【2015年ドラフト 高校生投手編】高橋 純平、小笠原 慎之介に続くドラフト候補を紹介!
高校・大学のプロ志望届けは10月8日に締め切りとなった。今回、高校生は78名が提出したが、どんな顔ぶれがいるのか。そして注目はどの球団が右のナンバーワン・高橋 純平(県立岐阜商)、左のナンバーワン・小笠原 慎之介(東海大相模)の交渉権を手にするか。また、この2人以外にも楽しみな投手が多い。まずは投手の顔ぶれについて迫っていきたい。
高橋 純平、佐藤 世那、小澤 怜史がトップ!彼らに続く右の本格派は?高橋 純平(県立岐阜商)
まずは右投手。提出者からの顔ぶれを見ると、やはり右投手の実力ナンバーワンは高橋 純平(県立岐阜商)だろう。夏前の故障で、U-18では本来の投球はできなかったとはいえ、投げる姿を見せられたのは明るい材料。今では上野 翔太郎(中京大中京)の投球を理想にしているようだ。現在体作りも行って、プロへ向けて準備をしている。それらが全てうまくいけば、プロでは我々の想像を超える進化を見せているかもしれない。
選手権準優勝に大きく貢献した佐藤 世那(仙台育英)。独特のテイクバックから振り下ろす140キロ台のストレート、そして速いフォーク、落差あるフォークの2種類を使い分け、さらに横の変化としてスライダーも使え、選抜時に比べ格段に成長した。U-18では、1Stラウンドでアメリカを完封(試合レポート)したように、最も得意とするフォークをプロの舞台でも思い通りに使うことができれば、存在感を示してくれそうだ。
そしてこの2人に並ぶ投手が、昨夏から148キロの直球で騒がれてきた小澤 怜史(日大三島)だ。球速は最速152キロまで伸ばしてきた。最後の夏は静岡大会2回戦敗退のためあまり話題になっていないが、潜在能力は全国トップクラス。投球面でもまとまりがあり、高く評価する球団もありそうだ。
その他提出した右投手を東から見ていく。綾部 翔(霞ヶ浦)は大化けが期待できる投手だろう。高橋 祐二監督の指導により高い潜在能力が開花。伸びしろたっぷりの145キロ右腕で、さらに体作りがうまくいけば、150キロ越えも夢ではない投手だ。また、140キロを超える直球を武器にする野澤 佑斗 (つくば秀英)も注目度が高い。
また原 嵩(専大松戸)は最終年にかけて140キロ台の速球が増し、さらにスライダー、フォークの精度が進化した。フォークが嵌ったときは簡単に打ち取れない。同校の先輩・上沢 直之 (2015年インタビュー【前編】 【後編】)と比べると、フォームは上沢の方がキレイだが、球数少なく抑えられる投球ができるのが強み。さらに体力的なモノも優れており、プロの指導で完成度が高まれば、早い段階で台頭が期待できる投手だろう。
吉田 凌(東海大相模)は145キロ前後の速球、縦スライダーで勝負していた下級生時代から一転。今は140キロ前半のストレート、スライダー、カーブ、縦スライダーをテンポよく投げ分ける投手となった。先日行われた国体では、かなり実戦から離れていたということもあり、投球の繊細さに欠けているところがあったが、しっかりと体を作りつつ、今の投球をベースに再び145キロ前後の速球が戻ってくれば、希望が持てるだろう。
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注目記事・2015年ドラフト特設ページ・10月特集 今こそ鍛えたい!守備のキホン・2015年秋季大会特設ページ
[page_break:茶谷 健太、望月 惇志、與那原 大剛など大型右腕が揃う!]茶谷 健太、望月 惇志、與那原 大剛など大型右腕が揃う!茶谷 健太(帝京三)
茶谷 健太(帝京三)は、185センチの上背だけではなく、上半身、下半身のバランスが取れた投球フォームから繰り出す140キロ前後の直球、カーブ、フォークと緩急、また縦の変化をしっかりと使い分ける投手。さらにストレートのスピードが向上し、打者から打ち難さを感じる投球を追求すれば、自慢の速球がさらに生かせるだろう。180センチ100キロの巨漢投手・宮城 正規(我孫子東)は、この夏の投球を見るとコントロール、リズムが良くなり、140キロ台の直球、変化球をうまく使い分けるようになった。まだ課題は多いが、潜在能力は高く面白い投手だ。
常時140キロ中盤の速球で勝負する望月 惇志(横浜創学館)は素材としては神奈川ナンバーワンピッチャー。しかし恵まれた体格を生かす技術がまだ低く、実戦力をしっかりとつけられるかが活躍の分かれ目となるだろう。帝京からの転校生の山本 紘平(都立篠崎)は140キロ前後の直球、キレのあるスライダーを武器にする好投手。
北信越地区では選抜優勝投手・平沼 翔太(敦賀気比)。投打の才能の高さが注目されるが、投手としてのこだわりが強く、ピッチングの完成度は高校生としては非常に高い。
