夏に知っておきたい猛暑対策 〜甲子園に向けたコンディショニング作り〜

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 今回は甲子園に向けての夏の暑さ対策コラムとして、まず夏の甲子園期間の神戸市の暑さを調べてみました。

夏の甲子園とは「厳重警戒」レベル

夏の甲子園とは「厳重警戒」レベル

平均気温 29.3℃平均最高気温 32.8℃平均最低気温 27.0℃平均相対湿度 70%±平均体感温度 33.7℃平均体感最高温度 43.3℃

 そして1日の中で一番湿度が上がるのが正午から15時です。夏の甲子園の1試合の平均時間は124分、1日4試合の場合は第3試合が、1日3試合の場合は第2試合がそれにあたります。また、決勝も準決勝もこの一番暑い時間に試合が行われるのです。この暑さ・湿度は運動指針で「厳重警戒」です。

 はっきり言って夏の甲子園は予選を含めて、ガイドラインでは「運動中止」の時に運動を行っているのです。私的には1日3試合にして、正午から15時は試合を行わない方が良いと思いますし、決勝も10時〜12時に、準決勝は10時〜12時と15時〜17時にするのが一番の暑さ対策になると思っています。

 しかし現状ルールは変わりません。しかし一方では熱中症でマウンドで痙攣しているピッチャーを多く見るのも事実です。「運動中止」の時間にあの暑いユニホームを着て約2時間運動している(特にピッチャー)わけですから、正直に言えば色々と矛盾を感じます。

知っておくべき予防法・対処法を覚えておこう!

1)半袖のユニホームを着る特にウォームアップ等は半袖・短パンで行う等

2)暑さ、湿度に慣れる熱中症は気温、湿度が上がる1週間ぐらいが一番起こりやすいので、特に北海道、東北のチームは甲子園出場が決まったらすぐに移動して、選手の発汗量、循環血しょう量を増やし、深部体温、心拍数を低下させて、体が体温を保ちやすい状態を作ることが大切です。私は近年、北海道や東北のチームが勝てるようになったのは、地球温暖化で関西に来た時に暑さへの慣れができているのではないかと考えています。

3)普段の体調管理「睡眠不足」「風邪」「下痢」の3つは水分を奪いやすく熱中症になり易いので、きちんと自分の体調管理をすること、また指導者がきちんと指示を出すことが大切です。

4)水分補給について運動前:2〜3時間前に500㎖程度、10〜20分前に200〜300㎖運動中:喉の渇きを潤す以上にやや多めに補給運動後:運動で失った体重分の水分を6時間以内に補給これらを水温10〜15℃のスポーツドリンクで摂取することが好ましいとされています。

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[page_break:もし熱中症が起きた場合の対処 / まとめ 夏の練習に対しての提案]もし熱中症が起きた場合の対処

熱中症のレベル

熱中症のレベル?度(軽症):体温の上昇はほとんどない大量の発汗による塩分の喪失によって起こるものなので、市販のスポーツドリンクなどを摂取し、涼しい場所で安静にしてください。

?度(中等症):体温が37〜40℃(平熱+1℃以上)塩分だけでなく水分も失われるため、疲労感、吐き気、めまい、失神、血圧低下など色々な症状が出ます。?度と同様に涼しい場所で安静にし、氷のうを当てるなどして体温を下げてください。ひどい場合には医療機関で生理食塩水の点滴を受ける必要があります。

?度(重症):体温が40℃以上直腸温である深部体温を計る必要があり、これをいかに早く40℃以下にするかが重要です。深部体温が高いと脳機能、肝臓機能、腎臓機能、血液凝固などの障害が出て非常に危険です。

 選手が倒れたら5分以内に体を冷やして15分以内に39℃以下に下げ、病院に運ぶという作業が大切です。なので一刻も早く体温を下げることが重要です。上記のような、日陰で休むや氷のうを当てるぐらいでは15分以内に39℃は無理です。一番良いのは氷水のビニールプールなどに入れてさせて一気に冷やすことです。もし選手が倒れたらこのように全身を一気に冷やしてください。理想はチームに大量の氷とビニールプールと直腸計があることですね。

まとめ 夏の練習に対しての提案

 今回は夏のコンディショニング 甲子園に向けて、を執筆させてもらいました。まず知ってほしいのは甲子園の正午〜15時の試合は運動中止の時間であり、選手は運営上その時間に試合をしなければならないというのが「甲子園」であるという事実です。その上でそれに対する普段の練習からできる対策と、もし倒れてしまったときの対策を紹介しました。熱中症は深部体温を下げる必要があり、表面上だけ冷やしてもあまり効果はなく、倒れるレベルならば全身を氷水につけて一気に深部体温を39℃まで下げないと、最悪の場合「死」に至ることもあります。

 最後に私から夏の練習の提案をしたいと思います。

 8:00〜12:00  グラウンド練習12:00〜13:00 食事13:00〜15:00 室内でウエイトトレーニング(ただし、室内でも熱中症は起こるので注意が必要)

このようなメニューが良いと思います。熱中症対策とともに、オーバートレーニング症候群を避け、なおかつ筋力が伸びる高校生が夏の鍛錬期に冬トレと同じように身体の筋肉量を増やすことで、パフォーマンスに大きく影響を出せると思います。

 夏の大会も始まり熱闘の甲子園の時期がまた今年も来ます。より素晴らしいプレーを行うために、「甲子園は運動中止の暑さ」という事実を知り、根拠のないガンバリズム・根性至上主義に走らず、科学的、客観的な予防対策をとり、全選手ベストパフォーマンスで甲子園で輝いて欲しいと思います!

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