【神奈川展望】神奈川大会組み合わせ決定!激戦のブロック、強豪校の戦いを徹底分析!

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 7月10日に開幕する第98回神奈川大会。長丁場となるこの大会。たとえば、関東大会準優勝の横浜は17日に登場し、決勝まで戦うとなれば、30日の決勝までわずか13日間で7試合も戦うということである。それだけハードな戦いなので、どれだけ選手たちの気力、精神力を維持しながら戦えるチームになるかが夏の神奈川を制するといえるだろう。そんな大会の見所をブロックごとで見ていきたい。各出場校の戦力を徹底的に紹介したコラム【神奈川展望】横浜、東海大相模の二強に待ったをかけるのは?神奈川の有力校を紹介!今大会の神奈川大会の組み合わせをヤグラで見たい方はこちらで第98回神奈川大会組み合わせ表

横浜は大会終盤にピークを持っていくことができるか?

万波 中正(横浜)

 まずは関東大会準優勝、秋春連続で優勝している横浜のブロックを見ていこう。このブロックは5回戦が大きなヤマとなりそうだ。横浜の隣の山を見ると、好左腕である近藤 宏俊、篁 将希を擁した弥栄、強力打線の戸塚、好投手・山口擁する百合丘など公立の実力が揃う。また2014年夏神奈川大会準優勝の向上も気になる存在だ。これを見ると横浜は、5回戦までにいろいろな選手を試すことができる。

 横浜の上級生を見ると遠藤 駆、向川原 健人のように経験豊富な守備型選手が多いのだが、1年生にも万波 中正(関連記事)、長南 有航とポテンシャルが非常に高い選手がいる。2人とも一発長打を秘めており、力を発揮できれば、かなり怖いものとなる。首脳陣としては大事なところは3年生を起用しつつも、万波、長南といった下級生たちにも経験を積ませて自信をつけていきたいと考えていることであろう。

 春に引き続き、万波、長南、そしてスタメン出場していた齊藤 大輝の3人がベンチ入りし、さらに活躍を見せると、横浜にとっても大きな力となるだろう。あとは投手陣では石川 達也、藤平 尚真(関連記事)の2人以外で、多くイニングを投げられ、試合を作る投手が出て、大会終盤から2人でフル回転できるようにしていきたいところだ。

[page_break:藤沢翔陵・桐光学園のブロックも熾烈]

 一方、横浜隼人のブロックはかなり熾烈だ。初戦は三浦学苑と川崎総合科学の勝者と対戦するが、いきなりハードな戦いを強いられる。また同ブロックには、打線がウリの法政二、柏木学園、鶴見大附。隣の山には、橘学苑がいる。はっきりいえば楽な相手ではない。隣の山を見ると、第3シードで積極的な打線がウリの菅など、息が抜けない戦いが続く。

 横浜隼人は打線がウリだが、まだ絶対的なエースがいない。そうなると県内屈指の破壊力を誇る横浜隼人が、初戦から打線が爆発できるか。打ち勝つ試合運びができるようになると、大会を通して猛打が期待できそうだ。

藤沢翔陵・桐光学園のブロックも熾烈

中川 颯(桐光学園)

 続いて藤沢翔陵のブロックには山北、隣の山を見ると第3シードの光明相模原、力のある速球を投げ込む真栄平 博己擁する立花学園、本格派右腕・本田 仁海擁する星槎国際湘南に注目。藤沢翔陵も県内屈指の打撃力を誇るチームだが、投手陣は継投策で勝ち上がってきたチームだ。試合の流れを読んだ継投策、そして勝負所でどれだけ粘れるかがカギとなるだろう。

 そして桐光学園のブロックもなかなか熾烈。初戦から有馬vs湘南学院の勝者と対戦と、いきなり厳しい相手となる。また、横浜創学館vs横浜商大高の好カードも実現。桐光学園は複数投手を起用しており、練習試合でも完投させたり終盤からリリーフで投げさせたりと、どの試合展開にも力を発揮できるように経験を積み重ねている。打撃、走塁、守備のレベルは県内トップレベルを誇るだけに、投手陣の底上げができるとやはり上位に勝ち進むチームになりそうだ。

 隣のブロックを見ると、第3シードの大師は関東学院vs麻布大附の勝者と対戦。さらに打線に力のある湘南など序盤から激しい攻防が期待できるだろう。このブロックは4回戦、5回戦が大きく盛り上がりを見せそうだ。

トーナメントの左側は実力校が散らばる結果に

 次に、慶應義塾のブロックを見ていきたい。第1シードの慶應義塾は、川崎商と中央農の勝者と対戦。同ブロックには強力打線がウリの相模原がいる。隣の山を見ると、第3シードの藤嶺藤沢に注目。また慶應藤沢と鎌倉学園の対戦がいきなり実現することとなり、こちらも好カードといえるだろう。

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山田 啓太(東海大相模)

 東海大相模のブロックを見ると、有力校が多い。東海大相模は上鶴間vsアレセイア湘南の勝者と対戦する。同ブロックには、近年実力をつけている瀬谷、昨夏ベスト4の日大藤沢、打線につながりのある湘南工大附と実力校が多い。東海大相模は、攻撃力、投手力ともに非常に高く、春ベスト8で横浜に敗れたとはいえ、選手層の厚さは県内屈指。勝ち進むごとにどれだけ選手の状態を高められるかが重要になりそうだ。隣の山には第3シードの川崎北の戦いぶりにも注目をしていきたい。

 日大高のブロックを見ていくと、いきなり桜丘vs津久井浜の勝者が対戦。初戦から力のあるチーム同士との対戦になる。同ブロックには、第3シードの平塚学園もいる。平塚学園はエース・高田 孝一(関連記事)が本番へ向けてどれだけ状態を高められるか。そんな平塚学園は、春の大会では高田以外の投手を起用。試合を作れる投手が多く、しっかりと高田の負担を減らせる目処は立った。

 打線は長打力のある選手は少ないが、土壇場で一打を打てる勝負強い選手がいるのが強みで、粘り試合運びで頂点を目指す。初戦は相洋vs秦野曽屋の勝者と対戦することとなった。また、横浜商vs南の対戦がいきなり実現。公立の実力校同士の一戦は大きく盛り上がりそうだ。

 最後に桐蔭学園ブロックに目を向けると、桐蔭学園は大和西と瀬谷西の勝者と対戦。エースの小川 隼平を擁し、打線は巧打者・柿崎 颯馬と投打ともに能力のある選手が揃う。この春はロースコアで守り抜く試合展開が多かったが、打ち勝つ野球で投手陣を援護していきたい。隣の山では打撃がウリの武相の戦いぶりに注目したい。

 大会は7月10日に開幕。川崎商vs中央農の開幕カードから熱戦が展開される予定だ。チームの勝ち上がり方はそのチームのカラーによって異なるが、しっかりと自分たちのカラーを発揮し、悔いなく戦えるか。今年も激戦だったと思えるような熱い勝負を期待したい。

(文・河嶋 宗一)

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