2016年これは押さえておこう、プロ野球のツボ。キーワードは「1年目」
あけましておめでとうございます。遂に開幕したプロ野球の今季の展望、注目トピックス、ラジオナイターならではの魅力について、TBSラジオ・戸崎貴広アナ、文化放送・松島茂アナ、ニッポン放送・煙山光紀アナのお三方に語っていただきます(※セ・リーグ編、パ・リーグ編はこちら)。
─── 今年はセ・リーグで巨人(高橋由伸)、阪神(金本知憲)、DeNA(アレックス・ラミレス)が、パ・リーグでは楽天(梨田昌孝)が新指揮官のもとでの戦いとなっています。
戸崎:過去の歴史を振り返ると、1年目の監督って実は意外と優勝しているんですよ。
煙山:おぉ、確かに! 去年のヤクルト・真中監督も、ソフトバンクの工藤監督も1年目。ファイターズの栗山監督(2012年)も。
戸崎:原さんも1年目(巨人・2002年)に優勝しています。
松島:西武でいえば、伊原春樹さん(2002年)、伊東勤さん(2004年)、渡辺久信さん(2008年)もそうでしたね。
戸崎:1年生監督というのは経験値もないし、難しいんじゃないの? と思われがちですけども、監督じゃなくて周りが張り切るんですよ。選手は1年目監督のもとだからこそ、「俺のことをもう一回認めてくれ!」と皆、頑張る。
煙山:なるほどね。
戸崎:特定の監督がずーっと続くと、だいたい「この人は自分を使わない」というのがわかるじゃないですか。でも、監督交代によって「もう一回チャンスがある!」と思える。そういう意味では、戦力ダウンもあるんですが巨人・高橋由伸監督には注目しています。
煙山:そう考えると、セ・リーグは新監督が3人もいて面白いですよね。谷繁監督も“監督専任”1年目。6球団全員が40代監督という点も含めて、監督にも期待していきたいですよね。
─── 今季から、本塁クロスプレーに絡む「コリジョン(衝突)ルール」が適用される(※本塁での危険な衝突を避けるため、捕手が得点を防ぐためにホームベースを守る「ブロック」を禁止する)点が、「野球が変わるのではないか?」とさまざまな議論を呼んでいます。実況アナウンサーの視点から、このコリジョンルールはどう見ていますか?
戸崎:個人的な意見ですが、面白くないですね。今年は点がどんどん入る気がします。審判の人に話を聞くと、わざわざ明文化をしなくても従来のルールの中で対処できたんじゃないか、ということなんですが、選手会からケガを防ぐためにも導入して欲しい、と要望があったみたいですね。
煙山:オープン戦で、ヤクルトの中村悠平がコリジョンルール適用第一号となりました。あのプレーは、中村がボールを落として体勢を戻したときに足がたまたまブロックの状態になっていた、ということのようです。もちろん、そのときの状況をいろいろと鑑みて決めるらしいんですけども、中村のワンプレーだけをみても判断は難しいですよね。
戸崎:でも、オープン戦ではクロスプレーがほとんどなかったですよね。
煙山:たまたま、中村で2つあったんですよね。
松島:シーズンに入ってどうなるか、ですよね。オープン戦ではそこまで際どいプレーを攻めないですからね。
戸崎:でも、まず間違いなく三塁ランナーは突っ込みますよね。どんどんどんどん突っ込むはずですよ。
煙山:どんどん突っ込むでしょうね。スクイズも増えると思います。
松島:しゃべる立場からすると、あのホームでの緊張感、「アウトか、セーフか!?」というクロスプレーをしゃべる醍醐味がなくなってしまうのかも、というのは気がかりです。ある意味、我々の見せどころのひとつだったんですが。「すんなりホームイン実況」が増えそうです。
煙山:実況するときには、今まで以上に守備位置を気にかける必要が出てきますね。より前進してくるのか、無理に前進せず、ホームは諦めるのか。
松島:ライオンズは前進する方針みたいです。今年から西武プリンスドームは人工芝が新しくなり、打球が跳ねづらくなったことも影響しているみたいです。
戸崎:全体的に、「より前進」を選ぶチームが多い気がします。
