業平橋駅から見たタワー建設予定地。写真奥が押上方面。(撮影:吉川忠行)

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28日午前、NHKと在京民放テレビ5局で構成する「在京6社新タワー推進プロジェクト」(幹事会社:テレビ朝日)は、墨田区(関連記事)を新東京タワー(仮称)の「交渉優先候補地」として条件付きで選定し、各候補地を訪れて選定結果と経緯を報告した。

 同プロジェクトの諮問機関である「新タワー候補地に関する有識者検討委員会」の答申によると、最終審査に残った候補地は、さいたま市(さいたま新都心)、豊島区(池袋)、台東区(隅田公園)、墨田区(業平橋・押上)。最終選考では、(1)安全性・永続性、(2)環境影響、(3)機能面・事業性、(4)「都市文化の創成拠点」という4つの評価軸による検討が行われ、9名の委員のうち、6名が墨田区、3名がさいたま市をあげた。

 答申によると、墨田・台東両地区は、変ぼうする都市風景の中で「唯一残された、江戸伝統文化の継承地であり、京都と並ぶ日本の歴史遺産を国内外に提示できる地域」としている。タワー建設を契機に、同地区が江戸文化再発見の観光拠点となることが、「東京の長期的なまちづくりにとって大きな意味を持つ」としている。

 付帯条件については、(1)隅田川をはさんだ台東・墨田両区の区民と行政が一体となった、観光やまちづくり活動の支援や推進が図られること、(2)地元住民の受け入れ態勢があること、(3)都市防災に関する行政支援がなされること、とした。

 なお、さいたま市(関連記事)については、「東京の震災時のバックアップ機能等を考え、都心部から離れたさいたま市を推薦する複数委員の意見があったことを参考として付記する」とされている。

 候補地関係者によれば、現在の東京タワーは、電波送信など技術的な比較検討の結果次第で継続使用の可能性もあるようだ。新東京タワーの誘致合戦は、「交渉優先候補地」の選定で一区切りを迎え、次のステージに進もうとしている。【了】

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