「ジョジョの奇妙な冒険」このペースで残りの話数大丈夫なのか

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丁寧なアニメ化、全39話で大丈夫?


虹村兄弟その3。じっくり丁寧にアニメ化してもらえるのは有り難いが、このペースで残りの話数は大丈夫なの……と逆に心配になってきた第5話。なぜなら、前回も触れたBlu-ray/DVD全巻購入特典が発表されたとき、各3話×13巻=全39話だと判明してしまったからだ。
ジョジョ第四部は全174話で、うち虹村兄弟編が完結するまでは18話。今のペースだと、テレビシリーズで50話前後にはなるはず。どの話数が削られるのか、原作ファンの心臓はジョセフの背中に張り付いたエシディシ様のようにドックンドックン脈打っている。
しかし、第四部のキャラクターはスタンド使いである以前に杜王町の住人であり、懲らしめられた後も町に住み続けて退場はしない。どこかの話を削れば、必ず後で矛盾やしわ寄せが来る作りだ。全39話は「第一シリーズ完」にすぎず、後半1クール(13話)が発表される…そう信じたい!


第五話は、こんな話


形兆のスタンド攻撃を打ち破った仗助と康一。二人は、これ以上被害者を出さないために、弓と矢を破壊しようと虹村邸を探索する。やがて屋根裏部屋でそれを発見した仗助達だったが、暗がりの奥からはガリガリと何かをひっかく動物のような音が聞こえた。意を決してドアを蹴飛ばそうとしたところ、怪物のような手が康一の足をつかみ…。

黄金の精神を持つ広瀬康一くん


広瀬康一くんの声はどうして梶裕貴さんなのか? こう疑問の声が上がっていたのは演技力が物足りないどころか、その逆。ゲームの『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』(以下「ASB」)で、第七部の主役ジョニィ・ジョースターがドンピシャにはまっていたからだ。
筆者も第七部までのアニメ化を確信している一人だが、その声には首をタテには振れなかった。広瀬康一くんは、梶裕貴さんの声に値する「もう一人の主役」ですもの。
虹村兄弟に「父親」がいると思い出した仗助は、ダメージが大きいから「弓と矢」は後回しにして帰りたがった。それはチキンでもなんでもなく、常識的な判断だ。でも康一は、あの弓と矢で誰かが射られたら今度は死ぬかもしれないんだよ!と言って探そうとする。仗助の力を借りずたった一人で、恐怖を痩せ我慢して冷や汗をかきながら……。
これぞ黄金の精神の持ち主。見かけによらず勇気があり、やるときはやる。しかも、この先どんどん精神的にもスタンド面でも成長していく。大きな力がないのにドス黒い悪に立ち向かう康一くん、仗助以上に「主役」してるのだ。
断言していいが、次回か次々回ではオープニングの作画が一部変わるだろう。仗助や億泰の後ろにはスタンドあり、だから康一くんも……もしかしたら前回出るかも?と微かに期待したものの、やはり「卵」はなかったようだ。

虹村兄弟、涙の別れ


薄暗い部屋、不気味な音、踏み込もうとした足をガシッ!とつかむ虹村父の登場シーンは完全にホラーだ。緑の粘液が滴ったり、自分の千切れた腕を食ったり、よく地上波でやりますねいつもながら。
緑の怪物に成り果てた男と対面する仗助達の元にやって来る形兆。原作ではぼやかされていたが、アニメ版は仗助達が入ってきたドアと別、つまり屋根裏部屋にドアが2つになっている。おかしな気もするが、位置関係が論理的に正しいアニメならではの変更だ。
虹村父が怪物に変わったのは、DIOの手下になったから……ということで、過去の振り返りは第三部ファンへのサービスも兼ねている。肉の芽がダイナミックに触手を伸ばし、影DIO(序盤だけ出てきた懐かしいモード)も増量されていて、かゆいところに手が届く原作の補完ぶりだ。
弓と矢を後回しにして思い出の写真を“直した”仗助のおかげで、父に心が残っていると知った形兆。そして弟を突き飛ばして敵スタンドに腹をぶち抜かれ、電気にされてコンセントの中に引きずり込まれる。そんな兄を見届けるしかなく、「最後の最後に俺を庇ってくれたよなあ〜っ」と仗助に同意を求める億泰。この流れ、何度見ても泣けます…。
そんな涙を爽やかに拭い去る締めのオリジナル展開。ご近所だからと「ガッコ行こうぜ!」と誘いに来る億泰、小学生か! 「オメーの母ちゃん、美人だな」は、さっきの虹村ファミリー写真にあった美人ママに対応しているはず(なぜあの母から億泰が……)。こいつはグレートにヘビーだぜ……という仗助のセリフは原作通りだが、そこに満更ではない響きが含まれる良アレンジだ。

レッド・ホット・チリ・ペッパーは森久保祥太郎さん!


順番が後先になったが、形兆を殺害して弓と矢を奪い取ったレッド・ホット・チリ・ペッパー(スタンド名)のキャストが森久保祥太郎さん! 億泰の高木渉さんと同じく「ASB」からハマり役の続投だ。軽いノリと凶暴さに計算高さを隠した、この人しかない!という声である。
森久保祥太郎さんを代表するキャラの一人が『ペルソナ4』の花村陽介。あちらは特定の日だけ「マヨナカテレビ」の中に入って人助けをする自称特別捜査隊の中心メンバー。そしてレッチリ(略称)も……というわけで「テレビの中に入りそうな声だ」と登場早々に評判もグッド!なのだ。
(多根清史)