煙山:ニッポン放送の解説者で、ロッテの正捕手だった里崎智也さんに話を聞いたところ、「他の野手の感覚と一緒です」と。「三塁手や二塁手が追いタッチでアウトにできなかったからといって怒りますか? そういう感覚でいいんです」と解説してくれました。「今までのキャッチャーの概念じゃなく、“一野手”としてタッチでアウトにするだけであって、そこをあまり難しく考える必要はありません」と。
戸崎:なるほど。今まではレガースがあったから足も使っていたけど、他の野手と同じ感覚でタッチにいけばいい、と。
煙山:いずれにせよ、該当プレーがあった際の説明は大変そうです。審判も、「コリジョンルールにより……」くらいしか言わないと思うんですよ。「コレコレこういう理由でこう判断しました」までは言わないはず。だから、僕ら実況アナウンサーがある程度は補完しなきゃいけない。
─── 本塁クロスプレーには、ビデオ判定が導入される、ということですが。
煙山:ヤクルトの真中監督も「際どいプレーがあった場合、ビデオ判定をして欲しいと抗議に行かざるをえない」と言っていました。
戸崎:でも、監督の「やってくれ」には反応しないそうですよ。審判内で確認するだけであって、監督が抗議するからそれに応えるものではない、と。
煙山:真中監督曰く、審判に拒否権があるんだそうです。審判に自信があれば、ビデオ判定はしない。でも、監督の立場からすると「俺は(抗議に)行くかな」と。
戸崎:それは、行くでしょうね。
煙山:そうなると、流れが止まるシーンが増えるでしょうね。アウト・セーフを巡る抗議もあるし、何で今のプレーはビデオ確認しないの? という抗議もあるだろうし。
松島:また試合時間が伸びるかもしれないですね。
戸崎:本塁クロスプレー以外でも、最近、どんどん「プレーの厳しさ」がなくなってきていますよね。厳しい内角攻めも少なくなりました。それこそ、東尾修さんがガンガン内を攻めた投球をしたり、星野さんがベンチから怒鳴ったり、そういう「厳しさ」がプロ野球の魅力のひとつでもあったと思うんです。選手同士が仲良くするのもいいかもしれないけど、もうちょっと真剣味をもって、厳しい野球をやってもらいたいな、とも思います。
─── 去年は「トリプルスリー」が話題になり、流行語大賞まで受賞しました。
同様に今年、こんな記録を見てみたい、という期待は何かありますか?
戸崎:大谷翔平(日本ハム)の20勝・20本塁打も見てみたいけど、「40・40」かな。バリー・ボンズみたいに40本・40盗塁。
松島:可能性があるとしたら、柳田悠岐(ソフトバンク)しかいないですけどね。
戸崎:山田哲人(ヤクルト)の「40本」はなかなかイメージできないけど、確かに柳田はイメージありますよね。
煙山:それにしても、柳田はあんなに振り回すスイングで打率が3割6分台っていうのがね。シーズン216安打の秋山翔吾(西武)を抑えて首位打者になったわけですから。
松島:ただ、ソフトバンク柳田に「40・40」をやられてしまうと、パ・リーグの覇権争い的には困るんですけども(笑)。
煙山:西武でいえば、そろそろ、「おかわり60本塁打」とかはないんですか?
松島:中村剛也は今年、ホームランよりも打率・打点にシフトしている雰囲気があるんです。中村は基本的に個別の目標数字は出さない選手なんですが、それでも去年までは「あるとしたらホームラン50本」という話をしてくれていました。でも、今年はそれもなかったですからね。
煙山:あとは、阪神の高山俊がルーキーでいきなり首位打者! とか。首位打者はさすがに難しいまでも、争ってくれると面白くなると思うんですけども。
─── ルーキー高山の話題が出ましたが、今年のルーキーで活躍しそうな選手、楽しみな点というと?
戸崎:今年はとにかく、1年生の若い素晴らしい選手が多いのが特徴だと思います。高山以外でも、原樹理(ヤクルト)、今永昇太(DeNA)。重信慎之介(巨人)の足も楽しみだし、楽天は茂木栄五郎のバッティングは素晴らしいし、吉持亮汰もいいし、オコエ瑠偉もいるし。
煙山:打者では吉田正尚(オリックス)もいます。
松島:投手では桜井俊貴(巨人)、岡田明丈(広島)も。半分ぐらいの球団で、ルーキーが先発ローテーションに入りそうな勢いですよね。
煙山:これほど1年目で名前があがるのって本当に珍しいですね。
戸崎:だから、楽しみですよ。この選手たちの中から、誰がレギュラーになり、どう成長してくれるのか!?
