ついやりがち! 本を読むのが遅い人に特有の悪癖

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 溢れ返る情報を取捨選択し、必要なものは取り入れ、不要なら切り捨てる。この処理能力は現代に生きる者としては必須だろう。
 しかし、情報処理はある種事務作業のようなもの。そればかりやっていては生産性は上がらないし、自分のやりたいことをやる時間も限られてしまう。

 だからこそ、文章を素早く読むスキルが求められる。通常の2倍から3倍の速度で読めるようになるという速読術のキモを、『頭の回転が3倍速くなる! 速読トレーニング』(総合法令出版刊)の著者で、速読日本一の経験を持つ角田和将さんに聞いた。

■「まずは素直にやってみる」が成長のポイント

――「なぞり読み」のお話が出ましたが、角田さんの速読法の最大のカギは、「なぞり読み」から「文字のかたまりをイメージとして捉える」へ、いかに意識を変えていくかだといえます。

角田:「なぞり読み」の癖がついてしまっているなら、それはもう受け入れて矯正していくしかありません。
誤解しないでいただきたいのは、速読のトレーニングをしたからといって、じっくり本を味わうことができなくなるわけではないということです。小説など丁寧に読みたい本ならば、「なぞり読み」で丁寧に読めばいい。どちらかを身につけるとどちらかができなくなるといったことではないんです。

――速読のトレーニングをすることによって、読むのが劇的に速くなる人もいれば、そこまで速くならない人もいるかと思います。両者にはどんな違いがあるのでしょうか。

角田:僕が感じるのは、教えたことを素直にやるかどうかが一番大きな違いだと思います。
僕の速読教室に来ないでも、僕が本で書いたことを実践するだけでどんどん速読を身につけてしまう要領のいい人がいるんですけど、そういう人はみんな純粋というか、本に書いてあることを疑わずに素直に実践できる人です。そのうえで思いついたことがあれば、自分なりに試してみる。こういう人は上達が早いですね。
本音を言えば、もっと高いところを目指して教室にも通ってほしいのですが(笑)。

――角田さんは本書のなかで「速読力」を「人生の基礎体力」だとしています。この理由についてもお聞きしたいです。

角田:僕が教えている速読のトレーニングでは右脳を活性化するというお話をしましたが、右脳というのは「気まぐれ脳」と呼ばれるとともに「ポジティブ脳」とも呼ばれます。
なぜこんな呼び名なついているかというと、疲れていたり、嫌だと感じていたりといった状況下ではあまり働かないんですよ。反対に、「楽しい」「おもしろい」「これをやりたい」と感じた時ほど活発に働きます。そうなると、脳の働きに行動力がついてくるようになるんですよ。「これをやりたい」と思ったことに対して、実際に体が動くようになってくる。

そして、やりたいことに対して行動を起こせるようになれば、問題点も見えてきますし、課題もわかります。トライ&エラーを繰り返しながら、行きたい方向に近づいていくプロセスに入っていけるわけです。

速読というのは文章を素早く見て理解する力なのですが、それを鍛えることが自分の生きたいような人生を生きることにつながっていくのだと僕は考えています。

――最後になりますが、速読を身につけることによって人生がどう変わっていくかということについて教えていただければと思います。

角田:情報化社会だとされる現代において、素早く情報処理する力は必須で、身につけておかないと自分のところに入ってくる情報量に追いつけなくなってしまいますし、情報処理にばかり時間を取られてしまいます。これではやりたいことがあってもなかなかできないですよね。

でも、速読というスキルを身につけることで普通なら1時間かけて読む本を20分で読めるようになれば、40分時間ができるわけで、それは自分のために使うことができます。

お金を稼ぐにしても、勉強をするにしても、どんなことをするにも必要なのは時間で、これが確保できないと、結果的に何もできない自分になってしまう。だから、「時間を生み出すこと」が何をするにしても始まりになります。「速読=文章を速く読むこと」というだけでなく、人生を変える可能性があるものです。そんなに難しいスキルでもないですし、身につけておいて損はないはずなので、ぜひこの本をよんでチャレンジしてみていただきたいですね。
(新刊JP編集部)