流行っているのも知っていましたが、ストーリーを重視するところは企画段階からずっとこだわってきたことでしたし、そこは譲れなかったんです。個人的にもBLにエロは欠かせないと思っているのでゼロにするつもりはないけれど、「BL=エロ本」というイメージはどうにかしたいという思いがありました。
――規制は年々厳しくなっているのに、読者のニーズはよりエロい方へといっています。調整がたいへんそうですね……。
今年3月に不健全図書指定を受けた『イノセント』の指定理由も、性器の修正に関することが多かったですよね。電子書籍で18禁だったものを紙で売るにあたって全年齢向けに修正したのに指定を受けた『PET契約』の例もあり、基準はどうなっているのかなと思います。
HM編集部 『イノセント』に関しては、かなり過激な内容ですし指定もやむなしという感はあります。けれどもっと過激な作品がある中、なぜ指定を受けたのかわからないものもあって…。青少年保護育成条例は卑猥なものや残虐なものがいけないとしていますが、実際明確な基準というのはないんですよ。出版社が各自研究して自己判断で自社のコードをつくっているのが現状です。だから『PET契約』のようなことが起こるのだと思います。「ハニーミルク」の表現ラインも、スタートは他社の表現の比較から始まりました。
――『アニメ監獄学園を創った男たち』で、芽衣子さんのパンツの色としわが需要と言っていましたが。
HM編集部 その作品らしさを保つためには重要なこともあるんですよ(笑)。そのせめぎ合いもあり、エロに関してはグレーゾーンが多いんです。

デジタルBL雑誌「ハニーミルク」は毎月10日配信。
主な執筆陣と作品は以下の通り(単品ごとで購入できる分冊版あり)。
「ハニーミルク」Vol.1
絵津鼓『JOY』
ぴい『気ままなアイツを飼いならせ』
ymz『キーリングロック』ルネッサンス吉田
『BLOOMS SCREAMING  KISS ME  KISS ME  KISS ME』

フルカワタスク『君の音が僕に染まる前に』

7月10日配信の「ハニーミルク」Vol.2の表紙はヨネダコウ。市川けいの新連載もスタートする。



(松澤夏織)