煙山:原樹理と高山俊の“ドラフト因縁対決”も盛り上がるでしょうね。クジを引いた張本人である真中監督は「意識しないで欲しい」と言ってましたけども、ファンは絶対に意識せざるを得ない。盛り上がりはすごいことになりそうです。
戸崎:あとは、DeNAの戸柱恭孝。彼が正捕手として、どこまでチーム内で存在感を示せるかで、DeNAが台風の目になるかどうかが決まるかもしれない。
松島:レベルの高い新人王争いになりそうですよね。高卒新人では、平沢大河(ロッテ)もそのうち出てくるでしょうね。
煙山:平沢、早く見たいですね。雰囲気あるし。
戸崎:最近、暗い話題が先行していた中で、12球団それぞれに新しい人材が入ってきたっていうのがいいですね! 先ほど、「1年目監督」の話題が出ましたけども、今年のプロ野球のキーワードは選手も監督も「1年目」ですね。
─── 最後に、この1年、どんなテーマをもって野球中継をしていくのか、聞かせてください。
松島:文化放送「ライオンズナイター」は、3年前から“パ・リーグ、きこうぜ!”というキャッチフレーズのもと、ライオンズを中心に「パ・リーグの中継」というものにこだわっています。これは他局にはない、文化放送ならではの特徴です。文化放送を聴けばパ・リーグ6球団、たとえば関東のソフトバンクファンも球団の情報、そして選手の声を聴くことができる、というのをシーズン通して徹底していきます。そして、新規の野球ファンを増やしていくためにも、ラジオ中継の中でスター選手を生み出していきたい! そのためにも、選手のインタビューもどんどんやっていって、「こんな面白い選手がいるんだ!」ということを知っていただきたいなと思っています。
煙山:ニッポン放送「ショウアップナイター」は“まいにち とことんプロ野球”というテーマで、月曜日でも必ず、なんらかの形でシーズン中は野球の情報を出していきます。そして今年は「ショウアップナイター50周年」。懐かしいジングルや実況といったオールドファンへ向けた施策を準備中です。そして、50年前から解説者に名を連ねる関根潤三さんにもご登場いただきます。昨年、野村克也さんとの「レジェンド解説」も大反響でしたから。新しさという部分でも、50歳まで現役でプレーした山本昌さんに、50周年の新解説者として加わっていただきます。さらに今年は、ショウアップナイターファンクラブ、というものを発足させ、「ミスターショウアップナイター・深澤弘アナの週一コラム」など、ネット上で様々な企画を展開していきます。ネットとラジオは両立する、同時進行できるという部分を上手く打ち出していければなと思っています。
戸崎:TBS「エキサイトベースボール」は、“聞けばここに球場がある”というテーマで、球場の興奮を伝えていきます。10年前からずっと、12球団にスポット当てようということで、頻繁に他球場の情報を入れています。そして今年はラジオ日本さんとタッグを組み、去年より17試合も増えて、中継カードのおよそ8割が巨人戦になるんです。たとえば、TBSの中継にラジオ日本解説者の篠塚和典さん、水野雄仁さんが登場することもあると思います。そして、ジャイアンツ情報を厚くするということで、高橋由伸監督の生の声を届ける計画もあります。新解説者としては元巨人の左腕エース・高橋尚成さんが加わります。さらに、関根さんに並び立つ杉下茂さんも名誉解説者でいらっしゃいます。熱いラインナップで、熱いエキサイトな中継ができればなと、いうふうに皆、意気込んでおります。
煙山:今年から各局、ワイドFMでの中継も始まっています(TBSラジオ:FM90.5MHz、文化放送:FM91.6MHz、ニッポン放送:FM93.0MHz)ので、よりクリアな音で野球中継をお楽しみいただけるんじゃないかと。
松島:セッツ・イン・ユース(全局同時刻合算聴取率)を上げていきたいですね。
戸崎:FMが始まって上がったとも聞いています。我々3局を中心に、ラジオから野球を盛り上げたいというポリシーをもって、1年間頑張っていきます!