最速145キロのストレート、多彩な変化球を投げ分け、完成度の高いピッチングを見せる小孫 竜二(遊学館)はボールの凄味が増せば、台頭が期待できる投手。また140キロを超える直球、キレのあるスライダーで勝負する山田 大樹(菰野)は、課題となる体重移動の技術を高めることができるか。
大阪では府立を代表する村林 一輝(大塚)、吉田 大喜(大冠)の好投手2名が提出。ともに最速は140キロ前後。吉田は昨年に比べると、コンスタントに130キロ後半を計測するようになりレベルアップを果たしたが、NPBからの指名はあるか。
中村 晨(ルーテル学院)は190センチの長身から角度ある速球を投げ込む。まだ体ができておらず、一気に球速を上げるのは次のステージからかもしれない。
190センチの長身から最速148キロのストレートを軸に、落差あるフォークのコンビネーションにする與那原 大剛(普天間)は馬力があり、さらにピンチの場面でも落ち着いて投げることができる投手。この夏は厳しい場面を潜り抜けてベスト8入りを果たしただけに、素材と精神力の高さを買って指名する球団も現れるだろう。
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[page_break:左腕は小笠原 慎之介がナンバーワン。小笠原に続くドラフト候補は?]左腕は小笠原 慎之介がナンバーワン。小笠原に続くドラフト候補は?小笠原 慎之介(東海大相模)
左腕では小笠原 慎之介(東海大相模)がトップである。最速151キロの速球に加え、チェンジアップ、スライダー、カーブと投球の幅を広げた。甲子園、U-18での投球は、小笠原からすれば100の投球ではなかったが、それでもコントロール重視で勝つ投球に徹することができていた。将来、エース候補の左腕投手が欲しい球団は上位で指名する必要がありそうだ。
高橋 奎二(龍谷大平安)は右足を高々と上げたライアン風フォームで、タイミングをずらし、140キロ前後の速球、多彩な変化球で勝負する実戦派左腕だ。最後の夏は出場できなかったが、同じメカニズムをした小川 泰弘(東京ヤクルト・2015年インタビュー)のように、力と技を兼ね備えた投球を3〜4年かけて作り上げたい投手だ。またU-18を経験した高橋 樹也(花巻東)は春季大会まで見えていた力みが抜けて、打者の弱点を徹底的につく技巧派左腕へ変貌を遂げた。そして成田 翔(秋田商)も、真っ向から振り下ろす140にチェンジアップが加わり投球の幅が大きく広がった。投球の幅が大きく広がった。
巽 大介(岩倉)は肩、肘の柔らかさを生かし、しなやかなフォームから繰り出す140キロ台の速球が最大の武器だが、制球力、投球術などまだまだ習得しなければならないことが多い。
大関 友久(土浦湖北)は186センチの長身から振り下ろす角度ある速球と曲りが大きなカーブが武器。次のステージでは速球派として生きるのか、それともストレートとカーブのコンビネーションで打たせて取る技巧派になるのか、方向性を定めることが重要になりそうだ。
龍頭 大夏(大牟田)は体ができれば一気に球速を高めていけそうな、土台の良いフォームから繰り出す140キロ前後の速球、キレのあるスライダーで勝負。最速144キロ左腕・内田 大貴(誉)はストレートのキレは申し分なく、またスライダーのキレも良く、しっかりとゲームメイクができる投手で、評価は高くなっていきそうだ。
日隈 ジュリアス(高知中央)は左スリークォーター気味のフォームからの最速145キロのストレートが魅力で、ポテンシャルの高さはピカイチ。大化けなるか。開きを抑えたフォームから140キロ前後の速球、スライダー、チェンジアップを巧みに投げ分ける富山 凌雅(九州国際大付)、ダイナミックなフォームから角度ある速球とカーブを武器にする山下 篤郎(鎮西)も注目だ。
渡辺 健史(飯塚)はフォームの土台が良く、コントロールも安定しており、同校出身の辛島 航(東北楽天ゴールデンイーグルス)のような左腕になることに期待したい投手だ。
以上が、プロ志望届けを提出した投手の状況である。今年は右投手では、ドラフト1位候補の高橋純以外だと未完成ながらも茶谷、與那原、望月のような大型投手が多く、左腕は小笠原を除くと絶対的な候補は見当たらないが、日隈のように突出した速球を投げ込む投手がいたり、内田のように全国的な注目度がなくても完成度が高い投手もいたり、渡辺のようなフォームの土台が良い投手もいるので、各球団がどんな評価をしているか注目だ。
この中から何人が10月22日に名前を呼ばれるのか、今から楽しみである。
(文=河嶋 宗一)
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