YUI(撮影:野原誠治)
 2006年6月に公開された映画「タイヨウのうた」。映画の中で「雨音薫という1人の人間を本気で生きることができた」と語るYUI。ストーリーの進行とともに薫によって形作られていく歌「Good-bye days」は、ミュージシャンYUIによってそのリアリティを増し、瑞々しい輝きを放った。あれから3カ月、YUIから新曲「I remember you」が届けられた。

――まずはやはり、映画「タイヨウのうた」の話からお聞きしたいと思います。撮影はちょうど1年前にスタートして、間にファーストアルバムのリリースと全国ツアーをはさみ、試写会ツアーや舞台挨拶などをされていましたが、きっと色々な反響があったかと思います。今回映画に出演されてみていかがでしたか?

YUI:「頑張ろうと思った」とか「前向きになれた」とか、そういう感想をたくさん頂いたのが感激でしたね。

――新曲「I remember you」は、もちろん映画を観ていない人も楽曲として楽しめる内容だと思いますが、映画を観た人はやはり映画の情景を思い出すのではないかと思います。このような詞の世界観になったのは、どんな理由があったのでしょうか?

YUI:今回この「I remember you」は、映画を経験して本気で一人の人を生きることができて、その後に試写会ツアーも回って、たくさんの感想をまた頂いて。そういう一連の流れというか、そういうことを経験したということを曲にしていきたいな、という想いがあって。それと音楽活動に戻っていくということで、その区切りとしてこの曲を残していきたい、というふうに思ったのがきっかけですね。

――制作はいつ頃に行われたのですか?

YUI:試写会ツアーを回っている時のホテルで書いたりしたので、5〜6月ですね。

――曲を作る時点から、こういう詞の世界観にしようと考えていたのですか?

YUI:イメージとかテーマは自分の中にあって、頭の中にサーフボードとか太陽とか、そういう映像が流れていたので、こういう気持ちをメロディーに乗せていきたいな、と思っていたんですよね。あの夏を描いていこうと。

――一人称が「僕」だったりと、映画のその後の世界を残された彼の視点で見てしまうかもしれませんが、一方で、前作の「Good-bye days」が雨音薫自身の歌とするならば、「I remember you」はYUIさんから雨音薫へのアンサーソングなのかなと。

YUI:映画でいいますと、藤代孝治が雨音薫を思い返してるような反省を思い浮かべてもらえるのかな、と思ったり。それに限らず、「I remember you」、直訳すると「私はあなたを覚えてます」ということで、誰にでも忘れられない人がいると思うんですよね。そういう人とか、そういう時間とかを思い返すきっかけになる曲になったらいいなと思っていますね。

――今までは、誰かのために曲を作るというよりは、自分が感じたことや、自分の中にあるものを吐き出すということも多かったのでないかと思いますが、「I remember you」については、聴く人のことをイメージして、それに対して作られたのではないでしょうか?

YUI:そうですね。単純に、「感じたこと、思ったこと、映画で学んだこととか経験したことを歌に変えたいな」と思っていたんですけれども、もちろん「聴いてくれる人が笑顔になってもらえるような曲を作りたい」というのが根本的にある上での曲作りでしたね。

――ライブで目の前のお客さんが笑顔で自分の曲を聴いてくれて、楽しんで帰ってもらいたいとか、曲を聴いた人が幸せな気持ちになってもらいたいという気持ちは、デビュー前から変わってきたことですか?

YUI:デビュー前は自分のためにというか、自分が歌いたい時に、好きな時に歌う、心の中を吐き出していく、ということも多かったと思うんですけれども。そうではなくて、聴いてくれる人がいるんだなということを、いい意味で意識したりとか、そういう気持ちが芽生えてきて。アルバム「FROM ME TO YOU」は、そういう感謝の気持ちも込めて「私からあなたへ」というタイトルだったんです。その辺りから、聴いてくれる人がいて、こうしてたくさんの感想をもらっている、ということを意識し始めたのが、どんどん強くなっていっていると思うんです。