(オグマナオト)
優勝に近いのは「1年目監督」!?
─── 今年はセ・リーグで巨人(高橋由伸)、阪神(金本知憲)、DeNA(アレックス・ラミレス)が、パ・リーグでは楽天(梨田昌孝)が新指揮官のもとでの戦いとなっています。
戸崎:過去の歴史を振り返ると、1年目の監督って実は意外と優勝しているんですよ。
煙山:おぉ、確かに! 去年のヤクルト・真中監督も、ソフトバンクの工藤監督も1年目。ファイターズの栗山監督(2012年)も。
戸崎:原さんも1年目(巨人・2002年)に優勝しています。
松島:西武でいえば、伊原春樹さん(2002年)、伊東勤さん(2004年)、渡辺久信さん(2008年)もそうでしたね。
戸崎:1年生監督というのは経験値もないし、難しいんじゃないの? と思われがちですけども、監督じゃなくて周りが張り切るんですよ。選手は1年目監督のもとだからこそ、「俺のことをもう一回認めてくれ!」と皆、頑張る。
煙山:なるほどね。
戸崎:特定の監督がずーっと続くと、だいたい「この人は自分を使わない」というのがわかるじゃないですか。でも、監督交代によって「もう一回チャンスがある!」と思える。そういう意味では、戦力ダウンもあるんですが巨人・高橋由伸監督には注目しています。
煙山:そう考えると、セ・リーグは新監督が3人もいて面白いですよね。谷繁監督も“監督専任”1年目。6球団全員が40代監督という点も含めて、監督にも期待していきたいですよね。
「コリジョンルール」で、野球は、実況はどう変わる!?
─── 今季から、本塁クロスプレーに絡む「コリジョン(衝突)ルール」が適用される(※本塁での危険な衝突を避けるため、捕手が得点を防ぐためにホームベースを守る「ブロック」を禁止する)点が、「野球が変わるのではないか?」とさまざまな議論を呼んでいます。実況アナウンサーの視点から、このコリジョンルールはどう見ていますか?
戸崎:個人的な意見ですが、面白くないですね。今年は点がどんどん入る気がします。審判の人に話を聞くと、わざわざ明文化をしなくても従来のルールの中で対処できたんじゃないか、ということなんですが、選手会からケガを防ぐためにも導入して欲しい、と要望があったみたいですね。
煙山:オープン戦で、ヤクルトの中村悠平がコリジョンルール適用第一号となりました。あのプレーは、中村がボールを落として体勢を戻したときに足がたまたまブロックの状態になっていた、ということのようです。もちろん、そのときの状況をいろいろと鑑みて決めるらしいんですけども、中村のワンプレーだけをみても判断は難しいですよね。
戸崎:でも、オープン戦ではクロスプレーがほとんどなかったですよね。
煙山:たまたま、中村で2つあったんですよね。
松島:シーズンに入ってどうなるか、ですよね。オープン戦ではそこまで際どいプレーを攻めないですからね。
戸崎:でも、まず間違いなく三塁ランナーは突っ込みますよね。どんどんどんどん突っ込むはずですよ。
煙山:どんどん突っ込むでしょうね。スクイズも増えると思います。
松島:しゃべる立場からすると、あのホームでの緊張感、「アウトか、セーフか!?」というクロスプレーをしゃべる醍醐味がなくなってしまうのかも、というのは気がかりです。ある意味、我々の見せどころのひとつだったんですが。「すんなりホームイン実況」が増えそうです。
煙山:実況するときには、今まで以上に守備位置を気にかける必要が出てきますね。より前進してくるのか、無理に前進せず、ホームは諦めるのか。
松島:ライオンズは前進する方針みたいです。今年から西武プリンスドームは人工芝が新しくなり、打球が跳ねづらくなったことも影響しているみたいです。
戸崎:全体的に、「より前進」を選ぶチームが多い気がします。
煙山:ニッポン放送の解説者で、ロッテの正捕手だった里崎智也さんに話を聞いたところ、「他の野手の感覚と一緒です」と。「三塁手や二塁手が追いタッチでアウトにできなかったからといって怒りますか? そういう感覚でいいんです」と解説してくれました。「今までのキャッチャーの概念じゃなく、“一野手”としてタッチでアウトにするだけであって、そこをあまり難しく考える必要はありません」と。
