海城vs目黒学院
いよいよ、7月4日から開幕した第97回全国高等学校野球選手権東西東京大会。開会式が始まる前から降っていた雨は、時間が経つにつれて雨脚が強くなってきた。そんな天候のもと行われた海城と目黒学院の開幕試合。当初の予定は16時半に試合開始だったが、天候の影響から15分早まり、16時15分に試合が始まった。
先手をかけたのは目黒学院。1回裏、目黒学院は2番・大谷 鴻太(3年)、3番・松本 佳樹(3年)、4番・山下 航(3年)の3連打でいきなり一死満塁のチャンスを作る。5番・齋藤 貴之(3年)が押し出し四球を選び1点を先制。続く6番・安齋 裕喜(2年)の内野ゴロの間に走者が還り追加点。目黒学院がいきなりの2点を先制する。
続く2回裏にも8番・中坪 祥悟(2年)が四球で出塁。一死一塁から1番・玉城 郁弥(2年)の適時三塁打で1点。続く2番・大谷 鴻太(3年)が内野ゴロを放ち、三塁走者の玉城が生還。2回終了時点で4対0と完全に目黒学院が試合の主導権を握った。
目黒学院は5回、6回にも1点を加えて6対0とリード。反撃したい海城だが、前評判の高い目黒学院・先発の山下 航のスピードボールになかなか安打が出ない。
7回表、海城が遂に反撃。
一死から途中出場の9番・堀本 龍生(1年)が安打で出塁。走者の堀本は盗塁に成功。後続が繋ぎ、二死一、二塁から3番・大谷 健人(3年)が右翼線に二塁打を放ち海城が1点を返した。さらに、4番・遠藤 大地(3年)が四球で繋ぎ、二死満塁のチャンス。ここで、5番・清水 勇(3年)を迎えたところで、目黒学院の山下 航が降板。天野 匠(2年)がマウンドへ上がる。山下は、天候の影響でマウンド状況も良くないことから投球中に足を負傷してしまったようだ。ここが試合を分ける『ターニングポイント』となる。2番手の天野 匠は雨の影響からか、5番・清水に対して押し出し四球を与えてしまい、1点を追加される。この回、2点を入れた海城のベンチも応援席も、この日一番の盛り上がりをみせた。
8回裏、追い上げられた目黒学院だったが、二死からチャンスを作り、7番・泉 涼輔(3年)が適時打を放ち2点を追加。目黒学院ナインのここぞでの勝負強さを感じる場面であった。
6点差を追う海城の9回表の攻撃。この回から目黒学院は野手で試合出場していた齋藤 貴之をマウンドへ。しかし、様子がおかしい。3四死球と1安打で、2点を失い、8対4。続いて1年生の山原 翔を送るが、ストライクが入らずに3連続押し出し四球を与えてしまい、ここで降板。試合は、7対8と1点差に。目黒学院は遊撃手として出場していた松本 佳樹をマウンドへ上げるが同様に制球力に苦しみ、押し出し四球を与えてしまい、遂に逆転。海城が見事な選球眼を見せて、この回1安打9四死球を選び8得点を奪い、10対8と大逆転。その裏の攻撃を海城がきっちり抑えて勝利を決めた。
リードしていた目黒学院。頼みのエース・山下 航が降板、後続で投げた投手はコンディションが悪い中での投球を強いられ、本来の投球ができないところに海城が徹底的に仕掛けた形となった。
一方6点差をひっくり返し、9回表に8得点を奪って大逆転勝利で開幕試合に勝利した海城には試合終了後、スタンドから惜しみない大きな拍手が送られた。
――最後まで試合を諦めなければ奇跡は起こせる――まさにこの格言がぴったりな試合内容であった。(文=高校野球ドットコム編集部)
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