関東を中心に展開する立ち食い蕎麦チェーン「名代 富士そば」。安価で量が多く、立ち食いだけあって商品の提供もスピーディー。加えて年中無休・24時間営業とくれば、ビジネスマンから学生まで、普段からお世話になっている人は多いはず。

そんな「富士そば」だが、店舗ごとに運営会社が異なっていることをご存じだっただろうか。運営元であるダイタンホールディングス傘下のグループ会社7社が、まるで競うように店舗を展開しているのだ。

そこでJタウンネット編集部は、「富士そば戦国時代」と題し、各社ごとの出店状況を勢力図としてまとめた。

各社ごとの出店戦略が浮き彫りに?

国内に全127店舗を構える富士そばは、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県に出店地域を絞っている。それではさっそく、各社の出店状況を見ていこう。以下の地図が、出店数最多を記録した会社別に色を塗り分けた勢力図となる。


これが富士そば勢力図(2015年12月10日現在)

総合的に強さを見せたのは、「ダイタンフード」だ。23区の東部・北部を中心に広く展開しており、出店数も最多の26店舗を誇るグループ内の巨大勢力である。出店数の多い激戦区・新宿と渋谷の2区を制しているのもポイントだ。

出店数21店舗で2番手につけるのは、23区外と神奈川を制する「ダイタンイート」。また、豊島区と世田谷区を治める「ダイタン企画」(18店舗)、23区北部の覇権をフードと争う「ダイタン食品」(17店舗)も存在感を発揮している。

唯一単独トップの地域のない「池袋ダイタンフード」はその社名にも関わらず、豊島区を抑えることができなかった。「ダイタンミール」は千葉で他を圧倒する強さを見せ、23区内ではほとんど見かけない「ダイタンキッチン」は埼玉に出店を集中させている様子だ。


運営会社名は、ダイタングループHPで確認できる(shibainuさん撮影、wikimediacommonsより)

経営陣も認める「富士そば戦国時代」

富士そばは、店舗ごとの裁量が大きい経営方針をとっている。そのため、運営会社というくくりで味やメニューに差異が発生するわけではない。それでは、いったいなぜ複数の会社に分かれているのだろうか。

ダイタンホールディングスの広報担当者によると、その理由は「グループ内での競争意識を活性化するため」だという。

なるほど確かに、富士そばの経営戦略が取り上げられた2014年放送の「がっちりマンデー!!」(TBS系列)内でも、ダイタングループの丹道夫社長自らが「グループ内競争」について触れている。そこでは、各運営会社の責任者が、「絶対負けない」(ダイタンイート)「グループで一番になりたい」(ダイタンフード)などと熱い火花を散らしていた。

社長や経営陣すら認める「富士そば戦国時代」。これから富士そばに立ち寄る際は、運営会社の名前もチェックしてみてはいかがか。