戸崎:なるほど。今まではレガースがあったから足も使っていたけど、他の野手と同じ感覚でタッチにいけばいい、と。
煙山:いずれにせよ、該当プレーがあった際の説明は大変そうです。審判も、「コリジョンルールにより……」くらいしか言わないと思うんですよ。「コレコレこういう理由でこう判断しました」までは言わないはず。だから、僕ら実況アナウンサーがある程度は補完しなきゃいけない。
─── 本塁クロスプレーには、ビデオ判定が導入される、ということですが。
煙山:ヤクルトの真中監督も「際どいプレーがあった場合、ビデオ判定をして欲しいと抗議に行かざるをえない」と言っていました。
戸崎:でも、監督の「やってくれ」には反応しないそうですよ。審判内で確認するだけであって、監督が抗議するからそれに応えるものではない、と。
煙山:真中監督曰く、審判に拒否権があるんだそうです。審判に自信があれば、ビデオ判定はしない。でも、監督の立場からすると「俺は(抗議に)行くかな」と。
戸崎:それは、行くでしょうね。
煙山:そうなると、流れが止まるシーンが増えるでしょうね。アウト・セーフを巡る抗議もあるし、何で今のプレーはビデオ確認しないの? という抗議もあるだろうし。
松島:また試合時間が伸びるかもしれないですね。
戸崎:本塁クロスプレー以外でも、最近、どんどん「プレーの厳しさ」がなくなってきていますよね。厳しい内角攻めも少なくなりました。それこそ、東尾修さんがガンガン内を攻めた投球をしたり、星野さんがベンチから怒鳴ったり、そういう「厳しさ」がプロ野球の魅力のひとつでもあったと思うんです。選手同士が仲良くするのもいいかもしれないけど、もうちょっと真剣味をもって、厳しい野球をやってもらいたいな、とも思います。
2016年、期待したい記録とキーワード
─── 去年は「トリプルスリー」が話題になり、流行語大賞まで受賞しました。
同様に今年、こんな記録を見てみたい、という期待は何かありますか?
戸崎:大谷翔平(日本ハム)の20勝・20本塁打も見てみたいけど、「40・40」かな。バリー・ボンズみたいに40本・40盗塁。
松島:可能性があるとしたら、柳田悠岐(ソフトバンク)しかいないですけどね。
戸崎:山田哲人(ヤクルト)の「40本」はなかなかイメージできないけど、確かに柳田はイメージありますよね。
煙山:それにしても、柳田はあんなに振り回すスイングで打率が3割6分台っていうのがね。シーズン216安打の秋山翔吾(西武)を抑えて首位打者になったわけですから。
松島:ただ、ソフトバンク柳田に「40・40」をやられてしまうと、パ・リーグの覇権争い的には困るんですけども(笑)。
煙山:西武でいえば、そろそろ、「おかわり60本塁打」とかはないんですか?
松島:中村剛也は今年、ホームランよりも打率・打点にシフトしている雰囲気があるんです。中村は基本的に個別の目標数字は出さない選手なんですが、それでも去年までは「あるとしたらホームラン50本」という話をしてくれていました。でも、今年はそれもなかったですからね。
煙山:あとは、阪神の高山俊がルーキーでいきなり首位打者! とか。首位打者はさすがに難しいまでも、争ってくれると面白くなると思うんですけども。
─── ルーキー高山の話題が出ましたが、今年のルーキーで活躍しそうな選手、楽しみな点というと?
戸崎:今年はとにかく、1年生の若い素晴らしい選手が多いのが特徴だと思います。高山以外でも、原樹理(ヤクルト)、今永昇太(DeNA)。重信慎之介(巨人)の足も楽しみだし、楽天は茂木栄五郎のバッティングは素晴らしいし、吉持亮汰もいいし、オコエ瑠偉もいるし。
煙山:打者では吉田正尚(オリックス)もいます。
松島:投手では桜井俊貴(巨人)、岡田明丈(広島)も。半分ぐらいの球団で、ルーキーが先発ローテーションに入りそうな勢いですよね。
煙山:これほど1年目で名前があがるのって本当に珍しいですね。
戸崎:だから、楽しみですよ。この選手たちの中から、誰がレギュラーになり、どう成長してくれるのか!?
煙山:原樹理と高山俊の“ドラフト因縁対決”も盛り上がるでしょうね。クジを引いた張本人である真中監督は「意識しないで欲しい」と言ってましたけども、ファンは絶対に意識せざるを得ない。盛り上がりはすごいことになりそうです。
戸崎:あとは、DeNAの戸柱恭孝。彼が正捕手として、どこまでチーム内で存在感を示せるかで、DeNAが台風の目になるかどうかが決まるかもしれない。
松島:レベルの高い新人王争いになりそうですよね。高卒新人では、平沢大河(ロッテ)もそのうち出てくるでしょうね。
煙山:平沢、早く見たいですね。雰囲気あるし。
戸崎:最近、暗い話題が先行していた中で、12球団それぞれに新しい人材が入ってきたっていうのがいいですね! 先ほど、「1年目監督」の話題が出ましたけども、今年のプロ野球のキーワードは選手も監督も「1年目」ですね。
ここに注目! ラジオナイター2016
─── 最後に、この1年、どんなテーマをもって野球中継をしていくのか、聞かせてください。
松島:文化放送「ライオンズナイター」は、3年前から“パ・リーグ、きこうぜ!”というキャッチフレーズのもと、ライオンズを中心に「パ・リーグの中継」というものにこだわっています。これは他局にはない、文化放送ならではの特徴です。文化放送を聴けばパ・リーグ6球団、たとえば関東のソフトバンクファンも球団の情報、そして選手の声を聴くことができる、というのをシーズン通して徹底していきます。そして、新規の野球ファンを増やしていくためにも、ラジオ中継の中でスター選手を生み出していきたい! そのためにも、選手のインタビューもどんどんやっていって、「こんな面白い選手がいるんだ!」ということを知っていただきたいなと思っています。
煙山:ニッポン放送「ショウアップナイター」は“まいにち とことんプロ野球”というテーマで、月曜日でも必ず、なんらかの形でシーズン中は野球の情報を出していきます。そして今年は「ショウアップナイター50周年」。懐かしいジングルや実況といったオールドファンへ向けた施策を準備中です。そして、50年前から解説者に名を連ねる関根潤三さんにもご登場いただきます。昨年、野村克也さんとの「レジェンド解説」も大反響でしたから。新しさという部分でも、50歳まで現役でプレーした山本昌さんに、50周年の新解説者として加わっていただきます。さらに今年は、ショウアップナイターファンクラブ、というものを発足させ、「ミスターショウアップナイター・深澤弘アナの週一コラム」など、ネット上で様々な企画を展開していきます。ネットとラジオは両立する、同時進行できるという部分を上手く打ち出していければなと思っています。
戸崎:TBS「エキサイトベースボール」は、“聞けばここに球場がある”というテーマで、球場の興奮を伝えていきます。10年前からずっと、12球団にスポット当てようということで、頻繁に他球場の情報を入れています。そして今年はラジオ日本さんとタッグを組み、去年より17試合も増えて、中継カードのおよそ8割が巨人戦になるんです。たとえば、TBSの中継にラジオ日本解説者の篠塚和典さん、水野雄仁さんが登場することもあると思います。そして、ジャイアンツ情報を厚くするということで、高橋由伸監督の生の声を届ける計画もあります。新解説者としては元巨人の左腕エース・高橋尚成さんが加わります。さらに、関根さんに並び立つ杉下茂さんも名誉解説者でいらっしゃいます。熱いラインナップで、熱いエキサイトな中継ができればなと、いうふうに皆、意気込んでおります。
煙山:今年から各局、ワイドFMでの中継も始まっています(TBSラジオ:FM90.5MHz、文化放送:FM91.6MHz、ニッポン放送:FM93.0MHz)ので、よりクリアな音で野球中継をお楽しみいただけるんじゃないかと。
松島:セッツ・イン・ユース(全局同時刻合算聴取率)を上げていきたいですね。
戸崎:FMが始まって上がったとも聞いています。我々3局を中心に、ラジオから野球を盛り上げたいというポリシーをもって、1年間頑張っていきます!
(オグマナオト)